高校1年生の
この夏
私は助かった
先天性の心臓疾患
医者には今年中に ドナーが現れなければ
死ぬ
そう言われた
でもそこから話は早かった
夏に差し掛かり
日照りを感じていた頃
母が珍しく息を切らして 病室に入ってきた
母
ryoっ…ryoka!!!!
ryok
ん……
ryok
どうしたの
ryok
そんな息切らして
もう死ぬとばかり思っていたから
いつからか声色は元気を無くしていた
母
あのね!
母
落ち着いて!聞いてね!!!
ryok
うん
母
ドド…ドナーが!見つかったの!!
ryok
え…
予想外の言葉に驚く
ryok
ど、ドナーが…?
母
えぇ!そうよ!!
母
よがったわ"ねっ!!
母は泣いていた
自分のことでもないのに
ryok
うん!そうだね
なーんて明るく振る舞ってみる
どうせ移植をしたところで
制限のある生活は続くだろう
僕は生まれたときから
縛られているんだ
母
あ!明日!手術よ!!
ryok
へぇー早いんだね
母
だから今夜は…
夕飯ないけど大丈夫?
夕飯ないけど大丈夫?
ryok
うん!大丈夫だよ!
そんなのどうでもいい
母
退院したらまた写真
撮りましょうね!
撮りましょうね!
母
前撮ってたみたいに!
ryok
あ、…うん!
写真か…懐かしい
入院するまでの趣味だったな
写真を撮るのに体力は あまり使わないし
お医者さんもいいって言ってくれた
まぁどうせ死ぬから 最期くらい楽しませたかったの かもしれないけどね
母
じゃ!じゃあお母さん、
先生と話してくるね!
先生と話してくるね!
ryok
うん、いってらっしゃい
母
うんっ!
子供みたいにキラキラした 笑顔してたな…
あんな母を見るのはいつぶりだろう
ryok
まぁ…いいか
夏の浜辺にたたずむ
1人の男性の影
海が…綺麗だな