大森元貴side___
歪んだ、傷だらけの春
いつも家にいる人が
いない、心なしか寂しそうな家
仕事で疲れた時
自分の匂いに混ざった彼の匂いに
心から安心できた毎日
その匂いはだんだんと薄れ、消えかけている
俺の匂いにかき消され、彼がいた痕跡が消えていく
念願だった俳優になり
たくさんのテレビやドラマに出させてもらった
望んだものは沢山手に入った
なのに、何も満たされない
若井を失った穴は何で埋めればいい?
心がカラカラに干からびるばかりで
なにも潤わない
たくさんの犠牲を払い、
たくさんのお金と地位と尊敬を手に入れた
でも一番大事なものは俺の元から去っていった
自分を大事にすることなんて忘れた
自分を好きでいる方法なんて忘れた
いろんなものをなくしていく中で
出会ったのが、若井
虚な目をして
都会のネオンライトの街並みを歩いていく
そんな彼に、俺は惹かれていたのかもしれない
でもそんな彼もなくなり
一つ一つ無くした果てに
ようやく残ったもの
それは一人で抱えるには大きすぎる
孤独だけ
ただ、一つでいい
貴方を守れるだけで、それだけでよかったのに
俺は貴方を守れなかった
沢山我慢をさせて
結局貴方から別れを告げられた
人は失ってから初めてその人の大切を知るんだと
それを気づかずに貴方がいてくれた日々を
俺は仕事に費やして過ごした
そして、すべてを失った
馬鹿は
馬と鹿の見分けがつかない人のことを言うらしい
俺は
大切なものと大切じゃ無いものの見分けがつかない
俺は、馬鹿だった
家に帰っても、誰もいない
前までいた明るさが、もう無い
玄関に飾ってあった花も
この家に咲いていた優しい笑顔も
全部朽ちてしまった
omr.
その声はもう静まり始めた夜の闇に落ちていく
誰にも届くことがない、そんな言葉
こんな夜に俺は不安に押し潰されそうになる
俺は
若井をちゃんと愛せていたのだろうか
会いたい
もう一度、声が聞きたい
そう思ったときには
もう俺は家を出て走り出していた
_____
電車に揺られ
息が切れるまで走り
辿り着いたのはきたことがない小さい村
夜露に濡れた芝生に膝をつきながら
早くも登り始めた太陽を睨む
大丈夫だ、
まだ歩ける
いつもより早い心臓の音
自分自身に尋ねる言葉
もう終わっていいのか?
駄目だ
若井と終わるにはまだ早い
そして仕事をほっぽり出して
初めて仕事を二の次にして
探し続けた人物
その人物にやっと巡り会えた
駅のベンチに腰掛けて
虚な目でホームを見ている
呼べ
俺の家の中に咲いていた
花の名前を
張り裂けるくらいに
omr.
こんにちは
♡800ありがとございます 💬もたくさんうれしいです
♡と💬たくさんください
それではまた
コメント
6件
比喩うまくないですか?ほんとその表現力が欲しい
表現の仕方天才過ぎない?神ですかね
タイトル回収来た〜🥲若井さんのことを花に例えるのすごい好き🥺頑張れ大森さん😭