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加柴 沙里
放課後、教室で荷物をまとめながら、沙里が小声で尋ねてきた。
今日初めてやってきた教育実習生──菅岡奈名子。
まだ一言しか話していないのに、茄奈の中では妙なざわつきが残っていた。
小斎 茄奈
加柴 沙里
小斎 茄奈
加柴 沙里
沙里は思わず笑いかけて、それからすぐ真顔に戻った。
加柴 沙里
小斎 茄奈
加柴 沙里
加柴 沙里
小斎 茄奈
茄奈はそう言ったあと、自分でもなぜこんなに警戒しているのか分からなくなっていた。
相手は何もしていない。
ただ自己紹介して、にこやかに微笑んだだけだ。
小斎 茄奈
翌朝、ホームルームの時間。
菅岡奈名子が担任の横に立って、挨拶をした。
菅岡 奈名子
その声はやわらかく、語尾まで丁寧だった。
クラスの空気も穏やかで、特に男子たちは早くも好意的な目で彼女を見ている。
男子生徒
男子生徒
男子たちのささやきが教室の隅でこだましている。
その声に、茄奈は思わず目を細めた。
小斎 茄奈
そんな嫌な予感が、胸に残る。
3時間目、現代文の授業中。
菅岡奈名子は後ろから見学していたが、途中で突然、話に加わった。
菅岡 奈名子
その問いかけに、生徒たちは黙り込んだ。
一瞬、張りつめた空気が教室に広がった──が、
菅岡 奈名子
と、茄奈の名前だけを、ぽつりと呼んだ。
一瞬、背筋が凍った。
小斎 茄奈
茄奈は、ほとんど手を挙げたこともないタイプだった。
答えに自信があるわけでもない。目立ちたいと思わない。
小斎 茄奈
菅岡 奈名子
菅岡は穏やかに笑った。
だがその“穏やかさ”が、どこか──上堀のそれと、重なって見えた。
褒めているのに、じんわりとプレッシャーをかけてくるあの感じ。
小斎 茄奈
胸のざわめきが、もはや「気のせい」と言い切れなかった。
放課後。
茄奈が靴箱の前で靴を履き替えていると、菅岡奈名子が近づいてきた。
菅岡 奈名子
小斎 茄奈
菅岡 奈名子
笑って、頭を下げてきたその姿は、やっぱり──“普通の先生”だった。
でも。
小斎 茄奈
そう、思い出した。
最初は優しかった。けど、少しずつ“本性”を見せていった──あの頃と同じように。
その夜、茄奈は夢は見た。
夢の中で、菅岡奈名子が黒板の前に立っていた。
教壇の上で、見下ろすような笑顔で言う。
…小斎さん。また校則、破ってますね
その声は、まぎれもなく──上堀登代子の声だった。