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ジャリッジャリッ
靴と地面が擦れる音が俺の耳に入る
季節は春。
少しばかり冷たい風が吹く中
俺はある悩みを抱えていた。
1人だけの通学路
1人だけの時間
そう想っていた。
1人だけのはずだったのに
いじめっ子
なつ
よりによっても一番会いたくないやつに
俺は会ってしまった
いつもは1人きりの通学路だからこそ
とても騒がしく感じてしまった
その時俺の耳に大きな音と共に
激痛が襲い始めた
バタッ
俺は道路のど真ん中で倒れてしまった
いじめっ子
いじめっ子
俺が意識を失う前に聞いた
最後の音はあいつが走り去る音だった
いるま
いるま
何の変哲も無い住宅街には
大きなサイレンの音が鳴り響いた
パチッ
俺が目を開いたとき
1番に目に入ったものは
顔が整っている男だった。
なつ
いるま
なつ
なつ
いるま
"いるま"、彼はそう言った。
聞いたことがあるような、ないような
そんな名前だった。
いるま
何だか彼が焦っているように
見えてしまった俺がいた。
いるま
なつ
なつ
いるま
いるま
何だかその笑顔がとても輝かしく見えた
なつ
いるま
ガララッバタン
"いるま"ねぇ、
聞いたことある気がするんだけどな、
いるま
思い出してくれねぇ、よな
あんなにお前と仲、よかったのにな
もう、忘れちまったんだな、
でも、
生きてて良かったな、
俺があげたリングつけて、
前と全く変わらない
"なつ"のまんまでよかった、
今でも覚えてるなぁ、
お前が中学時代
俺に最後に言った言葉が
"貴方のせい"です
だったこと。
いるま