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若井side

鳥の声が聞こえる

もう、朝だ。

今日はライブの方針とか、ライブで歌う曲を決める大切な日

スタッフさんとメンバー全員で話し合う。

でも、俺は空気も同然。

多分俺は必要ないけどスタッフさんは“今の状況”を知らないから。

俺は何も言わない。何も言わずにただそこにいるだけ。

スタッフさん.

あ、若井さん、おはようございます

若井.

あ、…おはようございます

スタッフさん.

もうメンバーお揃いですよ、早く行きましょう

若井.

あ、はい

スタッフさんに導かれるまま部屋に入る。

部屋に入った瞬間、それまで楽しく喋っていたはずの元貴と涼ちゃんが黙る。

空気が凍った気がした。

頭が痛い。 ずきずきと、こめかみの奥の方で痛む。

今日、病院に行ったほうがいいかもしれない。

大森.

…若井おはよー…

藤澤.

若井おはよぉ

若井.

おはよ、

二人の小さな声に返事をする。

元貴に挨拶されたのはいつぶりだろう

きっと二人が挨拶したきたのはスタッフさんがいるからだ。

スタッフさんの前では今まで通りのMrs.GREEN APPLEを演じている。

俺と仲良くしておかないと不審に思われるから。

でもきっと俺と二人の間には大きな大きな溝がある。

簡単には埋められないその溝を、スタッフさんの前では薄い布で隠して見えないようにしているだけ。

薄い布がかかっていることをいいことに二人のところに行こうとしても、きっと溝に落ちるだけだ。

だから、俺は何も言わないことを貫いている。

その方が、きっとお互い平和にやれる。

大森.

次のライブ何歌う?リクエストちょーだい

藤澤.

点描の唄とか?インフェルノもいいよね〜

大森.

確かに!でも庶幾の唄は絶対入れる。はい決まり

大森.

…若井は?なんかないの?

若井.

ぇ…、えっと…

藤澤.

ねぇ元貴、若井今考えてたんじゃない?

大森.

あ、そっか。ごめん、涼ちゃんは他リクエストないの?

藤澤.

僕だけじゃなくて元貴はないの?

それから二人は仲良く喋り始めた。

いま、涼ちゃんは完全に元貴と俺を引き剥がした。

俺のことを尊重しているフリをして、元貴との間を引き裂いていった。

それはきっと、元貴と喋っているのに嫉妬したから。

涼ちゃんのその嫉妬さえも懐かしくて涙が出そうになった。

でも堪えた。泣いたら、負けだと思ったから。

何に負けるのか、わからなかったけれど。

頭が痛いのが治らないため、早々に病院に行く。

勿論元貴にも涼ちゃんにもこのことは知らせていない。

多分、曖昧な返事が返ってくるだけだと思うから

前の二人だったらもうちょっと心配してくれたかもしれないけど。

でも、もう無理だと思う。

二人の間に、入る隙間なんてもうないから。

『若井さーん』

看護師さんに手招きされる。

お医者さんの待つ部屋に向かう。

看護師さんが開けてくれた扉をくぐると、お医者さんは複雑そうな顔をしていた。

お医者さん.

若井さん、背中を見せてもらえますか?

若井.

背中?…はい

お医者さんに背中を見せる。

お医者さんは分厚い本を机の上に置いて言った。

お医者さん.

透明病、という奇病をご存知ですか?

若井.

…聞いたことありません

お医者さん.

体が透明化していく極めて珍しい病気です

若井.

透明化…?

お医者さん.

ええ、孤独や悲しみの感情が多くなると一部の人が発症。治ることはありません。

お医者さん.

孤独や悲しみの感情が多ければ多いほど悪化のペースが早くなります。…ですが、若井さんの場合、悪化のペースが早いです

若井.

…早い…

お医者さん.

はい。背中はもう透明化しています

お医者さん.

そして全身が透明になると、死に至ります

お医者さんは最後に付け加えた。

“余命は、長くて一ヶ月です” と。

こんにちは✨

900いいねありがとうございます😭 感想もきていて嬉しいです✨

この作品もいいねよろしくお願いします🤲

それではまた!

君に求められたい人生だった

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コメント

6

ユーザー

え、ヤバい悲しい…

ユーザー

続き楽しみです

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