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主
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𝑷𝒓𝒐𝒍𝒐𝒈___
薬局って、 ただ薬を渡すだけの場所だと思っていた。 処方箋を受け取って、 薬を用意して、 飲み方を説明する。 それだけの、場所。 ……のはずだった。 ─── 「新人さん?」 振り向くと、白衣を着た男性が立っていた。 「ぼーっとしてると怒られるよ?」 少し笑いながらそう言うその人は、この薬局の薬剤師。 渡辺翔太。 見た目はちょっとチャラいのに、仕事はめちゃくちゃ早い。 患者さんからの評判もいい。 そして—— 「翔太!それ俺の患者さんのやつ!」 「いやいや先に取ったの俺だし」 「は!?ずる!」 店長の佐久間さんと、子どもみたいに言い合いしている。 薬局なのに、なんだか楽しそうだ。 「仲良いんですね」 私がそう言うと、先輩のななさんは少しだけ笑った。 「まあね、大学からの付き合いだから」 そう言ってから、少しだけ言葉を止める。 「……でも」 「え?」 「ううん、なんでもない」 ななさんは首を振った。 そのとき、カウンターの向こうで 渡辺さんがふと処方箋を見て動きを止めた。 ほんの一瞬だけ。 すぐにいつもの顔に戻って 「次どうぞー」と患者さんを呼ぶ。 誰も気づいていないみたいだった。 でもなぜか私は、その一瞬が気になった。 ーーー 私はまだ知らない。 この薬局で働くことが、 **7年前の“ある出来事”**に繋がっていることを。 そして—— たった一度の薬の間違いが、 誰かの人生を変えてしまうことを。