灰谷兄弟 妹の災難

かねてから志望していた、 小中高一貫の女子中学校。

私立であり、世間体を重んじる 学校の運営は、お兄達の悪名が轟くのと 同時に呆気なく私を見放した

まあ別に、その事で学校を恨めどお兄達を嫌う理由は何も無い。私だって、喧嘩にはよく参戦してるし

なんなら、憧れていたその学校も、 いざ入ってみれば上品な女の子ばかり。 私の肌には合わないと分かっていた。

じゃあ何が憂鬱なのか、というと、 端的に言えば人間関係の構築だ。 私は稀有な見た目をしている上 コミュ障だから。人に嫌われやすい。

私が後ろに乗り込んですぐ、ブルルンと 音を立ててバイクは走り出した。

〜裏門前〜

数分後

職員室までの道すがらで 龍宮寺さんとも打ち解けて、 タメ口で話せるようになった。 (ついでに呼び方もドラケンくんにした)

それから職員室で担任の先生と 合流した私は、教室に向かった

そしてそこで、居眠りしかけている マイキーくんを怒るドラケンくんと 思ったより早い再会を果たした。

昼休み

マイキーくんやドラケンくんと 私が休み時間に会話し始めると同時に、 クラス中でひそひそ話が始まった。

無理もない。中途半端な時期に 転校してきたアルビノの女が ヤンキー代表みたいな人達と親しげ なのだ。そりゃ不思議にも思うだろう

ガラッ

ぐら、と視界が傾いたかと思ったら、 とくとくと鳴る心臓の音と誰かの… 恐らくはマイキーくんの体温を感じた。 え？なに、状況の理解ができない

とりあえず、マイキーくんの胸に 体を預けたまま、 視線をマイキーくんの顔に向けてみる。

すると、ムスッとしていた彼の顔が にこっと明るい笑顔になった。

わけがわからず、彼と少なくとも 私より面識があるだろう2人に 目を向けると、さっと逸らされた。

マイキーくん以外の3人で、 なんとなく日頃の苦労が見え隠れする 苦笑を交わす。その中に私が居るのが、 なんとなく仲間に入れたみたいで嬉しい

巷に轟いている〖無敵のマイキー〗の 偉業の数々など、微塵も感じさせない マイペースで柔らかな振る舞いに

少し肩透かしをくらいつつも、 暖かい気持ちになった。

キーンコーンカーンコーン

　それだけ言い残して、三ツ谷くんは 爽やかな笑顔で去っていった。

諭すように言って頭を撫でると、 気持ちよさそうに笑ってから すっと離れていった。

次の授業の時間、私と他の2箇所から お腹のなる音が聞こえてクラスに笑いが 巻き起こったのは、また別の話。

灰谷兄妹グループメッセ

放課後

ガラッ

教室を出て颯爽と歩き出した私の前に、 さっき窓際で蘭にぃをイケメンだと 騒いでた女の子達が立ちはだかった

揉め事はごめんだったから、 渋々着いて行った先は裏口だった

そう言った瞬間に、 私の頬に衝撃が走った。

パシッ

遅れて聞こえた乾いた音に、私は 自分が頬を叩かれたのだと気づいた。

女の子が手を振りあげた。 私なら簡単に避けられるけど、 こういうのは被害者になっとく方が 手っ取り早いもんだ。

蘭にぃからゴリラみたいという言葉が 出た瞬間、モブ子の顔が真っ赤になった

ブルルン

そこから蘭にぃは、喋る余裕なんて微塵もないほどの速度で帰路を爆走した。