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…くっそ!ここどんだけ広いんだよ!

中々仲間が見つからない颯は、苛立ちながらあたりを見回す。

(無事でいてくれ…あ!)

お!おい!こっちだ!

「「「!!颯」」」

颯が見つけたのは望結、優雨、多克の3人であった。 3人とも颯を見つけると、嬉しそうに笑った。

優雨

よかった!無事だったんだ‼︎

ああ、あと、彩と百萌もあっちであったよ。2人一緒にいた。

望結

良かった〜心配だったんだ

ドンッ

優雨

………ぇ

何かが凄い勢いで優雨の横を通り過ぎる。 後ろを見ると そこには 同じ学校、仲間のはずの波留(はる)がいた。

波留

ごめん……俺、ついさっき命狙われて…隣で、人の命が消えた。

波留の声は震えていた。よく見れば、汗もダラダラかき、今にも泣き出しそうな顔だ。

波留

俺…俺、死にたくない‼︎‼︎20人に残ればいいんだろ…?なら、早めに何人か殺して…人数減らせばいいんだ…

多克

、何、言って…!俺たちは誓いを

波留

ねぇ、いいよね…それに、俺、みんなのことを知らないような奴にみんなを殺されたくないよ…だから、死んでくれ

多克

‼︎俺が引き止める!颯はその隙に攻撃してくれ!

っでもそれじゃ

多克

背に腹だ!誓いにだって、『攻撃されたら攻撃をしていい』だったはず…!

…分かった………

多克

俺だってやりたくないけど…っ

他のみんなが殺されないためだよね

颯、多克

「「行くよ」」

2人は波留の方へ飛び出す。

望結

わ、私も

優雨

うんっ

2人も続こうとするが止められた。

やめろ!動くなら、他のみんなに知らせに行ってくれ!

望結

…!わかった‼︎

2人がその場を離れようとした。

望結

!優雨!危ないよ‼︎‼︎

優雨

⁉︎

望結はそういうと、優雨を後ろから庇うように抱きしめる。

望結

ゔっ!

望結は、自分で体を支えられなくなったのか、倒れ込む。

優雨

………ぇ?

彼女の背中は赤く染まっていた。

優雨

…何、何が、、攻撃、された…?望結はそれを庇って…?

波留の声が響く

波留

何、庇ってるんだ‼︎
正義のヒーロー気取りか!
うざいんだよそういうの!
俺が悪いみたいだ

てめぇ!何しやがる!

多克

優雨!望結は大丈夫なのか!望結の容体は!

攻撃は、波留からだったようだ。 しかも、いつの間にか颯と多克は傷だらけになっていた。

優雨

…ぁ、ぁ、望結は…望結は…

望結は体が崩れてきていた…

望結

ゆ、う…怪我ない?
私は、失格っぽいね笑
ゔっ

優雨

望結!私は、私は平気だよ‼︎それより止血…自分の心配して…‼私のせいで…ごめん、私が…︎

焦りながら傷の程度を見ようとする優雨の手をぎゅっと握り、望結はその動きを止めさせた。

望結

優雨、私のせいでなんて言ったらだめだよ。ほんとに私のこと思ってくれてるならね笑
優雨…もう、無理なんだよ、私は失格……体も……

望結はそこで言葉を区切り、崩れていく体に目を向ける。

望結

急いで、逃げて。早く‼︎‼︎

優雨

でも、でも、

望結

早く‼︎‼︎‼︎‼︎私の命無駄にしたいの⁉︎

優雨

っ………〜〜!

優雨はゆっくり望結の体を横たわらせると、手をギュッと握り返す。

優雨

ごめん…ごめん…必ず生き残るからぁ…

望結

ん!よろしく!

望結は笑ってみせた。優雨を安心させたかった。 泣きそうになる顔を歪めながら、優雨も笑い返す。

優雨

じゃあ

急いで走り出す。どんどん遠ざかっていく。

優雨

(私のせい…違った、私のために3人もの人が、命をかけてくれた…無駄にしちゃダメ…絶対……)

それから4時間ほど経った。

戦いは、時間が経つほどに過激化していっていた。

ほとんどのものは、理性は消えていき、獣へと姿を変えていく。

まるで、人が野生動物となっていくように…

元々人間は動物である。 その生存本能が、奥底に眠っていた何かが、この殺し合いという死を背負った状態で、呼び起こされたのかもしれない…

フードを被ったその男は、1人、時計塔を眺めていた。

?(フードさん)

…だいたい五十分ってところか……残りは30人程度、つまり、あと10人ほどが死ななければいけない…

その男は舌打ちをした。

?(フードさん)

ちょっとまずいかも…

戦いのせいか、フードが少し取れかかっている。

そこから見えたのは、彼の眼差し。哀情と怒りが紺のベールを纏う様なその眼を包んでいる。

彼はフードを深く被り直すと、時計塔を後にした。

コロシ愛ゲーム(完結済み)

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