蒼田 直輝
蒼田 直輝
ゆあんくんは目を開けてずっと真っ白な天井を見つめている。
僕に気づいているのはすら分からない。だから少しトーンを下げ挨拶した。
赤城 柚杏
赤城 柚杏
今僕に気づいたような言い分で重い瞼を擦って言った。
部屋が暗いせいかゆあんくんの顔色が悪く見えた。
こんなこと考えたら目頭がジリジリと痛む。だからあまり考えないようにしていた。
だけど、万が一本当に体調が悪いなら心配だ。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
窓際にあるカーテンを勢いよく開けた。
部屋中がパッと明るくなって部屋の印象が変わった。
赤城 柚杏
もう一度僕にお礼を言ったゆあんくんは軽く咳き込んだ。
やはりゆあんくんの顔色は差程よくはない。
そのあと何度も何度もゆあんくんは喉が切れそうな鈍い咳をしていた。
蒼田 直輝
僕の問いかけの後、1秒程だが沈黙が流れた。
赤城 柚杏
無理のある笑顔を作り僕の質問に答えた。
明らかに顔色が悪い。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
ずっと口角を上げ続けるゆあんくんの目は泣いていた。
一滴も雫を出さずに。ただただ泣いていた。
赤城 柚杏
赤城 柚杏
少し鼻を啜って質問してきた。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
蒼田 直輝
赤城 柚杏
質問の答えをゆあんくんに言ったら、下を向いて悲しげに声を上げた。
そのあとしばらくの沈黙が続き気まずい空気が流れた。
僕は時間を無駄にするのが嫌いだ。だからこそこの時間も無駄に感じた。
さすがに気まずいので不意に花瓶へと視線を逸らした。
蒼田 直輝
気が付いたら勝手に口が動いていた。
赤城 柚杏
赤城 柚杏
蒼田 直輝
赤城 柚杏
またボソボソと何かを言うゆあんくんにどう対処したらいいのか分からずただ花瓶を見つめた。
赤城 柚杏
蒼田 直輝
知っている。僕はこう見えて花は大好きだ。自慢ではないが花には詳しい方だと思う。
黄色のマリーゴールドは【健康】の意味がある
この時の僕は黄色のマリーゴールドを貰いたくないのか。ゆあんくんの心境が分からないでいた。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
赤城 柚杏
この瞬間ゆあんくんの言っていた意味がやっとわかった。
僕が口を開こうとした時、またゆあんくんが咳き込んだ。
苦しそうに涙を流していた。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
どんどん勢いが増してゆあんくんの意識が遠のいていくのがわかった。
それと同時に僕の目頭がジリジリと傷んで、頬に雫が流れた。
ボロボロと溢れ出す涙は何度拭いても意味が無い。
蒼田 直輝
赤城 柚杏
苦しむゆあんくんを見ていて焦る暇も無くナースコールを鳴らした。
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