どれくらい走っただろう。
喉が渇いた。
足が痛い。
肺も痛い。
呼吸をする度に灼けるように喉が痛む。
其れでもお姉ちゃんは止まらない。
あの地獄から私を連れ出そうとして、只管に走った。
私が転んだ所で、漸くお姉ちゃんも止まった。
酷く荒れた息を整えて、鞄から水を取り出した。
水を布に染み込ませて傷に当てた。
実は、秘かにお姉ちゃんの名前は考えていた。
愛読した星の図鑑に記してあったのを元に、
心の中で何度か其の名を呼んだ。
其れから少し考えて、お姉ちゃんは云った。
屹度、私の意図に気が付いていた。
其れに合わせて名付けて呉れた。
双子らしくて嬉しかった。
其れから川で水浴びをした。
勿論あの家で風呂に入らせて貰える訳もなく、
私たちは猛烈な悪臭を放っていたと思う。
季節は晩秋。
当然水は冷たいわけで、身体は悲鳴を上げる。
柚季は驚いた様な顔をした後、顔を綻ばせた。
善かった。
あの家を出てから、笑うことが増えた。
そう云って柚季はパンを差し出した。
少ないパンを二人で分け合って食べた。
量なんて関係なくて、唯柚季と食べられる事が嬉しかった。
其れから約一ヶ月間
何とか耐え忍んで生きてきた。
食事は三日に一回
水は本当に必要な時だけ。
色々な場所を点々として、多分、東京から神奈川迄来てしまったらしい。
自分が何処に居るのかすら儘ならない。
けど、柚季となら何処までも、
何時までも一緒に居られる気がした。
柚季と居るときだけ私は強くなれた。
_____でも、
輩等
輩等
輩等
輩等
柚季が私の手を強く握った。
輩等
輩等
輩等
ニヤニヤ笑う此奴等に吐き気を覚えた。
柚季と走り出そうとした時、腕を掴まれた。
輩等
輩等
輩等
此奴等が父親の影と重なった。
でも其の時、柚季が私を掴んでる男の腕に歯を立てた。
輩等
輩等
初めてお姉ちゃんに怒鳴られた。
お姉ちゃんだけには嫌わたくない。
其の言葉を信じた。
輩等
輩等
何処迄も追い掛けて来る。
逃げ切らないと、お姉ちゃんにまた逢う為に
輩等
輩等
足が痺れて、追い付かれそうになった時
輩等
?
其の人は現れた。
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