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『辛かった非凡と鬱に』 StaRt.
藤澤涼架side.
ryok.
mtk.
ryok.
mtk.
もうすっかり日が暮れ
僕は恋人である元貴のところに行こうと合鍵を使って家に入った
元貴は暗い家の中でえずいていた
元貴の手の中には薬の瓶が一つ収まっていた
昨日開けたばかりの新品だった薬の瓶が
もう空になっている
___また、やったのか。
元貴は一ヶ月くらい前からずっと薬を大量に飲む行為__
所謂オーバードーズをやり続けている
昼間は元気なのに、夜になるといつもそう
いつの間にか買ってある市販の薬を沢山口に頬張って
レコーディング、リハーサル、テレビ収録…
疲れたなら休めばいいし、無理して明るく振る舞わなくていいと思うのに。
忙しいのはみんな同じで。
僕も当然若井もそれぞれ色んな仕事があって
だから、お互いに支え合えないのが現状だった
でも今ミセスは踏ん張りどころ。
それぞれが色んなところでミセスを発信して
世間にしぶとく生き残れている
あと少し、あと少しと休暇を後手後手にしながら
今まで走ってきて、元貴も、辛かったのかもしれない
僕は元貴じゃない
元貴にしか分からない悩みや葛藤はわからないし
元貴にしか分からない経験だって沢山あるだろう
大体作詞作曲は元貴に任せているわけだし
フロントマンだからと色々な打ち合わせにでているのも事実
元貴を代わりが務まりますかと言えば、そうではない
今のミセスは、元貴が作り上げたものと言ってもいい
だからこそ僕は元貴にきつく言うことができない
mtk.
ryok.
元貴の胃の中のものを全てゴミ箱に吐き出させる
元貴の目からは生理的な涙が浮かび
呼吸だって荒い
mtk.
ryok.
mtk.
ryok.
元貴は安心したように頬を緩めて僕に抱きついた
以前と同じ暖かさ
オーバードーズをやっていること以外は元貴は前と変わらない
時々作ってくれるトマトパスタの味も
優しくて透き通るような声音も
未来を見据えている瞳も
かっこよくてキレキレなダンスも
おちゃらけて魅せるトークも
テレビに出る時の頼もしい背中も
抱きしめるとわかる元貴の体温も
匂いも、全部全部全部___
前と変わらない
ryok.
mtk.
ryok.
そう言うと、元貴は俯いた
これ以上言うまいと思って僕は無言で抱きしめる
前は、こんなんじゃなかったんだけどなあ
前は逆に僕を支えてくれてた
「大丈夫、涼ちゃんの凄さは僕が全部知ってる」 っていって、優しく背中を摩ってくれた
前みたいに僕が頼りきりってわけにはいかないけどさ
これじゃ、僕もきついよ
朝も昼も夜も元気すぎるくらい元気だった元貴
なのに、今は__
弱々しい声をあげて僕の胸の中で泣く元貴
僕の背中を摩ってくれた元貴は居ない
ねえ、元貴
僕、元貴に無理させてたかなあ
知らない間に抱え込ませてたかなあ
僕は元貴の役に立ちたい、とか
元貴を慰めたい、支えたいって思う反面
疲れたなって
もうしんどいって、思うんだ。
こんにちは
連載ばっか作ってすいません 本当土下座します。 ノートにあった設定が、物凄く刺さったんです
♡&💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
7件
あーーーーー すきです また一番好き更新しちゃったよ、、 わたし絵画大好きなんで どういう解釈なのか見れて 楽しみです…!!
予告でODと伝えられただけでも好きってなってたのに、タイトルが絵画の歌詞になっててもう愛してる(?)🥹🫶🏻✨