テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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記憶のカケラ

第1話 - 記憶のカケラ　#１

1,020

2020年05月05日

#ホラー

#ファンタジー

#ミステリアス

#恋愛

#童話

霜月琴葉

ナイトメア・シンドローム

簡素にいえば悪夢症候群。

発症不明の病気だ。

しかし、過度なストレスやトラウマを持っている者が発症するのは確か。

もしも…

もしもその病気に侵されたら…

自分を犠牲にする？他人を犠牲にする？

ユレント・アキレア

ここでの暮らしの説明は以上だよ

ユレント・アキレア

部屋に詳しい生活のルールが書いてあるから、確認しておいてね

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

ケイ・アイビー

えっと…なんて呼べば…

ユレント・アキレア

あぁ、僕のことは　先生　とでも読んでくれたら良いよ。

ユレント・アキレア

夕食までに時間があるし、他の子たちに挨拶してくるのも良いかもね！

ケイ・アイビー

……ｺｸｯ

ケイの部屋

ケイ・アイビー

先生の言ってた詳しい説明ってやつはこれかな…。

1、22時には寝るようにしましょう。

2、6時には起きましょう。

3、喧嘩は極力起こさないようにしましょう。

4、22時に寝付けなくても自分の部屋から出ては行けません。

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

これと言って厳しい決まりはないみたい。

ケイ・アイビー

4が少し気になるけど…

ケイ・アイビー

まぁ、別に守れば良いよね。

ケイ・アイビー

他の人達に挨拶して来ようかな。

アカネの部屋

アカネ・スズラン

あ、君が今日引っ越して来た子？

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

アカネ・スズラン

僕の名前はアカネ・スズラン。

アカネ・スズラン

君の名前は？

ケイ・アイビー

ケイ…。

アカネ・スズラン

ケイ…

アカネ・スズラン

そっか、よろしくね！

アカネ・スズラン

あぁ、そうそう…１つ言わなきゃいけないことがあって…。

アカネ・スズラン

リリちゃんに近づいたら抹殺するから…ﾆｺｫｯ

ケイ・アイビー

……？？？

アカネ・スズラン

リリちゃんを避けてリリちゃんを傷つけることはもっと許さないけど☆

ケイ・アイビー

……ｺｸｺｸｯ

アカネ・スズラン

ケイと僕の部屋の構造は、あんまり変わらないと思うけど…

アカネ・スズラン

ゆっくりしてってよ。ﾆｺｯ

アカネ・スズラン（♂）

部屋を見たところ、本がたくさんあった。

真面目そうで優しい人っぽい。

リリちゃんというのは…誰だろう？

性格→真面目

過去→？？？

好きなもの→リリちゃん☆

レモンの部屋

レモン・サフラン

お！お前が新しいやつか！

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

レモン・サフラン

なんだか…貧相っぽいな…。

レモン・サフラン

まっ、俺と居れば、嫌でも複相になると思うぞ！

レモン・サフラン

えっと…確かケイだったよな？

ケイ・アイビー

あれ、なんで知ってるの…？

レモン・サフラン

この前、先生から聞き出したからな！

レモン・サフラン

先生、優しいからなぁ！問い詰めればすぐに聞き出せちまうんだ！

レモン・サフラン

勝手に俺の部屋を探索しても良いぞ〜！

レモン・サフラン（♂）

どこからどう見ても陽気な彼。

部屋には幸せそうに微笑む両親とレモン、兄と思われる人物の写真があった。

性格→陽気

過去→？？？

好きなもの→インターネット、檸檬

リリアの部屋

リリア・ペチュニア

あ…っ、ど、どうも…！

リリア・ペチュニア

リリア…です……！

リリア・ペチュニア

えっと…お名前は……？

ケイ・アイビー

ケイ・アイビー……。

リリア・ペチュニア

ケイ…さんですか…。

リリア・ペチュニア

素敵なお名前ですね…！

リリア・ペチュニア

これから……よろしくお願いします…！！

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

リリア・ペチュニア

あの…。

ケイ・アイビー

なに…？

リリア・ペチュニア

ケイさんは…記憶…喪失なんです…よね……？

リリア・ペチュニア

あ！傷つけてしまったら…すみません……。

ケイ・アイビー

うん、名前も思い出せなかったんだけど…。

ケイ・アイビー

ここに来るときに、先生につけて貰ったんだ…ﾆｺｯ

リリア・ペチュニア

そうなんですか…！

リリア・ペチュニア

わ、私に…できることがあれば、なんでも言ってくださいね…！

ケイ・アイビー

うん…ﾆｺｯ

リリア・ペチュニア（♀）

可愛らしい少女。なんだか安心する。

アカネが好きになる理由も分かるかも…

部屋は殺風景で難しい本がたくさんあった。

性格→少し臆病、おしとやか

過去→？？？

好きなもの→果物

メイの部屋

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

（たくさんの絵が置いてある。）

メイ・カンパニュラ

あら、私に何か用ですかぁ？

ケイ・アイビー

…！

ケイ・アイビー

あ…いや、挨拶に……。

メイ・カンパニュラ

あぁ、新しい方ですねぇ〜！

メイ・カンパニュラ

私はメイ・カンパニュラと申します〜！

メイ・カンパニュラ

あなたは？

ケイ・アイビー

ケイ・アイビー…

メイ・カンパニュラ

よろしくお願いしますぅ！

メイ・カンパニュラ

あ！あなたの絵を描いても良いでしょうかぁ？

ケイ・アイビー

うん…、良いけど…どうして？

メイ・カンパニュラ

私、記憶を絵に収めるのが好きなんです〜！

メイ・カンパニュラ

あの子の…ためにも……ね。

ケイ・アイビー

……？

メイ・カンパニュラ

はい、ではそこに座ってくださ〜い！

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

メイ・カンパニュラ

できましたぁ！

ケイ・アイビー

うわぁ…、すごく上手いね…！

メイ・カンパニュラ

絵を描くことだけが私にできることですから…、、

メイ・カンパニュラ

私は絵を描かなくてはいけないんです……。

ケイ・アイビー

…？

メイ・カンパニュラ

私のことは気にせず、ゆっくりしていってくださいねぇ〜

メイ・カンパニュラ（♀）

絵がとても上手い少女。部屋は油性絵具や、筆…鉛筆…

絵に関係するものとベットしか置いていない。

あの子　って誰だろう

性格→不思議

過去→？？？

好きなもの→アトリエ

夕食の時間

レモン・サフラン

そういえば、お前、頭良いんだってな！

ケイ・アイビー

え…、うん……まぁ、それなりに…

レモン・サフラン

スゲーな、俺なんて全く覚えられない！

レモン・サフラン

んまぁ、アカネもリリアもメイも…みんな頭良いんだぜ！

アカネ・スズラン

……ﾄﾞﾔｻｯ

リリア・ペチュニア

い、いや…私は……よく…ないです…

アカネ・スズラン

（リリちゃん、すごく謙虚…！まさに天使）

レモン・サフラン

頭が悪いのは俺と先生だけだな！

ユレント・アキレア

そうだね〜、僕はあんまり良くないかな…

ケイ・アイビー

そうなんだ……。

メイ・カンパニュラ

先生は、頭が悪いぶん、オールマイティなんですよ〜

リリア・ペチュニア

確かに…、料理も…美味しいし…！

レモン・サフラン

あ〜、でも、運動はイマイチだよなー

レモン・サフラン

去年の雪合戦の時なんて、先生避けるのが下手だから全部当たってたよな！

ユレント・アキレア

う〜ん…、それはねぇ…

ユレント・アキレア

おっと、そろそろ就寝準備の時間だね。

ユレント・アキレア

みんな、早く寝るように！

レモン・サフラン

早いなぁ〜…。

メイ・カンパニュラ

寝るまでに何の絵を描こう…？

アカネ・スズラン

リリちゃん、また明日ね！

リリア・ペチュニア

う、うん…！

ユレント・アキレア

あ、ケイはちょっと残っててね〜。

ケイ・アイビー

はい

ユレント・アキレア

ここに来て半日経ったけど…。

ユレント・アキレア

どう？慣れた？

ケイ・アイビー

はい、それなりに…

ユレント・アキレア

そっか、それは良かった！

ユレント・アキレア

みんな個性豊かだけど優しいでしょ？

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

ユレント・アキレア

あと…、部屋に置いてあった詳しいルールはもう見てくれたかな？

ケイ・アイビー

はい

ユレント・アキレア

良かった…！

ユレント・アキレア

あ、あと……これ。

藍色の手帳を貰った

ユレント・アキレア

これは…日記ってところかな。

ユレント・アキレア

君が楽しいと思ったこと、悲しいと思ったこと。

ユレント・アキレア

なんでも良いからこの手帳に書いてくれると嬉しいな。

ケイ・アイビー

分かりました…！

ユレント・アキレア

足を止めてしまってごめんね、もう話は終わり。

ユレント・アキレア

22時までは他の子のところに行っても大丈夫だから…

ユレント・アキレア

あ、でも22時になったら自分の部屋から出てはいけないよ？

ケイ・アイビー

…はい

レモンの部屋

レモン・サフラン

なぁ、お前知ってるか？

ケイ・アイビー

なにを？

レモン・サフラン

夜になると、二階の図書室にどこかに繋がる扉が出るんだってよ！

ケイ・アイビー

……！

レモン・サフラン

なんだぁ？怖いのか？

レモン・サフラン

この話をリリアにしたら真っ青になってたな！

レモン・サフラン

そのあと、アカネに抹殺されかけたけど…

ケイ・アイビー

………。

レモン・サフラン

気になるなら見に行ってみれば？

レモン・サフラン

本当か嘘かは分からねーけど！

ケイ・アイビー

一緒に言ってくれるの？

レモン・サフラン

俺は行かねーよ。

レモン・サフラン

生活のルールを破ることになるし…

レモン・サフラン

第一、先生に怒られたくねーもん。

ケイ・アイビー

……。

レモン・サフラン

まっ、お前が言ったところで

レモン・サフラン

俺は責任取んねーけどな！

レモン・サフラン

ああ見えて、先生、怒ると怖いんだぜ？

リリアの部屋

リリア・ペチュニア

あ、ケイさん…！

リリア・ペチュニア

す、すみません…、私……こんなで……。

ケイ・アイビー

……？

ケイ・アイビー

なんで…？

リリア・ペチュニア

あ…えと、なんだか…上手く…喋れないんです……私…。

リリア・ペチュニア

喋ることが…嫌いなわけじゃ…ないんです……本当…。

ケイ・アイビー

僕は別に気にしてないよ？

リリア・ペチュニア

……！

リリア・ペチュニア

え、えっと……

リリア・ペチュニア

ありがとう…。

ケイ・アイビー

……。

ケイ・アイビー

あ、そういえば…22時になると図書室に扉が現れるって本当なの？

リリア・ペチュニア

……！

リリア・ペチュニア

レモンくんが……言ってたやつ…ですよね…。

リリア・ペチュニア

すみません…、私……その事のついて……あんまり知らないんです…。

ケイ・アイビー

そっか

リリア・ペチュニア

あ！でも…アカネくんに……聞けば分かるかも……

リリア・ペチュニア

アカネくん、物知りだし……。

アカネの部屋

アカネ・スズラン

んぁ、ケイ、なんの用？

ケイ・アイビー

22時になると図書室に扉が現れるっていう噂を聞いたんだけど…

ケイ・アイビー

本当…なの……？

アカネ・スズラン

あぁ、本当だよ。

ケイ・アイビー

…！

アカネ・スズラン

でも、扉が現れる条件はいくつかあるんだ。

ケイ・アイビー

その条件って…？

アカネ・スズラン

さあ、僕には分からない。

アカネ・スズラン

でも、１つだけ分かることは…夢に関係するってことかな。

ケイ・アイビー

夢…？

アカネ・スズラン

そう。

アカネ・スズラン

まぁ、正確に言うと夢というより、記憶かな。

アカネ・スズラン

どうやったら記憶の世界に行けるのかは分からないけど。

ケイ・アイビー

……。

アカネ・スズラン

……。

アカネ・スズラン

なんで扉のことがそんなに気になるの？

ケイ・アイビー

………

ケイ・アイビー

なんだか…過去のことを思い出せるような気がしたから…。

アカネ・スズラン

へぇ、そんな不思議なこともあるんだねぇ。

メイの部屋

メイ・カンパニュラ

………。

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

（絵に集中してるみたい…）

メイ・カンパニュラ

あら、ケイさん…来てたんですねぇ

メイ・カンパニュラ

声をかけてくれれば良いのに…

ケイ・アイビー

なんか…悪いなって思って…。

メイ・カンパニュラ

人のことを気遣えるんですねぇ〜

メイ・カンパニュラ

素晴らしいですぅ〜

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

あのさ

メイ・カンパニュラ

はい？

ケイ・アイビー

22時になると図書室に扉が現れるって噂知ってる…？

メイ・カンパニュラ

あぁ、レモンから聞きましたよ〜

ケイ・アイビー

本当なのかな…？

メイ・カンパニュラ

嘘ではないと思いますよ〜

メイ・カンパニュラ

本当だとも思いませんが…

ケイ・アイビー

…？

メイ・カンパニュラ

噂なんて悪くいえば作話です…

メイ・カンパニュラ

人から人へと渡っていくうちに…どんどん盛られていって…

メイ・カンパニュラ

最初の人が本当のことを言っても10人に渡れば、8割は盛られてます…。

ケイ・アイビー

………。

メイ・カンパニュラ

あぁ、なんだか暗い雰囲気になってしまいましたねぇ…。

メイ・カンパニュラ

今のはお気になさらず〜！

メイ・カンパニュラ

そろそろ22時じゃないですか？

メイ・カンパニュラ

先生に怒られたくなければ早く自分の部屋に戻ったほうがいいですよ〜

数日が経った。

みんなともすっかり打ち解けて毎日楽しい。

一方、僕の記憶は戻らないまま。

記憶が戻っても良いことがないような気もする。

それなのに…

何故僕は…

記憶が戻って欲しいと思うのだろう。

その日は…中々寝付けなかった。

ケイ・アイビー

……！

白ウサギ

おや、お目覚めですか、アリス。

ケイ・アイビー

……？

白ウサギ

周りを見渡しても誰もいませんよ。

白ウサギ

あなたは、アリス。

白ウサギ

この世界ではアリスなのです…。

ケイ・アイビー

……でも…

白ウサギ

歯向かっても無駄です。

白ウサギ

物わかりの悪い子供は嫌いです。

白ウサギ

それに、あなたは頭が良いのでしょう？

白ウサギ

それなら鵜呑みにした方が良い　と分かっているでしょう？

ケイ・アイビー

………。

白ウサギ

あぁ、申し遅れました、私、白ウサギと申します。

白ウサギ

あぁ、何故こんな見た目をしているかって？

白ウサギ

チェシャ猫にやられたんですよ。

白ウサギ

名前を言うだけでもゾッとする…。

ケイ・アイビー

……。

白ウサギ

それでは、本題です。

白ウサギ

アリス、あなたにはこれから鍵を集めてもらいます。

白ウサギ

鍵を集めて貰えなければ、あなたはここから出ることはできません。

白ウサギ

あなただけではなく…他の子供たちも…ね。

ケイ・アイビー

……

白ウサギ

そんな顔しないでくださいよ、

白ウサギ

あなたに１つヒントをあげましょう。

ケイ・アイビー

……？

白ウサギ

ここから出るためには多少の犠牲は絶対です。

白ウサギ

それを踏まえておいてくださいね。

ケイ・アイビー

……。

白ウサギ

１つめのセカイを用意しましたよ。

白ウサギ

この扉の奥に進めばセカイに入れます。

白ウサギ

それでは…

ケイ・アイビー

……

行くしかないようだ。

チェシャ猫

やあ、アリス。

チェシャ猫

知ってると思うが、もう一度名前を言っておくぜ。

チェシャ猫

俺はチェシャ猫。

ケイ・アイビー

…？

チェシャ猫

あぁ、そうか、お前は記憶が無かったんだっけ？

チェシャ猫

この見た目が気になるか？ﾆﾔｯ

チェシャ猫

白ウサギにやされてグロくなっちまったんだ。

チェシャ猫

このフードの中は…中々のグロテスクだぜ？

チェシャ猫

お子様には…な。

ケイ・アイビー

………。

チェシャ猫

俺からお前に１つヒントをやる。

チェシャ猫

鍵っていうのは、記憶のカケラの集まりみたいな物だ。

チェシャ猫

１つのセカイにあるカケラを全て集めれば１つの鍵ができる。

チェシャ猫

それを４個集めればお前は夢から覚めるかもしれねーな。

ケイ・アイビー

……。

チェシャ猫

この先にセカイがあるぜ。

チェシャ猫

まぁ、楽しんでこいよ！

チェシャ猫

またな！

ケイ・アイビー

……？！

ケイ・アイビー

ここ…は……。

ケイ・アイビー

…！

ケイ・アイビー

ドアが…開かない…。

ケイ・アイビー

鍵がかかってる…

子供部屋のようだ。

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

少し探索してみよう…

探索結果。

ベット、本棚、勉強机…と普通の部屋だった。

アカネと、アカネの両親と思われる男女、兄と思われる男性が写っている写真が飾ってあった。

ケイ・アイビー

（アカネのセカイ…なのかな…。）

ｶﾞﾁｬｯ

鍵が解けたみたいだ。

ケイ・アイビー

……！

アカネ・スズラン

あ、ケイ…！

アカネ・スズラン

来てたんだね…。

ケイ・アイビー

ここは…？

アカネ・スズラン

分からない…。

アカネ・スズラン

でも、僕の家だ。

アカネ・スズラン

なんで今更…

ケイ・アイビー

……？

アカネ・スズラン

あ、なんでもない！

アカネ・スズラン

ここには何にもないみたいだし…他のところに行こうか。

ケイ・アイビー

あ、それ…。

アカネ・スズラン

うん…？これ？

アカネ・スズラン

こんな紙切れが欲しいの？

ケイ・アイビー

……ｺｸｯ

アカネ・スズラン

ふ〜ん、あげるけど…さ？

記憶のカケラ１　ーアカネー

僕は、お父さんとお母さん、兄さんと幸せに4人で暮らしてる。

僕の家には役割があります。

お父さんは毎日、火を焚くために森へ薪を取りに行きます。

あ母さんは毎日、僕たち家族の料理を作ってくれています。

お兄ちゃんは毎日、水をくみ、火を焚き、食卓を整えてくれています。

しかし、僕には役割がありません。

僕は、子供だからということもあるけど…

非力だから、役割がないそうです。

でも、僕は勉強ができるから…お母さんたちは

「気にしなくて良い」

って言ってくれます。

アカネ・スズラン

ん？大丈夫？ボーッとしてるけど。

ケイ・アイビー

……！

ケイ・アイビー

あ、ごめん…。

アカネ・スズラン

んじゃ、先進もうか。

ケイ・アイビー

ここの部屋は…？

アカネ・スズラン

ここはリビング…。

アカネ・スズラン

………！！！

アカネ・スズラン

父さん！母さん！兄さん！

アカネ・スズラン

あれ、聞こえてないのかな…。

ケイ・アイビー

アカネ…、ここは夢……だから…。

アカネ・スズラン

………。

アカネ・スズラン

そっか、そうだよね……。

ケイ・アイビー

………。

アカネ・スズラン

あぁ、大丈夫、気にしないで。

ケイ・アイビー

（探索しようかな）

探索結果

アカネの両親と兄が食卓を囲んでいる。僕たちの声は聞こえないみたい。

記憶のカケラを手に入れた。

記憶のカケラ２　ーアカネー

兄さんがある日、友達に僕たちの暮らしを自慢した。

「僕たちの家族は仲が良くて羨ましいだろ、役割もあって楽しいんだぜ」

って。

それが発端だった。

友達は兄さんの自慢に対して

「お前が1番面倒な役割してんだな、それに気が付かないなんてバカなやつ」

ってさ。

それに腹を立てた兄さんが…

役割・・・し・・って・い・した……

アカネ・スズラン

母さん…父さん…兄さん…。

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

外…行こっか。

アカネ・スズラン

うん…

ケイ・アイビー

うわ、庭…すごく広いんだね。

アカネ・スズラン

うん…、それなりにお金を持ってたからね…。

アカネ・スズラン

この橋を渡れば、森があるんだ。

アカネ・スズラン

………。

アカネ・スズラン

行ってみる？

ケイ・アイビー

……うん。

ケイ・アイビー

なんだか、すごく長い橋だね…。

アカネ・スズラン

うん、この川は大きいから…。

アカネ・スズラン

川が反乱することが多々あるから…、それを防ぐために頑丈に作られているんだ。

ケイ・アイビー

へぇ…。

アカネ・スズラン

ケイはさ…

アカネ・スズラン

守りたい人はいる？

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

分からない…。

アカネ・スズラン

そっか、ケイは記憶がないんだっけ…

アカネ・スズラン

それはごめん…。

アカネ・スズラン

ケイにも守りたい人がいたのかな…。

ケイ・アイビー

………。

ケイ・アイビー

（あ…、これ……。記憶のカケラが落ちてる。）

記憶のカケラ３　ーアカネー

兄さんが「役割を変えたい」って言い出したんだ。

父さんと母さんは拒んだけど、兄さんはそれを聞かなかった。

クジで決めた結果…

薪を取りに行くのは母。

料理を作るのが兄。

食卓を整えるのが父。

になったんだ。

そ・・ら・さんが・・・〇〇さ・て…

ケイ・アイビー

うわぁ、すごい森だね…！

アカネ・スズラン

でしょ、自慢の森なんだ。

アカネ・スズラン

自慢の森…？

アカネ・スズラン

自慢…。

アカネ・スズラン

自慢が……

アカネ・スズラン

自慢なんかのせいで…！！！

ケイ・アイビー

……？？？

ケイ・アイビー

アカネ…？

アカネ・スズラン

………。

アカネ・スズラン

取り乱しちゃったね、ごめん。

アカネ・スズラン

この夢は…いつ終わるのかな。

アカネ・スズラン

こんな悪夢はうんざりだね…

ケイ・アイビー

………。

アカネ・スズラン

あ！なんだこれ？

ケイ・アイビー

…？

アカネ・スズラン

なぞなぞかな？

アカネ・スズラン

へぇ、面白そうじゃん。

アカネ・スズラン

ケイも考えてみてよ！

ケイ・アイビー

うん…。

m、〇、d、h、k、M

〇には何が入る？

アカネ・スズラン

分かった？

ケイ・アイビー

うん…多分。

アカネ・スズラン

じゃあ…せーので言おうよ！

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

アカネ・スズラン

せーの！

アカネ・スズラン

一緒だ！

ケイ・アイビー

ｺｸｯ

正解はc。ちなみに長さの単位。

記憶のカケラを手に入れた

記憶のカケラ４　ーアカネー

僕はその時、出かけていたんだ。

まさか、出かけている間にこんなことになるなんて…。

お母さんは森に行く途中、泥棒に襲われた。

いつまでも帰ってこない兄さんは森に行った。

兄さんは、泥棒に襲われた。

父さんは辛抱強く家で待っていたが、やがて家に泥棒がやってきて…

襲われた。

僕・・って・・と・・は・・みんな・〇〇・れて・・……

ケイ・アイビー

………。

アカネ・スズラン

大丈夫？すごく顔色悪いけど…

ケイ・アイビー

あ…うん……。

アカネ・スズラン

さあ…そろそろ家に……

アカネ・スズラン

……？！

アカネ・スズラン

橋が…

ケイ・アイビー

……！

チェシャ猫

やあ、アリスにアリス。

ケイ・アイビー

……！！！

アカネ・スズラン

アリス…？

アカネ・スズラン

僕はアカネだけど…

チェシャ猫

良いんだ、俺からみたらアリスなんだから。

チェシャ猫

まぁ、そんなことは流しておこーぜ？

チェシャ猫

んで、お前ら…この川を渡りたいんだろ？

ケイ・アイビー

………。

アカネ・スズラン

……そうだけど。

チェシャ猫

じゃあさ、俺が叶えてやるよ。

チェシャ猫

ただで　とは言わねぇけどな？

ケイ・アイビー

………。

チェシャ猫

なんな顔すんなってぇ！

チェシャ猫

ただの遊びだよ！

チェシャ猫

あ・そ・び！

アカネ・スズラン

本当に渡らせてくれるの…？

チェシャ猫

あぁ！俺に勝てたらな！

チェシャ猫

じゃあさなぞなぞだ！

チェシャ猫

殺生したがる怖い花はなんだと思う？

ケイ・アイビー

………。

アカネ・スズラン

………。

アカネ・スズラン

ごめん、ケイが答えてくれる…？

ケイ・アイビー

うん…。

ケイ・アイビー

アヤメでしょ…？

チェシャ猫

おぉ、正解だ！

チェシャ猫

んじゃ、約束通り渡らせてやんよ。

チェシャ猫

ただ…

チェシャ猫

後悔しないようにな？

アカネ・スズラン

……！！

ケイ・アイビー

…？

アカネ・スズラン

……！！

ケイ・アイビー

……！

アカネ・スズラン

父さ…

アカネ・スズラン

………。

記憶のカケラ５　ーアカネー

僕はこの時いなかった。

出かけていた。

帰ってきたら父さんが冷たくなっていた。

母さんも兄さんもいなかった。

なんとなく察した。

きっと、母さんも兄さんも帰ってこないだろう。

あぁ、なんで僕だけ生き残ったのだろう。

守りたい人を守れなかったんだ。

はぁ、いくら勉強ができたってダメなんだ。

メルヘンのグリム兄弟

ハツカネズミと小鳥と腸づめの話

ケイ・アイビー

……。

白ウサギ

あぁ、お帰りなさい！ﾆｺｯ

白ウサギ

おや、アリス、そんな顔をしないでください。

白ウサギ

こっちは笑顔で迎えているのに…。

白ウサギ

それにしても…

白ウサギ

なぜ泣いているのです？

ケイ・アイビー

………。

白ウサギ

出会って間もない人のために情を使う必要などないのに。

白ウサギ

さぁ、少し休んだら次のセカイに行ってくださいね。

白ウサギ

次の扉を開いておきましたので。

ケイ・アイビー

……。

チェシャ猫

やあ、アリス！

チェシャ猫

そんな顔すんなってぇ！

ケイ・アイビー

………。

チェシャ猫

お前、無口なヤツなんだな…。

チェシャ猫

まっ、お気付きかもしれねーが、ここは絵本の世界だ。

チェシャ猫

さっき行ったセカイは、ハツカネズミと小鳥と腸づめ　の絵本だ。

チェシャ猫

グリム童話ってヤツだな！

チェシャ猫

さぁ、次は有名な少年の話だぜ？

チェシャ猫

楽しんでこいよ！

ケイ・アイビー

………。

この作品はいかがでしたか？

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ハツカネズミと小鳥と腸づめって、グリム童話ですよね！世界観すごく好きです！アカネくん→ハツカネズミと小鳥と腸づめケイくん→不思議の国のアリスって感じですかね？

霜月琴葉

プロフィール

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