主
うち、有栖初兎は2年間父さんの仕事の都合で九州に住んどった。
もともと関東に住んどったから、仲のいい友達たちと離れるのはすごい寂しかったけど、中3やったうちに一人暮らしって言う選択肢はなく
泣く泣くみんなと離れることに。
そして今日、やっと住み慣れた地に戻ってきた。
初兎
初兎
初兎
父
母
龍
父さん、母さん、そして弟の龍
当たり前やけど何も変わってなくて安心したなぁ…
でもうちはまたすぐに出ていくことになるんやけど…
母
初兎
母
父
父
父
初兎
父
父
龍
初兎
確かに父さんが言うことは間違っとらん。
うちが通うことになる乾学園は、表…つまり公には県内トップの進学校やけど
実はいわゆる『不良』と呼ばれる生徒が多い。
裏では『暴走族の監獄』なんて言われとるらしい。
父
って、父さんってばまた可愛い可愛いって…。
それは自分の子供だから思うことで、うちに可愛さなんてこれっぽっちもない。
ひ弱なわけでもないし、可愛いわけがないんに…。
初兎
龍
父
一体何が不安なんやろう?
うちは幼い頃から、父さんに言われて空手に柔道、護身術も習っとった。
おかげで父さん以外に負けたことなんか一度もないし、男の子並みにたくましく育ったと思う。
初兎
父
また変なこと言っとるけど、お願いすれば、父さんはNOとは言えんのをうちは知っとる。
昔から父さんはうちと龍にはこれでもかというくらい甘い。
父
父
初兎
えへへ、父さんが優しくてよかったっ…。
父
父
父
初兎
首を傾げると、父さんは
父
と言って別の部屋へと走って行った。
すぐに戻ってきた父さんが手に持っとったのは…小さな箱。
父さんは、それをうちの前でパカっと開いた。
父
父
初兎
箱の中に入っていたのは…。
ボサボサの黒髪ウィッグ…に、おっきいメガネ。
あと…カラーコンタクト?
さっぱり状況が分からず、再び首を傾げる。
父さんは、まるで苦渋の選択を強いられた人のように顔を歪め、口を開いた。
父
父
父
確かにうちは白髪で目は紫だから、一見悪目立ちしてしまう。
カラコンとウィッグに、メガネも…か。
…でも、少し面白そうかもしれんっ…。
初兎
初兎
うちが、この高校に通いたかった理由。
それは、この学校には遠距離恋愛中の恋人である、まろちゃんこと、猫宮いふがおるから。
ちなみに、まろちゃんはうちが帰ってきたことも、乾学園に転入することも知らん。
びっくりさせようと思って、秘密にしとるんよね。
変装して…さらにびっくりさせるんもいいかもしれん…。
まろちゃん、うちやって気づいてくれるかな…ふふっ。
初兎
洗面所に向かい、変装セットを全て付けてみると、うちの面影は全くもって無くなってしまった。
初兎
初兎
父さん、母さん、龍の前に立つと、みんなはうちを見て目を見開いた。
父
父
母
母
龍
まろちゃん、気づいてくれるかなぁ…あはは…ちょっと不安…。
まろ
ふと、昔まろちゃんに言われたセリフが脳裏をよぎった。
…うん、きっと大丈夫や。
まろちゃんならきっとすぐにうちやって見破って、びっくりしたって笑ってくれるはず。
"fatalのみんな"も、気づいてくれたらええな…。
早く、みんなに会いたい。
待っててなまろちゃん。
初兎
うちは恋人の顔を浮かべ、にっこり微笑んだ。
波乱万丈な学園生活が待っているとは、知る由もなく。
コメント
3件
初コメ失礼します このお話著作権侵害なんじゃないですか? パクりは辞めてください。迷惑です。
8話まであるよね
総長様溺愛中につきおもろいよ!