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20年前...ビルステェリー島のある建物にて...

政宗 (幼少期)

今、なんと?

父親

だから!あのパッチを!佐越に与えてやってください!

政宗 (幼少期)

...

政宗 (幼少期)

実の息子を?まだあれは開発段階のα版ですよ?いいんですか?

父親

はい!もう...私にはどうしようも出来ないんです!佐越はまるで...感情のない「ロボット」のようで...

政宗 (幼少期)

それは、貴方と奥様がそうしたのでしょう?

政宗 (幼少期)

親なのに、息子をまともに教育出来ないとはどういう事ですか?

政宗 (幼少期)

自分が佐越君をあんな風にさせたら、今度は人に頼るんですか?

政宗は父親の髪を掴み、目と目を近づかせる

政宗 (幼少期)

了承だ、ただし覚えておけよ?

政宗 (幼少期)

「子に罪はないが、親は罪がある」

政宗 (幼少期)

アンタに似合う言葉はそれだ

政宗 (幼少期)

いいか、生物で例えるならば、コウノトリや蜂はきちんと子を育て上げ、命を繋いでいく...

政宗 (幼少期)

親が子へ、子が親になって、また親が子へ、

政宗 (幼少期)

それは人間だって例外じゃない...だからこそ親には子供に色んな事を教えるんだ、生きるためにな

政宗 (幼少期)

何がダメで、何が良くて、何が危険で、何をやっていいのか、

政宗 (幼少期)

それを覚えさせるのが「親」だろうが?

政宗 (幼少期)

感情だって、人間という生き物の魅力の一つでもある。

政宗 (幼少期)

お前があの女といつもいつもトラブルを起こして佐越を怖がらせ、「マインドコントロール」のように洗脳気味にさせたのは一体誰だろうな!?この外道め!

政宗 (幼少期)

そのせいで佐越君はその魅力が欠けてしまい、見失ってああなったんだよ!

政宗 (幼少期)

自覚しろ!自分の息子が宗教の人間のようになってしまったのは全て俺がやってしまった事だと!全ては俺の責任なんだと!その腐りに腐ったクサレ脳みその中に叩き込んどけ!!分かったか!!

政宗は怒りの表情で父親の耳元に大声で叫んだ。父親は倒れ、酒で酔いつぶれたかのような顔をしていた

父親

す、すいません....も、申し訳...ございません...

政宗 (幼少期)

...チッ、あまりいい気分じゃねえな

政宗 (幼少期)

ねぇ、君は今、何がしたい?

佐越 (幼少期)

...何も

政宗 (幼少期)

じゃあ欲しいものは?

佐越 (幼少期)

...ない

政宗 (幼少期)

あー...今は何を考えてる?

佐越 (幼少期)

...「感情」ってどういうのなんだろうって考えてた

政宗 (幼少期)

...

政宗 (幼少期)

なぁ、君は何故分からないんだい?嬉しいとか楽しいとか思った事はないの?

佐越 (幼少期)

嬉しい...?楽しい...?何...それ?

政宗 (幼少期)

何か自分が欲しいものとかが手に入ったらいい気分にならない?

佐越 (幼少期)

そうなの...?ますます興味が湧いたなぁ...

政宗 (幼少期)

...

政宗 (幼少期)

本当に、何も感じないのかい?

佐越 (幼少期)

あるはあるけど...分かんないし、それを考えると胸が痛くなる...

政宗 (幼少期)

...「恐怖」かな?

佐越 (幼少期)

...多分、それだと思う

政宗 (幼少期)

...

政宗 (幼少期)

ちょっとチクってするけど我慢してね

佐越 (幼少期)

え?なにする...の...?

佐越は気を失う。それを抱える政宗

政宗 (幼少期)

...少量にしといて良かったが...

政宗 (幼少期)

だがこの光景は...誘拐にしか見えないな

政宗 (幼少期)

しかしこの子に悪いことをしてしまったな...手に入れさせる為とはいえ、注射で麻酔を打ち込む、なんて心が痛くなるのは当然だな...

政宗 (幼少期)

おーい、良いぞ

政宗が扉に向かってそう言うと、扉から四人程の医師の男性達が揃って集まる

男性1

政宗様、本当に良いのでしょうか...?まだ幼いのに...

政宗 (幼少期)

...仕方がないだろ、あの無能が必死に頼み込んだからな

○○病院にて...

男性1

政宗様、手術が完了いたしました

政宗 (幼少期)

結果は?

男性1

もちろん、成功です

政宗 (幼少期)

よし...ご苦労だったな

男性1

いえいえ、政宗様のお気持ちがよく分かりましたので...

そして、今現在...

政宗

というのが、君の真実と、パッチが埋め込められていた理由だ

佐越

...

佐越

アンタが...あの時の...

政宗

...君は、感情が欠けていた

政宗

それは人間が当たり前だと感じる、その想いが...君にはなかった

政宗

得てはいたが、分からなく、実質的に言えば君は人間ではないのだ

政宗

何も感じないし、好きな食べ物が何故好きなのか、何故美味しいのか、何故、怖いのか、何故、胸が痛くなるのか

政宗

つまりは...パッチを埋め込んだことによって感情というものが分かり、君はそれでやっと「人」になれたのだ

政宗

だが、20年前の事件で君は...おそらく自身で記憶を忘れさせたのだろう

政宗

新しい偽りの記憶を代わりに得て...

佐越

...どういう事だ?

政宗

まぁ、仕方ない事だ...アレを見てしまってはな

佐越

だから「アレ」ってなんなん――

「佐...越...早...く、逃げ...ろ...!」

お父さん!お母さん!

『ごめん...なさいね、私達のせいで...幸せにできなくて...』

そんな...!!もうお別れなんて...やだよぉ!!

せっかく...やっと分かったのに...お母さんとお父さんと...仲良くできるって...思ったのに...!

お兄ちゃん...

「...俺達は...最低な親だな...」

「息子に...更なる悲劇を...見せさせるなんて...な」

『....そうね...私達は...償いきれないわね...ほん...とう...に』

...お母さん?...お父さん?

ねぇ、返事してよ...目を開けてよ...!

お母さん....!!お父さん...!!

置いていかないでよぉ...もう一人はやだよぉ...

ねぇ...ねぇ...!

う...ああああああああああああああああぁぁぁ!!

佐越

...あ...あああ...

佐越

うっ...!ぐっ...うわあああああ...!!

出海

お、お兄ちゃん...!?どうしたの...?しっかりしてよ...!!

政宗

...

佐越

...

佐越

助け...られなかった...

佐越

親父と...お袋が...

佐越

目の前で...!

出海

!!

出海

も、もしかして...あの時の...事...思い出したの...?

佐越

ああ...そうだよ...

佐越

そして...大人になっても...

佐越

お前の事...守れられなかった...

出海

...え?

佐越

...あの時...約束をちゃんと守っていれば...お前が死ななかったのかもしれないのに...

佐越

俺は約束を破っちまった...!

佐越

誰一人も...家族を助けられなかったんだ...

佐越

俺は...俺は...!!

佐越

ごめんなさい...!!...ごめんなさい!!

出海

...そん...な...事...言わ..ないでよ...

出海

...痛かったけど...お兄ちゃんの...せいじゃ...

佐越

違う、俺の責任だ!!

佐越

出海...お前を死なせてしまったのは...俺が...ある意味俺が殺してしまったようなものなんだ...

出海

...

出海

...痛い

出海

痛い...痛い痛い痛い...!!

「よし、実験は成功だな」

出海

苦しい...苦しいよ...

「だが、こいつは処分する...」

何せ、大方は...

出海

私は...私は...

「失敗作だからな」

出海

いやぁぁぁぁぁぁ!!

「お前はもう...いらない...」

【僕...ちゃんと言う事聞くからぁ...だから...捨てないでぇ...!】

【見捨てないで...お願い..お母さん...!一人はやだよぉ...!】

【お母さん...お母さぁん!!】

...あれは自分で作ったんだ...

...助けられなくて...無力で...そんな自分が嫌で...

だから...忘れて...新しく作って...思い込んでたんだな...

9歳までは幸せだった事も...お袋に捨てられたのも...

全部自分の妄想だった訳だな...

うるさい...

そうなるぐらいなら...なんで手を取らなかった?

黙れ...!黙れ黙れ...!!

なんて親不孝なヤツだ...最低だな

黙れぇぇぇぇぇぇ!!

あああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!

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