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僕の帰る場所

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僕の帰る場所

9 - 僕の帰る場所

♥

1,508

2022年11月10日

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桃赤

僕の帰る場所。

ポツポツと雨が降り続く

帰り道。

俺はいつものように紫ーくんと

傘をさして帰っていた。

橋を渡ったところで

朝から降り続く雨のせいか

水が多くなっている川が見えた。

俺はそっと

手のひらサイズの

猫のキーホルダーを

片手に持って見つめる。

えっと....その、送ってくれてありがとう//

桃くんと映画に行った帰り

随分暗くなってしまったので

彼はまた家まで送ってくれた。

桃くんと過ごす時間は

あっという間で

かっこよく手を引いて

エスコートしてくれる姿に

思わずドキドキしてしまった。

その、今日はたのしっ....//

なんでもないっ//じゃ、

やだ。最後まで聞きたい

そういい、彼は一歩後ろに下がった

俺の手首を優しく引く。

っ〜//

その....今日は楽しかった...//

また....ね?//

っ!?//

すると

何故か桃くんは

俯いて黙り込んでいる。

髪で顔は見えない。

でも

掴まれた手首に伝わる力が

強くなった気がしたのは

気のせいだろうか。

不思議に思っていると

不意に彼は顔を上げた。

赤、手開いて

へ....

ゆっくり手を開くと

俺の手のひらには

小さな猫ぬいぐるみの

キーホルダーが置かれた。

それは映画で出てきた

猫のキャラクターで

売店で可愛いなと思って

俺が見ていたものだった。

え....これ

今日付き合ってくれたお礼。

!!

嬉しい!ありがとう!!

思わずキーホルダーを頬に擦り寄せて

はにかむと

掴まれていた手首が

ぐいっと引かれ

彼の腕の中に抱きしめられた。

え....も、桃くん....?//

突然の事にびっくりして

固まる俺。

ごめん....もうちょっとだけ....このままでいさせて//

そう言う彼の耳は

真っ赤で

俺もつられて

顔が赤くなるのがわかった。

男の人に

触れられるなんて

ずっと怖いものだと思ってた。

想像したくもなかった。

なのに

背中に回る手と

微かに当たる呼吸が

どうしようもなく

愛おしくて

胸がぎゅぅとなった。

ずっと

このままでいたいと

思ってしまった。

この熱を忘れたくない

そう

思ってしまった。

赤くーん!!

赤くんってば!!

へぁっ....どうしたの紫ーくん

どうしたの、じゃないでしょ〜

話聞いてた?

...ごめん

ハッと我に返ると

少し不貞腐れて

立ち止まり、身をかがみながら

傘の中から紫ーくんが

俺を覗き込んでいた。

どーせまた王子の事考えてたんでしょ

今日は王子来なくて寂しいなぁ〜って

それだって王子から貰ったぽいし

そんなんじゃない!!//

キーホルダーを指差す紫ーくんに

俺は慌ててキーホルダーを

制服のポケットにしまった。

俺から会いたいとか

恥ずかしすぎて、

言えるわけない。

というか

死んでも言いたくない。

紫ーくん....桃くんの事があってから....俺の事からかってばっか....

だって赤くんが可愛いんだもん〜

ちゃんと恋してるみたいで。

こ、恋って//

そんな他愛もない会話をしながら

橋を渡り切ろうとすると

かすかに猫の鳴き声が聞こえた気がした

ねぇ、紫ーくん....なんか猫の鳴き声聞こえない?

えっ、そう?

きょとんと首を傾げる

紫ーくんを横目に

俺は耳をそばだてて

橋から身を乗り出した。

すると川の中の

小さな脆い岩の上に

子猫がブルブル震えていた。

もう少し経てば

きっと溺れて死んでしまうだろう

そう思った俺は

気づいたら

走って橋の前まで戻り

傘と鞄なんか放り出して

草むらの横から

かけだしていた。

赤くん!?

大声で俺の名前を呼ぶ

紫ーくんの声なんか

聞こえなかった。

子猫の様子を確認しながら

バシャバシャと

水の中に入る。

なんせもう秋も終わり頃。

水は凍るように冷たくて

量も多い。

水を吸って重くなる制服に

苛立ちを覚えながら

なんとか子猫の元へたどり着く。

もう....大丈夫だよ

その震える小さな子を

優しく抱きしめながら

やっとの思いで

子猫だけは

岸にあがらせることができた。

でも、もう自分が

岸に上がる体力は残ってなくて

ズブズブと体が沈んでいく。

たすけ....てっ....

あぁ、このまま死ぬのか

そう思ったら

何故か

浮かんできた彼の顔に

....桃くんの顔に

少し笑ってしまった。

動かなくなって感覚が

なくなっていく体に

確かに感じることができたのは

頬に伝う暖かい涙で。

たす、けて....

もも、くん....

遠くなってく意識の中で

誰かに抱きとめられる感覚があって

最後に見えたような気がしたのは

見慣れた淡い桃色だった。

あの....はいw なんかじれったいですね.... これから週一投稿に なっちゃうと思うんですけど.... 投稿する曜日と時間を 決めたいなと思いまして.... なんか希望ありますか....?

この作品はいかがでしたか?

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コメント

36

ユーザー

きゅんきゅんしました… 思わず読み返したんですけど可愛すぎて🤦‍♀️惚れる条件しか持ってないふたりの恋愛を見るのはドキドキせずにはいられません…笑紫くんのポジションがすごく好きです。最高でした。頻繁に浮上しないのでとくにありませんが、ゆっくり自分のペースで楽しく書いていただければ、私はいいと思います。

ユーザー

関連マイリスト失礼します‼️

ユーザー

うわわわわわわわ:(っ'ヮ'c):ハワワ ここまで一気見してきたけどここまで小説作るの上手い人初めてだ!! 好きすぎる🥰続き待ってます!!連載ブクマとフォロー失礼します🙇‍♀️

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