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アイ
ハルナちゃん、こんにちは～
アイ
どう？そろそろ赤ちゃん、できた？
ハルナ
お義姉さん、こんにちは。
ハルナ
いえ、まだです…
アイ
うっそ～、まだできないんだ～！
アイ
高いお金かけて不妊治療してるのに、うまくいかないもんだね～。
ハルナ
はぁ…
アイ
私なんて、いま4人目妊娠中よ？
アイ
なんで同じ女なのにここまで違うんだろうねｗ
ハルナ
あはは…まぁ気長に頑張ります。
アイ
いや、でも焦った方がいいよね。
アイ
ハルナちゃんも今年29でしょ？
アイ
初産は20代とか早いうちがいいって、テレビで言ってたよ～
ハルナ
そうですよね。
アイ
まぁマサユキも出張が多いし、なかなかタイミングも難しいよね。
ハルナ
はい。今月もずっと県外に出張で…。
アイ
まぁ、それでも女が妊娠しやすい体質なら問題ないんだけどね。
アイ
私、子ども4人共一発でできたもんね～
アイ
だから、不妊とかマジ無縁ｗ
ハルナ
すごいですね。
アイ
4人目とか作る気無かったから、妊娠分かった時は絶望したからねｗ
ハルナ
そんなこと言うと、赤ちゃんが可哀想ですよ。
アイ
まぁ今になって思うけど、女って子ども産んでなんぼだよね。
アイ
妊娠したって言うと親もめっちゃ喜んでくれるしさ。
アイ
旦那にも大事にしてもらえて、家事とか代わりにやってくれるし。
アイ
妊娠期間中だけ、女王様になれる感じ？
ハルナ
それは羨ましいです。
アイ
ハルナちゃんってさー
アイ
大卒で大企業で働いてるからって、高卒の私をバカにしてたとこあるでしょ？
アイ
いま、完全に立場逆転しちゃってるからね。
ハルナ
そんな…バカになんてしたことないですよ。
アイ
才女が嫁に来てくれたって親におだてられて、いい気になってたじゃん。
アイ
私、あんたが家に来るたびすっごくミジメな気分だったんだから。
ハルナ
お義姉さんがそんな気持ちだったとは知りませんでした。
アイ
ま、喜んでた親も、いまは嫁ガチャ大ハズレだと思ってるよね。
アイ
結婚して何年もたつのに、1人も孫を産まないからｗ
ハルナ
それは言い過ぎではないですか？
ハルナ
私もマサユキさんも、妊活に一生懸命取り組んでいるのに…
アイ
わぁ、怒った怒ったｗ
アイ
そうやって妊活でピリピリする人のこと、不妊様って言うんだよｗ
ハルナ
教えてくれてありがとうございます。
ハルナ
会社のお昼休憩が終わるので、これで失礼しますね。
アイ
はーい！
アイ
不妊治療代のため、お仕事頑張ってね～ｗ
2週間後…
ハルナ
ちょっとお義姉さん、困りますよ。
ハルナ
朝から家に押しかけてきて「今日からここに泊まる」なんて…。
ハルナ
出勤の時間が迫ってたから仕方なく家に上がってもらいましたけど…。
アイ
朝からごめんごめん、電車間に合った～？
アイ
旦那と喧嘩して子どもと家を飛び出したのよ～。
アイ
他に行くとこないから、しばらくここにいさせてよ、いいでしょ？
ハルナ
どうして旦那さんと喧嘩したんですか？
アイ
だってあいつ、ひどいんだもん！
アイ
「毎日家事も育児もしないでゴロゴロしてる」とか嫌味ばっか言ってくるの！
アイ
私は妊娠してんだから、何もできないのは当たり前じゃん？
アイ
ポテチの袋を開けるのも身体が重くてしんどいんだから！
ハルナ
はぁ…
ハルナ
でも、子どももいるなら実家を頼った方が良くないですか？
アイ
いや両親も口を開けば説教だしウザいの。
アイ
「世の中には妊娠中でももう少し家事をしてる人もいるんだぞ」とか言って。
アイ
2人とも、クソ旦那の味方するんだもん！
ハルナ
だからって、子ども3人も連れてウチに来られるのも困りますよ。
アイ
どうしてよ。
アイ
マサユキは出張中でいないし、こんな広い一軒家で1人なんて寂しくない？
アイ
可愛い子どもが3人もいると、賑やかで楽しいよ～。
ハルナ
毎日仕事で疲れているので、家ではゆっくり休みたいんです。
アイ
なにそれ～
アイ
子どもが欲しいハルナちゃんが喜ぶと思って子ども連れて来たのにさ。
アイ
ま、とりあえず今日1日でいいから泊めてよ。
ハルナ
はぁ、じゃあ1晩だけですよ…
アイ
ありがと～♡
アイ
あ、帰りに私たちのご飯買って帰ってきてね！
アイ
タクミは牛丼で、ナオトはハンバーガー、カイトはラーメンがいいって！
アイ
私はつわりで食欲無いけど、ステーキなら食べられると思う～
ハルナ
分かりました…
2日後…
アイ
ハルナちゃん、仕事休みの日にどこ行ったの～？
アイ
もう夜じゃん
アイ
子ども達お腹空かせてるから、早く帰ってきてよ～。
ハルナ
お義姉さん、大変です。
アイ
え？なに？
ハルナ
私、妊娠したみたいです。
ハルナ
最近、なんか気持ち悪いなって思ったら…
ハルナ
今、不妊治療の病院で、陽性って知らされたんです！
アイ
マジか…
アイ
よ、良かったじゃん…
ハルナ
マサユキさんにも報告したら、すごく喜んでくれました！
ハルナ
私も、諦めかけていたので、とても嬉しい。
アイ
妊娠で頭がお花畑になってるとこ悪いけどさ。
アイ
早く帰ってきて私たちのご飯作ってくれない？
ハルナ
え？
ハルナ
お義姉さん、私の話聞いてました？
ハルナ
私、妊娠したんですよ。
アイ
うん、知ってるけど。
ハルナ
陽性は出たけど、初めのうちは不安定なんです。
ハルナ
無理してお義姉さん達の世話して妊娠継続できなくなったら困ります。
ハルナ
最初から1晩だけの約束だったし、もう出て行ってほしいんですけど…
アイ
はぁー！？なにそれ！？
アイ
妊娠が分かった瞬間追い出すなんて、冷たい人間だね！
ハルナ
この2日間、お義姉さん達のワガママに散々付き合ったじゃないですか。
ハルナ
食事の用意から、子ども達の入浴、それに遊び相手まで…
ハルナ
妊娠が分かって、もうこれ以上無理できません。
アイ
嫌だ！絶対に出て行かないから！
アイ
子どももやっとここの暮らしが慣れてきたってのに、ひどい！
アイ
子ども用の棚とかも、もうネットで注文しちゃったのに～
ハルナ
なに本格的に住みつこうとしてるんですか。
ハルナ
その子ども達、私を見るや飛び掛かってくるから危なっかしいんですよ！
ハルナ
それで転んで赤ちゃんに何かあったら怖いし…
アイ
それくらい大丈夫だって！
アイ
ハルナちゃん、神経質すぎ～
ハルナ
とにかくお義姉さんの旦那さんに連絡して、迎えに来てもらいます。
アイ
ちょっと！勝手にクソ旦那に連絡するなよ！
アイ
まったく、変なタイミングに妊娠するんだから！
アイ
あんたのお腹の赤ちゃんなんていなくなればいいのに！
ハルナ
そんな酷いこと言わないでください！
1時間後…
アイ
ねぇハルナちゃん、いまどこにいる？
ハルナ
駅に着いたところですけど…荷物はまとめてくれました？
アイ
それどころじゃないよぉ…
アイ
一番下のカイトが行方不明なの！
ハルナ
え？
アイ
勝手に玄関から出て行っちゃったんだ。
アイ
まだ3歳だから、遠くには行ってないと思うの。
ハルナ
そんな…どこに行ったか心当たりはありますか？
アイ
近所の神社が怪しいと思う！
アイ
駅から近いし、ハルナちゃん、探してくれる？
アイ
私は他の所を探すからさ！
ハルナ
もう暗いし、早く警察に届けたほうがよくないですか？
アイ
警察に説明してる時間がもったいないって！
アイ
駅に着いたら神社に向かって！
アイ
子どもの命がかかってるんだから！
ハルナ
分かりました。
30分後…
アイ
ごめーん、カイト見つかったわ！
アイ
結局家の中で見つかったｗ
アイ
ハルナちゃん？
アイ
既読がつかないな～何かあったのかな？
次の日…
ハルナ
お義姉さん、大変なことになりました。
アイ
も～ハルナちゃん、昨日は家に帰って来ないし心配したよぉ～
アイ
で、何があったの？
ハルナ
昨日、神社にカイト君を探しに行って、階段から誰かに突き落とされたんです。
アイ
ええ！？誰に！？
ハルナ
暗かったし、あの神社は照明も無いから犯人の顔も分からなくて。
アイ
あの神社、夜はマジ真っ暗だもんね～
アイ
酷いことする奴がいるよね！
ハルナ
階段から落ちて気を失って、病院に救急車で運ばれたんです。
アイ
それで昨日は連絡つかなかったんだね。
アイ
ハルナちゃんのお腹の子は？大丈夫だったの？
ハルナ
ええ、お腹の子は大丈夫ですよ。
アイ
あ、そうなんだ…
ハルナ
階段から突き落とされたのは、お義姉さんの旦那さんですから。
アイ
へ？
アイ
階段から落ちたのは、あんたじゃなくてウチの旦那？
アイ
なんでウチの旦那が神社に行ったの！？
ハルナ
昨日、会社終わりにお義姉さんの旦那さんと駅で待ち合わせしていたんです。
ハルナ
お義姉さん達を家に連れて帰ってもらうために。
アイ
なんですって…
ハルナ
そしたらお義姉さんから、カイト君がいなくなったって連絡が入って…
ハルナ
自分の子どもが行方不明ってことで、旦那さんはすぐに神社に走って行きました。
ハルナ
そして、被害にあったんです。
アイ
なんてこと…神社に行ったのが旦那だったなんて…
ハルナ
幸い、軽い打撲で済んだみたいですけど。
アイ
もう！私はあんたに神社に行くよう言ったのに！
ハルナ
私が階段から落ちたら良かったってことですか？
アイ
いや…それは…
ハルナ
お義姉さん、正直に答えてください。
ハルナ
旦那さんを階段から落としたのは、お義姉さんですね？
アイ
な、な、何てこと言うのよ！
アイ
どうして私が夫を階段から突き落とすの！？
ハルナ
本当は私を突き落とす計画だったんでしょう？
ハルナ
でも、暗くて顔が見えず、間違えて旦那さんを突き落としてしまったと。
アイ
言いがかりをつけるのはやめてちょうだいよ！
ハルナ
病院で目を覚ました旦那さんが言ってましたよ。
ハルナ
「俺を突き飛ばしたのは嫁だ」って。
アイ
え…
アイ
ひどい、普通自分の嫁を疑うか？あのクソ旦那…
ハルナ
お義姉さん、いつもカバンにつけてるマタニティーマーク、無くなってません？
アイ
え？
アイ
ほんとだ、無くなってる…。
ハルナ
それはいま、お義姉さんの旦那さんが持ってますよ。
アイ
へ？
ハルナ
昨日、階段から突き落とされる瞬間に、とっさに何かにつかまったらしいです。
ハルナ
それがお義姉さんのマタニティーマークのキーホルダーだったんですよ。
アイ
嘘…
ハルナ
まぁキーホルダーはすぐにちぎれて、旦那さんは落下してしまいましたが。
ハルナ
目を覚ました時に、お義姉さんの名前入りのマタニティーマークを握っていて
ハルナ
旦那さんは、犯人がお義姉さんだと確信したそうです。
アイ
いやだあああああああ
アイ
最悪最悪！
アイ
全部バレちゃうなんて！！
ハルナ
旦那さんを突き落としたのはお義姉さんということで、よろしいでしょうか。
アイ
違う！
アイ
私が階段から落としたかったのは、あんたよ！
アイ
妊娠していい気になってるから、ちょっと懲らしめたかっただけ…
ハルナ
同じ妊婦でありながら、階段から突き落とすなんて、信じられない。
ハルナ
私のお腹の赤ちゃんが、死んじゃってたかもしれないんですよ？
アイ
だって、ズルいじゃん！！
アイ
お腹に赤ちゃんがいるってのは、私だけの特権だったのに！
アイ
大卒で正社員のあんたが、妊娠までしちゃったら…
アイ
また周りはあんたばっかりチヤホヤするじゃん！！
ハルナ
そんなバカみたいな理由で、殺人を犯そうとするなんて…
アイ
ほら！また高卒の私の事バカにしてる！
ハルナ
もう、話にならない…。
ハルナ
とりあえず、お義姉さんは旦那さんのいる病院に向かってください。
ハルナ
旦那さん、お義姉さんに話があるそうなんで。
アイ
やだ！
アイ
クソ旦那となんて、話したくないよ～
アイ
あいつ、お腹の子は浮気相手の子どもじゃないかって疑ってんのよ。
ハルナ
そうなんですか？
アイ
たしかにマッチングアプリで知り合った男とホテルは行ったけどさ
アイ
お腹の子はたぶん旦那の子だって、何度も説明してるのに！
ハルナ
たぶんって…
アイ
そんな問題がある上に、今回のことでしょ？
アイ
絶対に離婚って言われるじゃん！
ハルナ
そうかもしれませんね。
アイ
やだ～、1人で子ども4人も育てられないって！
アイ
実家は狭いし、親はうるさいし…
アイ
こんなことになるなら、勢いで子ども4人も作るんじゃなかった～
ハルナ
話はもういいですか？
ハルナ
病院近くのビジネスホテルを出て、今から家に帰りますから。
ハルナ
私が家に帰るまでに荷物まとめて出てってくださいね。
ハルナ
お義姉さんとは今後顔も合わせたくないので。
アイ
ハルナちゃん、ガチギレじゃん…
アイ
子ども3人もいるのに、急に出て行くなんて無理だよ～
アイ
それに私、妊娠してるんだよ？
ハルナ
私だって妊娠してます。
ハルナ
お義姉さんの旦那さんが、もし出て行かなかったら警察を呼んでもいいって。
ハルナ
そうさせていただきましょうか？
アイ
警察だけは勘弁してください！
アイ
すぐに出て行きますから！
後日談…
ハルナ
その後、もちろんお義姉さん夫婦は離婚。
ハルナ
お義姉さんは、子ども4人を連れて実家に出戻ることになりました。
ハルナ
怠け癖を親から叱咤され、毎日不貞腐れながら生活しているそうです。
ハルナ
私の方は、無事に可愛い女の子を出産。
ハルナ
優しい夫と、3人で幸せに暮らしています。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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