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薔薇の隠し事

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薔薇の隠し事

17 - 薔薇の隠し事 第17話

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2019年08月14日

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午後10時過ぎ。

社長秘書・ロドリゲスはマンションの部屋に入ると新聞紙を広げた。

激務に追われ、近頃はゆっくり新聞に目を通す余裕もなかった。

…といっても、本人はそれほど社会情勢に対して関心は無かった。

一通り目を通すと新聞紙をソファに放り投げ、キッチンから酒を取りに立ち上がった。

時事問題には無関心ですかな?

突然、部屋の端から声がしてロドリゲスはビクッと体を震わせた。

じっと目を凝らすと、男が立っていた。

ロドリゲス

だ、誰だ?

男が一歩一歩近付くと徐々に電灯の中に顔が浮かび上がってきた。

ヴィクター

どうも

ヴィクター

以前、役員のことでお電話したロス市警のヴィクター・ラングと申します

ロス市警のヴィクター・ラングは律儀に腰を曲げて挨拶した。

ロドリゲスは大袈裟に震える手をヴィクターに向けながら、

ロドリゲス

け、刑事が他人の家に無断で忍び込んでもいいのかっ

ヴィクター

いやいや、申し訳ない

ヴィクター

なにせ急用故にどうしても早くお会いしたかったものでしてね(笑)

明らかな不法侵入だがヴィクターはまるで相手をからかうような笑みを浮かべた。

それが癇に障ったロドリゲスは口元を歪め、受話器に手を伸ばした。

ロドリゲス

ヘラヘラしやがって

ロドリゲス

おたくの仲間を呼んでそのツラさっさと俺の前から見えなくしてやる

ダイヤルボタンを押そうとした瞬間、いつの間にかその手を捕まれていた。

ヴィクター

ヴィクター

まぁまぁ、そう慌てなさんな

ヴィクター

ロドリゲスさん…いや

ヴィクター

ハワード・バンクス

ロドリゲス

……!

ヴィクター

あの時の電話で、何処か聞き覚えのある声のような気がしたんだが

ヴィクター

本当にお前だったとはな

ロドリゲスは手を振り払うとずるずると後退りした。

ヴィクター

どうしたんだ

ヴィクター

昔、逮捕した刑事が会いに来ただけにしては

ヴィクター

随分と大袈裟に驚くじゃないか

ヴィクター

完全に更正したのならそんなリアクションはおかしいぜ?

ロドリゲス

俺はとっくの昔に足を洗った!

ヴィクター

果たしてそうかな?

ロドリゲス

なんだと?

ヴィクター

ヴィクター

ちょっとこの写真を見てくれ

ヴィクターは胸ポケットから4枚の写真を取り出すと、テーブルの上に置いた。

ロドリゲスは恐る恐る写真を覗き込んだが、やがてその顔が引きつった。

小学生らしい子どもを車から降ろす2枚の写真と、逆に乗せようとしている2枚の写真に男が写っている。

いずれも男はロドリゲスだった。

ヴィクター

昨日、一昨日の写真だ

ロドリゲス

………

ヴィクター

ヴィクター

この子どもはジーナ・トンプソンの娘だな?

ロドリゲス

…知らない

ヴィクター

お前はジーナ・トンプソンの娘を小学校まで送り迎えしてたんだろう?

ヴィクター

正直に話せ

ヴィクターは睨み付けるような視線をロドリゲスに投げた。

ロドリゲスはバツが悪そうに椅子に腰掛け、フンッと鼻を鳴らした。

沈黙が流れる。

ヴィクター

そうか

ヴィクター

お前がそんな態度なら俺にも考えがある

ヴィクターはキッチンからアイスピックを持ち出すと、刃先を下に向け握り締めた。

次に、ロドリゲスの片手をテーブルに広げ、4枚のうち1枚の写真を掴むと、

手の甲に広げ、次の瞬間、先端を写真に突き刺した。

ロドリゲス

な、なにするんだ?!

突然の凶行にロドリゲスは目を剥き、逃げようと腰掛けた尻を持ち上げた。

が、ヴィクターが膝でロドリゲスの脇腹を思い切り蹴り上げた。

「ドスッ」という鈍い音が響き、ロドリゲスは痛みに顔をしかめた。

苦痛で顔を歪めるロドリゲスの襟首を掴み、ヴィクターは強引に椅子に座らせた。

ヴィクター

ゲームといこう

ヴィクター

ルールは簡単だ

ヴィクター

お前は手の指を好きな風に広げればいい

ヴィクター

人差し指と中指を密着させてもいいし

ヴィクター

小指、薬指、中指を密着させてもいい

ヴィクター

とにかく好きな形を作れ

ヴィクター

俺はこれから3回、写真の上からこいつを今みたいに突き刺す

ヴィクター

悪運強く1回目は外したから2回にしてやる

ヴィクター

2回ともお前の指に突き刺さらなきゃ大人しく引き揚げてやる

ヴィクター

だが、もし突き刺した途端、お前の断末魔のような叫び声が響いたときは

ヴィクター

無理矢理にでも俺の質問に答えさせてやる

ヴィクター

あらかじめ言っておくが質問は二つだ

ロドリゲス

頭がおかしいんじゃないのか?!

ヴィクター

じゃあいくぞ

不適な笑みを浮かべ、アイスピックを写真の下のロドリゲスの手に振り下ろそうと持ち上げた。

ロドリゲス

ロドリゲス

待て、待て!

ロドリゲス

分かった、正直に話すからやめてくれっ!

ヴィクター

本当だな?

ロドリゲス

あぁ…話すよ…

ロドリゲスは観念したらしく額の汗を拭うと大きく息を吐いた。

ヴィクターはアイスピックをテーブルに突き刺した。

ロドリゲス

…あんたの言った通りだ

ロドリゲス

そのガキは「ローズ」のジーナ・トンプソンの1人娘のナディアだ

ヴィクター

それじゃあ二つ目の質問だ

ロドリゲス

なんだ?

ヴィクター

ヴィクター

お前はナディアちゃんの送り迎えを頼まれていたんだろう?

ロドリゲス

…そうだ

ヴィクター

それを頼んだのは

ヴィクター

役員のマックス・アンダーソンじゃないか?

ロドリゲスはゆっくりと頷いた。

ヴィクター

ネルソン殺害時刻、マックスはお前と一緒に仕事で会社に泊まり込んでた

ヴィクター

そうお前は電話で話していたが

ヴィクター

本当はアリバイ工作の為の嘘じゃないのか?

ロドリゲス

あぁ、その通りだよっ

ロドリゲスは地団駄を踏みながら言った。

ヴィクター

ヴィクター

ナディアちゃんは何処だ?

ロドリゲス

………

ヴィクター

答えろっ!

ロドリゲス

それは言えねぇ

ヴィクター

貴様、またゲームの続きをやりたいのか?

ロドリゲス

最後に教えておこう

ロドリゲス

俺はあんたに捕まってムショ暮らしを満喫した後、途方に暮れてた

ロドリゲス

それをアンダーソンさんが助けてくれた

ロドリゲス

俺は悪党だが恩人を裏切るわけにゃいかねぇんだよ

ロドリゲス

例え、死ぬと分かっててもな(笑)

ロドリゲス

ロドリゲス

捕まったときみたいにまたあんたに恥をかかされちまったなぁ…

ロドリゲスはニヤッと不気味に笑うと、口の端から血が滴り始めた。

ヴィクター

(毒を飲みやがった!)

ヴィクターは慌てて喉に手を突っ込んで吐かせようと試みたが、

そのときには既にロドリゲスは息絶えていた。

ヴィクターはロドリゲスが地団駄を踏んだのを思い出し、しゃがんで足元を見た。

白いカプセル状の薬が2、3個散乱している。

ヴィクターは悔しそうに口元を歪めた。

ロドリゲスを生きてロス市警に連行したかったが叶わなかった。

だが、報告はしなければならない。

携帯をフランクリン警部に掛け、社長秘書のロドリゲスが自殺を図ったことを報告した。

最後に最も重要な報告も兼ねて…。

ヴィクター

アリス・ガードナーは無実です

ヴィクター

彼女はマックスの罪を被ったんです

ヴィクター

マックス・アンダーソンが真犯人です

2019.08.14 作

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コメント

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ユーザー
ユーザー

早速の投稿ありがとうございます‪⸜(*ˊᵕˋ*)⸝‬💕✨

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