テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
418
狭い牢獄からでもそれははっきりとりょうぼーの耳に聞こえてきた。何かを引き摺るような音とあの男の足音。
五十嵐大呉
格子越しのその男を見た途端、りょうぼーは思わず全身の骨が震えるほど恐怖心を抱いた。それは五十嵐大呉という存在がトラウマとしてりょうぼーの本能にしっかり刻まれている証拠だった。
りょうぼー
五十嵐大呉
その言葉にりょうぼーの肩が跳ねる。何十回繰り返し聞かされたその問い。りょうぼーはもう耳を塞ぎたい気持ちだった。だが、全身があらゆる拘束具で固定されているため、そんな些細な動作でさえ許されない。
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
そのりょうぼーの言葉が逆鱗に触れたのか、大呉は怒りで牢獄の格子を強く蹴った。格子が耳障りな金属音を立てる。その振動は牢獄全体に伝わるほど大きく、りょうぼーが横たわるベッドにも届いた。りょうぼーは怯え、鮮やかな青色の色彩を持つ目をぎゅっと閉じる。目の前の現実が現実であることを信じたくないように。
五十嵐大呉
五十嵐大呉
五十嵐大呉
五十嵐大呉
五十嵐大呉
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
りょうぼー
五十嵐大呉
大呉はナイフや鈍器等を取り出す。拷問が日常になった大呉はいつのまにか拷問器具をポケットに忍ばせるのが当たり前になっていた。
五十嵐大呉
ナイフの切先を心臓に突き立てる。とめどなく血が溢れ手が汚れようとも大呉は凶行をやめない。やめる気なんて大呉の中にはさらさらない。
五十嵐大呉
肢体の肌が血色を失い、土色になっていく。その様子にりょうぼーは絶句する。あまりの恐怖で瞳が揺れ、涙が一筋溢れた。
五十嵐大呉
今、りょうぼーの目の前で惨殺されたのは城の女中頭だ。頭にズダ袋を被せられた状態でりょうぼーを脅すための人質として連れてこられていた。大呉はすっかり独裁者のように、いや独裁者そのものになってしまった。りょうぼーのためなら簡単に人を殺してしまう。それが今の大呉の心理状態だった。
五十嵐大呉
ここでりょうぼーに断るという選択肢は用意されていない。牢獄の扉を開錠し、狂気に陥り理性を失った男がりょうぼーのすぐそばまでやってくる。大呉の陰がりょうぼーを包んだ。
りょうぼー
五十嵐大呉
大呉はいきなりりょうぼーの服を引っ剥がす。りょうぼーは自身の体を好き勝手に弄られる様を、為す術もなく眺めるしかなかった。
りょうぼー
五十嵐大呉
大呉はりょうぼーの胸板に耳を近づけると、その心臓が奏でる音を聞いた。大呉が探していたのはりょうぼーの心臓だったのだ。
五十嵐大呉
りょうぼー
りょうぼーのトクントクンと一定のリズムを刻む心音を大呉は穏やかな顔つきで聴き続ける。りょうぼーが動けない事をいいことに、大呉はりょうぼーの胸板を枕がわりに頭を押し付けた。そうすると心臓の音がよく聞こえるのだろう。りょうぼーはその光景に心底吐き気がした。
そもそも次元が違う彼らは出会ってはいけない運命だったのだ。彼らの歪んだ関係性を説明するには、りょうぼーが召喚された直後の話から語らなければならない。彼らは何故ここまで拗れてしまったのか。どうすればよかったのか。一から振り返って考えてみよう。
コメント
1件
第27話、読みました……。大呉の執着が完全に狂気の域に達してて、心臓の音を聞きながら「お前は実在する人間なんだな」って言うシーン、鳥肌が立ちました。りょうぼーが為す術もなく弄ばれる無力感とか、大呉の「理想を壊さないで」という歪んだ愛情が怖すぎる……。最後の「どうすればよかったのか」に全てが詰まってる気がして、重くて苦しいけど、この闇を描けるの本当にすごいです。続きも静かに受け取らせてください。