テラーノベル
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月曜の朝。
私は、スマホを家に置いたまま登校した。
位置情報も、アプリも、LINEも。
全部彼に見られてる気がして、怖かった。
赤 。
昇降口で待っていたのは_やっぱり赤くんだった。
少しだけ前髪が乱れていて、眠れなかったのか、目が赤い。
でも、彼の声はいつも通り優しい。
赤 。
橙 。
橙 。
嘘。けれど、今の私は嘘でもつかなきゃ生きられない。
赤 。
赤 。
彼は安堵したように微笑んだ。
その表情は、確かに本物のように見えた。
だけど私はもう、騙されない。
私は今日、保健室の先生にこっそり相談する予定だった。
誰かに、今の状況を話さなきゃと思ったから。
でも_それは昼休みに、あっさりと打ち破かれた。
赤 。
橙 。
赤 。
赤 。
赤 。
彼の目が、静かに揺れる。
怒っているわけじゃない。
でも、そこには明らかな"警告"があった。
赤 。
赤 。
優しい声。けれど、逃げ道を塞ぐような静かな支配。
赤 。
その「ね?」が、背中に氷を流し込むような冷たさを持っていた。
逃げようとする度に、彼は察知する。
まるで、私の思考まで読んでいるように。
どこまでが偶然で、どこまでが監視なのか。
私はもう、わからなくなっていた。
ただ一つだけ、確信できることがある。
_彼は、私を"逃がさない"。
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