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こどものいばしょ

16 - 無口な少女と悔しい気持ち

2024年02月22日

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病室 朝

双木 詩乃(ふたぎ しの)

まいちゃんおはよう!

柊 まい(ひいらぎ まい)

…………。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(今日もダメか……。)

この子はちょっと前に入院にした小学3年生の柊まいちゃんだ。この子は、人と関わることができず小学校にも馴染めてはいなかった。まいちゃんの担当になってから何回か挨拶や話しかけてみたりしたが、まいちゃんが喋ることは無かった。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ねぇねぇキッズルーム新しくできたみたいだから、私と一緒に行かない?

窓の外を見て少し考えるまいちゃん。行ってみたいという気持ちになったのかベットから起き上がり私の方をじっと見つめる。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

よし、じゃあ行こうか。

柊 まい(ひいらぎ まい)

……。

キッズルーム

双木 詩乃(ふたぎ しの)

話は聞いたけど…実際に来てみると凄いなぁ。

最近できたキッズルーム。大量の本が敷き詰められた本棚。人形やおもちゃブロックなどなど子どもが夢中になれるものは何でも揃っていた。そしてもう既に数人の子ども達が遊んでいる。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(えっと、、確かまいちゃんは本が好きだったよね。お見舞いに来たお母さん曰く本が大好きで何冊も1日に読んでるって。昨日もお母さんが持って来てくれた本読んでたよね。)

双木 詩乃(ふたぎ しの)

じゃあ…まいちゃんが好きな本読もうか!私が読んであげるよ!どれがいい?

目を輝かせながら本棚に向かうまいちゃん。本棚につくと迷わず一冊の本を手に取り私に渡した。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ええと…なになに?

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(あっ、まいちゃんが笑った。しかも凄く楽しそう。)

この歳の子なら童話とか可愛いキャラクターの出てくる話とかを持って来るのかと思ったら意外だな…。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ごほんええと……。

本を開くとまさかの最初の漢字が読めなかった。勿論、漢字は苦手でも得意でもない。もうずっと学校行ってないせいかな、、、。

柊 まい(ひいらぎ まい)

……ふふっ。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(あっ、まいちゃんが笑った。今は凄く楽しそう…良かった。)

本を読み終わり…。拍手をしてくれるまいちゃん。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(最初の漢字も途中の漢字も全然読めなかった…。まいちゃんが教えてくれたけど、歳上なのに恥ずかしい。)

柊 まい(ひいらぎ まい)

………せん、、い

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ん?どうしたの?

柊 まい(ひいらぎ まい)

私の担任の先生も明るく私に接してくれた。けど、やっぱり私はできなくてここに来ちゃった…。だからお姉ちゃんは先生みたい!

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ふふっ!そう?ねぇねぇまいちゃん次この本読んでみない?

柊 まい(ひいらぎ まい)

…うん!

話すのは好きじゃないまいちゃん。けれど、勇気を出して今話してくれた。そんなまいちゃんともっと仲が良くなりたいと思った。

病室 夜

柊 まい(ひいらぎ まい)

先生!今日は…楽しかった。だからその…明日も遊ぼう?

双木 詩乃(ふたぎ しの)

うんうん!遊ぼう!遊ぼう!

まいちゃんのお兄ちゃん

まーい。そこの看護師さん、少しまいと話をしてもいい?

まいちゃんと話をしていると後ろから若い男性の声が聞こえた。まいちゃんと言っているところからお父さんではなくお兄ちゃんだろうか。普通は家族が来た嬉しいものお母さんが来たときは嬉しがっていた。けれど今来たお兄ちゃん?には怖がっている。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

い、いいですよ。けどもうまいちゃんもいつもの寝る時間になったので早めにしてあげて下さいね。

柊 まい(ひいらぎ まい)

なぁに…お兄ちゃん。私もう寝ないといけないから早くしてね。

まいちゃんのお兄ちゃん

お前さ、まだ無口なままなの?それで学校行かずにここに居るの?新しい学年に上がったら勉強とか追いつけなくなるよ?恥ずかしい。

まいちゃんのお兄ちゃん

話すの無理とか意味が分からない。お母さんもお父さんもみんな、まいのことを今は優しく寄り添ってるかもしれないけどありがたく思えよ。本当はみんなお前のこと嫌な存在だと思ってるよ。可哀想な人ー。

まいちゃんのお兄ちゃん

じゃあ俺もう行きますね。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

………待って下さい!

そんなことを言っても待ってくれるはずがなくお兄ちゃんらしき人は、もう行ってしまった。

柊 まい(ひいらぎ まい)

ぐすんっ。

柊 まい(ひいらぎ まい)

お兄ちゃんなんて大嫌い。何しにここに来たの、、、こっちの方が意味が分からない。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

お兄ちゃんいつもあんな感じなの?

柊 まい(ひいらぎ まい)

……うん。ずっと昔から私にさっきみたいなこと言ってきたの。お母さんやお父さんは私がお兄ちゃんにこんな酷いこと言われているだなんて知らない。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

(だからお兄ちゃんが来たとき怯えてたんだ…私ったら何で止めなかったの…。)

柊 まい(ひいらぎ まい)

…………お兄ちゃんなんて大嫌い!!!

双木 詩乃(ふたぎ しの)

あっ、ちょっと!

病室を勢いよく去るまいちゃん。私は、すぐに追いかける。が、見失ってしまった。

まいちゃんのお兄ちゃん

言い過ぎたか…?まぁいいやまいの為に行ったからな。あははは!

柊 まい(ひいらぎ まい)

ねぇ、お兄ちゃん今から帰るの?

まいちゃんのお兄ちゃん

…は?まい?そうだけどって…人形?

その人形はまいちゃんで間違えなかった。人形は小さいが赤い瞳に殺意が見える。黒のワンピースを着ており人形にはまち針が何本も顔に刺さっており不気味だ。

まいちゃんのお兄ちゃん

な、何?全然怖くねぇわ。さっきのやり返し?

柊 まい(ひいらぎ まい)

お前なんか私のこと何一つ分かってない。私のこといじめてきて馬鹿にしたお前なんか消えてしまえ!!

まいちゃんは顔に何本か刺さっているまち針を一本取り、お兄ちゃんの両目を何回も突き刺す。色んなところにまち針が刺さるその度に血が出た。

まいちゃんのお兄ちゃん

おい!痛いやめろよ!この力…やばすぎる!!!周りに誰もいないし、誰か助けろよ!

双木 詩乃(ふたぎ しの)

あっ!居たっ!に、人形になっちゃってる。もうダメだ。まずはお兄ちゃんを助けないと、、!

北東 隆(ほくとう たかし)

待つでやんす。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

ぎゃあああああああhdsじゃhsjz!

北東 隆(ほくとう たかし)

驚きすぎでやんすよ…。

後ろから声がし振り返ると、初めて見る人が居た。

北東 隆(ほくとう たかし)

コスモス1人でやるのはダメでやんすよ。ここは、マリーゴールドのわたくしとこの薬で一旦眠らせるでやんす。分かったでやんすか?

双木 詩乃(ふたぎ しの)

えっ、あっはい!早くやりましょう!

まいちゃんは、私達に攻撃をしてくるのかと思ったが違った。お兄ちゃんを消す事がどうやら目的のようだ私達には見向きもしない。それで早く薬を打つことができた。

北東 隆(ほくとう たかし)

この人は……オーマイガーでやんすね。

まいちゃんのお兄ちゃん

め、、、目が見えない。全身も痛いし……。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

早く助けれなくてごめんなさい!

まいちゃんのお兄ちゃん

もっと早くに助けろよ!

藤田 梨紅(ふじた りく)

おっと来るのが遅かったみたいだけど、上手くいったんだね。

長瀬 葵(ながせ あおい)

そちらのお怪我は、こちらでは専門外なので今病院の方に来てもらいますのでご安心を。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

でも……自業自得なのかもしれない。人形が暴走するのって改めて怖いけど、まいちゃん…。

長瀬 葵(ながせ あおい)

人形になった者は仕方がない。梨紅、人形の事宜しくね。

藤田 梨紅(ふじた りく)

任せてよ。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

あっ、待って!!

長瀬 葵(ながせ あおい)

どうかしたの?今は薬で眠ってるだけだから、安全だけどしばらくしたらまたやばくなるから。もうあの患者さんは居ないの。別人になったの。

長瀬 葵(ながせ あおい)

あとのことは任せて。詩乃は早く仕事に戻る!リーダーの命令!

北東 隆(ほくとう たかし)

救えないこともあるんでやんす。しかし…自分が担当した患者さんが人形化してしまうと、もっと悲しいでやんす。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

………。

詩乃の部屋

双木 詩乃(ふたぎ しの)

はぁ……。私ったら先生失格かも。

そんなことを思いながらまいちゃんの今までの様子ノートを見ていた。

双木 詩乃(ふたぎ しの)

まいちゃんごめんね…………。人形化した患者さんを元に戻すことってできないのかな?

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