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こちらはすまないスクールの二次創作です。

今回はあいら様よりリクエストいただきました、マネーが皆とご飯を食べる話になります。ご満足いただけましたら幸いです。それではお進みくださいませ…

ミスターマネー

ハァー!!!………これは一体なんだ?

ミスターマネーは金持ちである。生まれながらの透視能力で莫大な財産を得た上、商売になることにはなんでも手を出してきた。

しかし彼には少し、ほんの少しばかり世間知らずな一面もあった。世渡り上手なようで案外箱入りな彼は、他の生徒たちと少々価値観がずれている部分があるのだ。

故に…今目の前に並べられたものはミスターマネーにとって未知のものであり、馴染みのないものであった。

ミスター銀さん

んっ、うめぇ!さすがミスターバナナ、やっぱり料理が上手いってかもはやプロ級だよな!

ミスターブルー

ほんとだな!こういっちゃなんだが、ミスターバナナの料理が美味すぎてその辺の飯が食えなくなりそうだ…。

すまない先生

ん?どうしたんだミスターマネー、早く食べないと冷めてしまうよ。

ミスターマネー

あ、ああ…わかっている!

時刻は昼時。今日はミスターバナナが手料理をふるまってくれるとのことで、調理場を借りていた。そしてすまない先生達は給食室に集まり、皆で昼食を楽しんでいるのだった。

きょろきょろと周りを眺めていたが、それに気づいた先生が食べるように促す。ようやく箸を手にしたミスターマネーは、初めに目についた一皿に手を伸ばす。

一品目はサラダ…レタスに包まれるように、白にオレンジや黄色が混ざったようなふんわりしたものが盛り付けられている。

ミスターブラック

ミスター赤ちゃん、野菜も残さず食べなさい。また栄養失調で倒れますよ。

ミスター赤ちゃん

うぇ……俺野菜嫌いなのに……んぐ…ん?うめえ!このポテトサラダめちゃくちゃ美味えじゃねえか!

ミスターバナナ

ミスター赤ちゃんでも食べられるように味付けをしたからな。

この白いのはポテトサラダというらしい…じゃがいものサラダか?と恐る恐るポテトサラダを口に運ぶ。

ミスターマネー

ん…………美味い!

ミスターバナナ

気に入ってもらえて何よりだ。

マヨネーズで和えられたポテトの中にはきゅうりやにんじん、とうもろこしが入っていて色鮮やかだ。じっくり味わって見ると甘みもある。隠し味が良いのか、赤ちゃんが喜ぶのもわかる。

目を輝かせながらあっという間にポテトサラダを平らげたミスターマネー。わくわくしながら次の料理へ手を伸ばす。

ミスターマネー

これは…オレンジ色の野菜スープ?

ミスターレッド

野菜…っていうかコンソメスープだ。まさかコンソメスープ知らねえのか?

ミスターマネー

(ギクッ…!)
は、ハァー!そんなもの知っているに決まっているだろう!

ミスターレッドの言葉は図星だったが、見栄っ張りなミスターマネーには肯定できなかった。もちろん全員にはお見通しだが、指摘すればそれはそれで面倒なことになるので皆黙っている。

ミスターレッド

…まあどうでも良いけどよ。それよりミスターバナナ、何かスパイスとかないのか?このスープ美味えけど俺はもう少し刺激が欲しいぜ。

ミスターバナナ

胡椒ならあるが…いるか?

ミスターレッド

ありがたくもらうぜ。それじゃ…

ミスターブルー

ってかけすぎだ兄貴!

ミスターバナナから受け取った胡椒を、全てぶちまける勢いでスープにかけるミスターレッド。彼の周辺だけ胡椒の匂いが充満する。レッドが満足する頃には…スープが見えなくなっていた。

ミスター銀さん

おいー!それもはやスープじゃねえだろ!

ミスターレッド

何言ってんだ、これくらいスパイス決めた方が美味えだろ。

ミスターマネー

ハァー!……ミスターレッド、貴様いつか腹壊すぞ!

むしろそんなもの口にしたら味がわからなくなりそうだ…と思いながらもスープを掬い……

ミスターマネー

このスープ…めちゃくちゃ美味いではないか!

ミスター銀さん

ああ、野菜とベーコンの旨味がきいててクセになるぜ!…おかわりもらっていいか?

ミスターバナナ

ああ勿論、多めに作ってあるからな。

よほど気に入ったのかミスター銀さんは一気に飲み干すようにスープを平らげ、ぷはっと息をつく。ミスターマネーもつられて器に口をつけようとするが…

ミスターマネー

(洋食を食べているときに一度器に口をつけて、行儀が悪いと怒られたな…だが……ミスター銀さん本当に美味そうに飲み干すではないか…!ううむだが……)

ミスターマネー

…………まあこういうものはじっくり味わうべきだからな!

ミスター銀さん

なんの話だ?

1人でうんうん頷くミスターマネーに?を浮かべるミスター銀さん。そんな銀さんの様子を気に留めず、行儀良くスプーンで掬って一口ずつ飲む。

そして…コンソメスープも完食したところで、いよいよメインディッシュだ。

すまない先生

コンソメスープも良いけど…やっぱり一番美味いのはなんといってもこのオムライスだね!

ミスターブラック

すまない先生、グリーンピースも食べてください。なんですかこれは、皮まで綺麗に避けるなんてある意味才能ですよ。

すまない先生

うぐっ…これは残したんじゃなくて、後で食べようと思っていたんだ!

ミスター赤ちゃん

ミスターバナナ、このオムライスもおかわりくれ!

ミスター銀さん

って赤ちゃんもう食っちまったのか!ほとんど丸呑みだったぞ!

ミスターマネー

…ん?これはオムレツではないのか?それにしては随分とでかいとは思っていたが…。

ミスターレッド

もしかしてオムライスも知らねえのか?前から思っていたが、お前こういうところ世間知らずだよな。

ミスターマネー

ぐぬぬ…!

ついにミスターレッドに指摘されてしまったミスターマネーは、悔しそうに顔をしかめる。

マネーがオムライスを知らないのも無理もないだろう。なにせつい最近までアップルパイも知らなかったほどなのだから。その後ミスターバナナに作ってもらったアップルパイをとても気に入っていたが。

すまない先生

まあまあ、知らないならまずは食べてみるのが一番だよ。ミスターバナナが作ったんだから突然美味いんだけとね!

ミスターマネー

むぅ……で、では早速食べてやろうではないか!

拗ねたように頬を少し膨らませたミスターマネーは、スプーンでオムライスを掬い、ゆっくりと口に運んだ。

ミスターマネー

………

ミスターマネー

……………

ミスターマネー

……………………

すまない先生

み、ミスターマネー…どうしたんだ?

ミスター銀さん

え?ミスターマネー固まっちまったぞ!どうした?

ミスターレッド

辛さが足りなかったんじゃねえのか?

ミスターブルー

そりゃないだろ、兄貴じゃないんだから…。

ミスター赤ちゃん

なんだミスターマネー?食べないなら俺が全部貰って…

ミスターマネー

……………………美味い。

ミスター赤ちゃん

お?

ミスターマネー

美味すぎる!

ミスターマネー

なんだこの玉子、口溶けが良いというかふんわりした舌触りがたまらないというか、トマトソースとの相性が抜群だ!

ミスターマネー

玉子の下にあるライスも………アチッ!美味い!トマトの味が効いていて…………それにグリーンピースの甘みと鶏肉の旨味がとても…!

すまない先生

な、なんかすごい興奮してるね…!

美味い美味いと興奮気味にオムライスを口にするミスターマネー。周りはそんなマネーに驚いているが、頬を膨らませながら咀嚼する彼はとても幸せそうだ。

そんなマネーに食事中は静かにしろと宥めるミスターバナナも、料理を絶賛されて満更でもない様子だ。

ミスター銀さん

けどこうして見ると…ミスターマネーってうるさい割には食べ方綺麗なんだよな。

ミスターブルー

たしかに、こういうところは教養の良さが出てるっていうか、やっぱり金持ちなんだなって思うよな。

実際ミスターマネーは食べている最中もきちんと飲み込んでから喋るし、フォークやスプーンの使い方も丁寧なのである。…うるさいのは相変わらずだが。

ミスターマネー

ミスターバナナよ、貴様の料理は何かコツがあるのか?ただ作るだけならここまで美味いものはできないだろう。

ミスターブルー

あ、それ俺も気になる。俺にも教えてくれよミスターバナナ!ついでに美味いアイスの作り方とかも…。

ミスターバナナ

コツ、か…まあ大したことではないが、あえていうなら………
心を込めているといったところだな。

ミスターマネー

?どういうことだ?

ミスターバナナ

料理を振る舞うというのは、食べさせる相手のことを考えるものだ。

ミスターマネー

相手…。

はじめはなんのことかわからなかったがミスターバナナの言葉を頭に、もう一度料理を味わってみる。美味い。けれど今度は…ほんのりと胸の内が暖まる、ような気がする…?

ミスターマネー

…………こういうことか?

ミスターブラック

おやミスターマネー、貴方にも思いやりの温かさを理解する気持ちがあったとは…感心しましたよ。

ミスターマネー

なんだミスターブラック、今さらっと俺を馬鹿にしただろう?

ミスターブラック

おっと失礼、そんなつもりではありませんよ。ッフフフ……。

ミスターブルー

食べさせる相手のことを、か…なるほどな。相手の好みに合わせて作るのも同じか?

ミスターバナナ

まあそういうことだな。

そう言ってミスターバナナは、デザートのケーキを運んできた。デコレーションされたフルーツケーキだ。人数分に綺麗にカッティングされたケーキを一人一人に配られる。

ミスター赤ちゃん

おっ!ようやくデザートのお出ましだぜ!俺一番でかいやつ!

ミスターバナナ

構わないが…ミスター赤ちゃん。まずはそのにんじんを全部食べてからだ。

ミスター赤ちゃん

えぇーーー!?

ミスターブラック

貴方も残したんですか…それも今度はご丁寧ににんじんでクマを描くなんて…それで誤魔化せると思ったんですか?

すまない先生

もちろん僕は完食したよ!………うぷっ…

ミスターバナナ

最後に残すから余計しんどくなるんですよ。ミスター赤ちゃんも…ポテト追加してやるからそれ混ぜて全部食べろ。

ミスター赤ちゃん

うぇ〜……。

ミスターバナナ

フルーツは各々で分けてある。ミスターマネー、お前の分はこれだ。

ミスターマネー

ハァー!ありがたくいただくぞミスターバナナよ。んで俺の分は…みかんか!

料理が得意な彼のこだわりか、フルーツは各々のイメージカラーで合わせたようなチョイスだ。ミスターレッドはいちご、ブルーはブルーベリーといったように。そしてミスターマネーはみかんのようだ。

そしてにんじんを残してお預けをくらったミスター赤ちゃんは…追加してもらったポテトににんじんを混ぜて、しかめっ面で飲み込んでいる。が、シワが寄りすぎて顔がすごいことになっている…。

ミスターマネー

………んブフッ!

ミスター赤ちゃん

あっミスターマネー!てめえ今笑っただろ!

ミスターレッド

いやあんな顔見たら誰だって笑うだろ…っくくく…!

ミスターブルー

ミスター赤ちゃんまじで今の顔やばかったぞ!ははははっ!

ミスター赤ちゃん

なんだよー!お前らまで笑いやがって!こうなったら…!

次の瞬間、ものすごいスピードで手を伸ばすミスター赤ちゃん。そしてケーキを見ると…上に盛り付けられたフルーツが綺麗さっぱりなくなっていた。

ミスターマネー

ハァー!!!ミスター赤ちゃん貴様俺のみかんを取るとはいい度胸だ‼︎

ミスターレッド

あってめえ!俺のいちご返せ!

ミスターブルー

くそっ!あのスピードでクリーム崩さずピンポイントでフルーツひったくるとか、もっと他のことにその力使えよ!

ミスター赤ちゃん

へへへっ!俺を笑ったお返しだぜ!モゴモゴ……フルーツうめぇ!

すまない先生

こらミスター赤ちゃん!ひとのフルーツ取っちゃダメだろう!あとポテトサラダまだ食べきってないじゃないか!

ミスター赤ちゃん

このポテトサラダは俺のじゃなくてミスター銀さんの分ですよ先生!

ミスター銀さん

っておいー!おめーさらっと俺の器に入れようとすんな!自分の分は自分で食え!

ミスターバナナ

いい加減にしろお前たち!食事中は静かにしろと言っただろう!

ミスターブラック

全く…いつも騒がしい人達ですよ。本当に。

ミスターバナナの一喝により、ようやく騒ぎがおさまる。フルーツを取られたマネーたちは不服そうな顔だったが、ミスターバナナが新たにフルーツを盛り付けてくれたことで機嫌を取り戻す。

すまない先生

んむ……デザートまで絶品だなんて、今日のランチタイムは最高だな!これなら午後の授業も余裕で頑張れるよ。

ミスター銀さん

これから個別授業でしたよね?っしゃ!今日はとびきりの建築ができそうだぜ!
サンキューなミスターバナナ!

ミスターバナナ

どういたしまして。…要望があれば、また作ってやろう。

要望があれば、と言われた皆は、次はあれが良いとリクエストを出す。そんな中ミスターマネーはアップルパイを…と言いかけたが、以前の惨劇を思い出して口を閉じた。

ミスターマネー

(アップルパイは今度シェフにでも作らせよう。それにしても…料理を振る舞う、か…良いな。)

周りを見れば、自分はこれが好きだ、自分はこんな味が良いなどと皆楽しそうに語り合っている。料理を振る舞う相手のことを考える…なるほど、ミスターバナナの言うことがわかったような気がする。

ミスターマネー

(振る舞ってもらったからにはそれ相応の、いやそれ以上の施しを与えるべきだな!)

すまない先生

ミスターマネー、君は何かリクエストはあるか?今度またミスターバナナが作ってくれるらしいからね。君も何か食べたいものがあれば…

ミスターマネー

ハァー!!!すまない先生、次はこの俺が満足させてみせましょう!

すまない先生

み、ミスターマネーどうしたんだ…!?

後日、ミスターマネーにお茶会に招待されたすまないスクール一行は、一流シェフによるフルコースにビビりながらも大いに盛り上がったという。ただ一つミスターレッド用のハバネロサンドをミスター赤ちゃんが食べて火を吹いたことを除いて…。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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ハァハァ、ハート2003回押しと着ました。

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