午後10時過ぎ。
社長秘書・ロドリゲスはマンションの部屋に入ると新聞紙を広げた。
激務に追われ、近頃はゆっくり新聞に目を通す余裕もなかった。
…といっても、本人はそれほど社会情勢に対して関心は無かった。
一通り目を通すと新聞紙をソファに放り投げ、キッチンから酒を取りに立ち上がった。
?
突然、部屋の端から声がしてロドリゲスはビクッと体を震わせた。
じっと目を凝らすと、男が立っていた。
ロドリゲス
男が一歩一歩近付くと徐々に電灯の中に顔が浮かび上がってきた。
ヴィクター
ヴィクター
ロス市警のヴィクター・ラングは律儀に腰を曲げて挨拶した。
ロドリゲスは大袈裟に震える手をヴィクターに向けながら、
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
明らかな不法侵入だがヴィクターはまるで相手をからかうような笑みを浮かべた。
それが癇に障ったロドリゲスは口元を歪め、受話器に手を伸ばした。
ロドリゲス
ロドリゲス
ダイヤルボタンを押そうとした瞬間、いつの間にかその手を捕まれていた。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲスは手を振り払うとずるずると後退りした。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターは胸ポケットから4枚の写真を取り出すと、テーブルの上に置いた。
ロドリゲスは恐る恐る写真を覗き込んだが、やがてその顔が引きつった。
小学生らしい子どもを車から降ろす2枚の写真と、逆に乗せようとしている2枚の写真に男が写っている。
いずれも男はロドリゲスだった。
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターは睨み付けるような視線をロドリゲスに投げた。
ロドリゲスはバツが悪そうに椅子に腰掛け、フンッと鼻を鳴らした。
沈黙が流れる。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクターはキッチンからアイスピックを持ち出すと、刃先を下に向け握り締めた。
次に、ロドリゲスの片手をテーブルに広げ、4枚のうち1枚の写真を掴むと、
手の甲に広げ、次の瞬間、先端を写真に突き刺した。
ロドリゲス
突然の凶行にロドリゲスは目を剥き、逃げようと腰掛けた尻を持ち上げた。
が、ヴィクターが膝でロドリゲスの脇腹を思い切り蹴り上げた。
「ドスッ」という鈍い音が響き、ロドリゲスは痛みに顔をしかめた。
苦痛で顔を歪めるロドリゲスの襟首を掴み、ヴィクターは強引に椅子に座らせた。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
不適な笑みを浮かべ、アイスピックを写真の下のロドリゲスの手に振り下ろそうと持ち上げた。
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ヴィクター
ロドリゲス
ロドリゲスは観念したらしく額の汗を拭うと大きく息を吐いた。
ヴィクターはアイスピックをテーブルに突き刺した。
ロドリゲス
ロドリゲス
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲスはゆっくりと頷いた。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ロドリゲスは地団駄を踏みながら言った。
ヴィクター
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ロドリゲス
ヴィクター
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲス
ロドリゲスはニヤッと不気味に笑うと、口の端から血が滴り始めた。
ヴィクター
ヴィクターは慌てて喉に手を突っ込んで吐かせようと試みたが、
そのときには既にロドリゲスは息絶えていた。
ヴィクターはロドリゲスが地団駄を踏んだのを思い出し、しゃがんで足元を見た。
白いカプセル状の薬が2、3個散乱している。
ヴィクターは悔しそうに口元を歪めた。
ロドリゲスを生きてロス市警に連行したかったが叶わなかった。
だが、報告はしなければならない。
携帯をフランクリン警部に掛け、社長秘書のロドリゲスが自殺を図ったことを報告した。
最後に最も重要な報告も兼ねて…。
ヴィクター
ヴィクター
ヴィクター
2019.08.14 作
コメント
2件
早速の投稿ありがとうございます⸜(*ˊᵕˋ*)⸝💕✨