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放課後、私は教室を出てから、校舎裏へと足を運んだ。
あまり人のいない場所。誰にも見られずに考えをまとめたくて。
風に揺れる葉の音だけが静かに響く中、私はようやく深く息を吐いた。
橙 。
小さく、誰にも届かないように呟いたその言葉は、自分でも信じられないほど重たかった。
けれど_
赤 。
その声が背後から聞こえた時、背中が凍りついた。
橙 。
赤 。
彼は、まるで日常の延長線みたいに、穏やかな顔をしていた。
赤 。
赤 。
橙 。
初めて、はっきりと拒絶の言葉を口にした。
けれど赤くんは、困ったように首を傾げた。
赤 。
橙 。
赤 。
その瞬間、彼の手が、私の肩を掴んだ。
赤 。
赤 。
痛みを感じるほどの力ではなかった。
でも、その手には、逃がさないという強い意思が込められていた。
赤 。
赤 。
橙 。
橙 。
言葉を吐き出した時、彼の表情が一瞬だけ揺れた。
だけど、次の瞬間には_
いつもの笑顔に戻って、彼は囁いた。
赤 。
赤 。
それは"優しさ"という名をした、狂気そのものだった。