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続きが見たすぎる!
水
なんなの………っ!?
この気持ち…………、
あのひとが触れられた場所が、熱くて。
あのひとに触れた場所も、熱くて。
ふわふわとする、高揚感。
この気持ち。感覚。
これは…………、
水
嘘だ。
僕があのひと以外に恋をするなんて、ありえない。
何年も想い続けて、何年も苦しんで。
あのひとのために、自分磨きを頑張ったり。
全て、“あのひと”のために。
水
数年前。僕は、授業中に熱を出し、倒れた。
担任の先生に、保健室まで運んできてもらったけれど。
保健の先生は居なかった。
しかし、先生も次の授業があるため
水
そう答えると、先生は僕に念を押して、出て行った。
ほっと気が抜けると、改めて自分の熱の酷さが分かる。
額は熱く、喉も焼けるように痛い。
背筋はゾクゾクと、寒気がする。
誰かに助けを求めたい、
そう強く願っていたとき。
桃
背丈は僕より少し、大きいぐらいだろうか。
視界が歪んで分からない。
だけど、目立つようなぴんく色の髪に、ちらりと覗く黒色のピアス。
桃
水
こくりと小さく頷くと、そのひとはテキパキと動き始めた。
桃
水
ひた、と冷たいタオルが額の上に乗る。
だけど、そのくらいじゃ収まらない程の熱い身体。
桃
水
上半身だけ、ひんやりとするタオルで拭いてもらった。
桃
水
水
先程まではひんやりと冷たかったタオルも、自分の熱で温まってきているようだ。
水
心做しか、頭痛も酷くなってきているようだ。
水
桃
桃
水
朦朧とする意識の中、根性で上半身を起こす。
桃
水
ひんやりレモネード
と書かれたボトルを貰い、必死に喉に通す。
水
少しだけ、喉の痛みが引いた気がする。
桃
そう言って渡されたのは、のど飴。
おとなしく従って、舐める。
水
桃
エンジェルスマイルを浮かべ、僕の頭を撫でる。
桃
水
このひとがいなくなってしまえば、僕はまた独りぼっちかもしれない。
風邪特有の、甘えた心配症候群が 発動する。
桃
桃
その一言で安心して、僕は睡魔に身を任せた。
水
ふと目が醒めて、周りを見渡す。
さっきのあのひとは何処へ行ったのだろう…………、
ここに居る、と言ったのに。
水
ふと、太腿の方に重みを感じ、下を見る。
水
そこには、さっきのあのひとが頭を置いて寝ていた。
桃
起こしてしまったのか、そのひとは軽く唸り声をあげ、瞳を開く。
桃
ぴんく色の髪に、薄紅色の瞳。
鼻筋が高く、整った顔。
両耳には、黒色のぴあす。
子犬のような微笑み。
あの頃から、僕は
水
高校卒業後の、春休み。
あのひとと同じ大学に入るため、わざわざ違う県の入試を受けた。
そのため、この春からは実家を離れる。
水
長年住まわせてもらったこの家と離れるのは、不思議と寂しくなかった。
それは、これからに期待を膨らませているからだろうか。
意気揚々と出発した。
♡400