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中也
声は届かない。
声よりも先に動いた身体は棚に躓き床に打ち付けた。
中也
異能無効化
太宰には 異能を使う事が出来ない。
中也
いくら悪運の強い太宰でも
この高さから落下すれば 助かる筈が無い。
無我夢中で叫んた声は虚しく 消えていき
必死で身体を動かす。
もし、自分の声が届いたら
太宰は振り向いて 止まってくれただろうか。
そんな事が頭をよぎった瞬間 視界から太宰の姿が消えていく。
中也
冷たい風が吹きつける中
先刻まで太宰の羽織っていた 外套だけが闇に消えていく。
間一髪で身体を引きずり込んだ 中也は
太宰に覆い被さるような格好で 倒れ込んでいた。
何も言わず俯むく太宰の 胸ぐらを掴みあげる。
中也
中也
中也
中也
気付けば中也の身体は小刻みに 震えている。
呼吸が荒くなり 上手く息が吸えない。
中也
中也
ただ感情のままに叫ぶ。
自然と溢れだす涙を止める事が 出来ず
視界がぼやけ、歪んでいく。
中也
中也
中也
中也
怒り…悲しみ…不安…恐怖…
そういった感情の奥にある思いが 抑えきれない程に膨らんでいく。
中也
そう思いながらも、とめどなく 溢れる言葉を止める方法等
ある筈も無かった。
中也
小さな声だった。
自分にすら聞こえるかどうか 怪しい声だったが
心の中で何かが吹っ切れる。
もう、止まらない。
中也
中也
中也
中也
中也
中也
熱を帯び、染まっていく顔。
今、太宰がどんな表情をしているか分からない。
中也
中也
中也
中也
グイッ─
太宰の顔を強引に引きつけた中也は触れるだけのキスをした。
一瞬にも、永遠にも感じられる 時間が流れ
ゆっくりと離した唇から 温度が消えていく。
中也
そうポツリと呟き手を離す。
その瞬間だった。
太宰
それは確かに太宰の声で
言葉の意味を理解する間もなく 中也は押し倒された。
中也
状況が飲み込めず、戸惑う 中也の唇に太宰の唇が重なる。
中也
中也
中也
意識が遠のいていくような感覚の後、ゆっくりと唇が離れていき
白い包帯から伸びた指が 中也の涙を拭う。
晴れた視界に見えた太宰の顔は ほんのりと赤く染まっていた。
太宰
太宰
いつもとは違う 消え入りそうな声で呟く。
太宰
太宰
太宰
太宰
太宰
太宰
太宰
太宰
太宰
俯いていた太宰が 静かに顔を上げる。
その顔からは、いつもの嘘臭さも 冷静さも感じられない。
太宰
太宰
中也
太宰
太宰
幸せそうに目を細め ゆっくりと中也を抱きしめる。
止めどなく溢れる涙が頬を伝い 太宰の胸へと吸い込まれる。
中也
太宰
中也
太宰
太宰
異能のせいか、思った事が素直に 口に出て来てしまう。
ほぼ無意識に中也が呟いた。
中也
中也
中也
太宰
暫く驚いたような顔をした後
太宰が見慣れない携帯を 取り出した。
中也
言いかけた中也の目の前で 後ろに投げられた携帯が
ベランダの柵を超え落ちていく。
中也
太宰
太宰
太宰
中也
太宰
太宰
中也
太宰
太宰
太宰
中也
更に熱を帯びていく顔を逸らすと 太宰が中也の手を引き立ち上がる。
言葉を交わさずとも分かるその意味に断る理由等無く
二人並んで消えた窓がゆっくりと 閉められた。
コメント
8件
大好きですうううううううンンンンンン泣いちゃったよおおおおおおンンンンン((うざ((スイマセン((土下寝
っ尊、、、、、、、、、、、、、
(麗夜凛月) 中也さん少し女々しめ(?)になってしまったような気が…:(´ºωº`):((そういうのがド性癖な豆腐でした 分ッッッかる…本当太中神ッ…、、\(//Д//)/♥