テラーノベル
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5
乾いた銃声のあと。 部屋は静まり返っていた。 男の頬を、 弾丸が掠めている。 血が一筋、 赤い光の中を流れた。 でも男は笑っていた。
" 怖 "
ノアの銃口は、 真っ直ぐ男へ向いている。 青い目は、 本気で冷えていた。
ノア
低い声。 冗談じゃない。 男は頬の血を指で拭う。 それを見たユキが、 小さく息を呑んだ。 この人、 怖がってない。 銃向けられてるのに、 全然。 アベルが静かに口を開く。
クロエ
男が笑う。 " 久しぶり アベル "
ジンの銃口は下がらない。 灰色の目だけが、 鋭く男を見ている。
ジン
男は少し考えるふりをした。 それから、 楽しそうに笑う。 " 今はカラス。 そう呼ばれてる "
クロエが舌打ちした
クロエ
" 酷いなぁ "
でも、 誰も笑わない。 レイだけが、 男——カラスを見ていた。 その目は、 怒りとも違う。 憎しみとも違う。 もっと、 深い何かだった。 カラスは静かに笑う。
カラス
ノアの眉が寄る
ノア
カラス
ノア
カラス
軽い会話。 なのに、 空気は張り裂けそうだった。 カラスはゆっくり、 部屋の中へ入ってくる。 誰も撃てない。 撃てば、 真実が消える。 それを分かっているみたいに。 カラスは静かに言った。
カラス
その瞬間。 レイの呼吸が止まった。 ノアが横を見る。 レイの顔色が、 白い。 カラスは続ける。
カラス
部屋が静かになる。 ユキはもう、 空気だけで苦しかった。 ジンが低く言う。
ジン
珍しく、 感情が滲んでいた。 カラスは少し笑う。
カラス
赤い非常灯が揺れる。 カラスはゆっくり、 レイへ近づいた。 ノアが銃口を向けたまま、 前へ出る。
ノア
カラスは止まらない
カラス
低い声
カラス
レイは動かない カラスは笑う
カラス
その瞬間。 ——ガンッ!! レイの拳が、 カラスの顔面へ叩き込まれた。 ユキが息を呑む。 カラスの身体が壁へぶつかる。 初めてだった。 レイが、 ここまで感情を出したのは。 レイは震える声で言う。
レイ
呼吸が乱れている。 黒い前髪の隙間から、 痛いくらい冷たい目が覗く。
レイ
レイの拳が、 カラスの顔面を殴り抜いたあと。 部屋には、 重たい沈黙だけが残っていた。 カラスは壁にぶつかったまま、 ゆっくり口元の血を拭う。 そして。 笑った。
カラス
ノアの眉が歪む
ノア
カラスは血の着いた指を見ながら 楽しそうに笑う。
カラス
レイの呼吸は乱れていた。 黒髪が濡れたみたいに額へ落ちている。 その目は、 今までで一番冷たい。
レイ
掠れた声。 でもカラスは止まらない。
カラス
赤い目が、ゆっくり細まる
カラス
空気が凍る。 ユキが小さく後ずさる。 クロエは顔をしかめた。
クロエ
ノアが舌打ちする
ノア
でもカラスは、 ノアなんて見ていなかった。 視線はずっと、 レイだけ。
カラス
低い声
カラス
レイの指が震える。 怒りか、 恐怖か、 自分でも分からない。 カラスは笑う
カラス
その瞬間。 ——ガンッ!! 今度は、 ノアがカラスを蹴り飛ばした。 カラスの身体が床へ転がる。 ノアの目は完全に怒っていた。
ノア
低い声。 殺気。 ユキですら息を呑むくらい、 危なかった。 でもカラスは、 床に倒れたまま笑っている。
カラス
ノアの青い目が細くなる
ノア
カラス
カラスはゆっくり起き上がる。 血で濡れた口元。 灰色の髪。 壊れた笑み。
カラス
その瞬間。 部屋の空気が変わった。 レイの目が見開かれる。 ノアの顔から、 笑みが完全に消えた。 カラスは気づいてないみたいに、 楽しそうに続ける。
カラス
——バンッ!! 乾いた銃声。 今度は、 レイだった。 弾丸が、 カラスの肩を撃ち抜く。 ユキが息を止める。 ジンですら少し目を細めた。 レイは銃を向けたまま、 震える声で言う。
レイ
その顔は、 怒っていた。 でもそれ以上に。 泣きそうだった。
コメント
1件
レイの「笑うな」、あの一言に彼女の全部が詰まってる気がしました。抑えてきた感情が拳になって、それでも泣きそうな顔で…読んでるこっちまで息が詰まりました。カラスの執着も怖いけど、真実を隠したまま進むしかない彼らの関係が切ないです。続きが気になる…!