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わたしが今 お世話になっている家には 大きな暖炉があって 12月になるとその隣に大きな大きな クリスマスツリーを飾る
小さい頃の記憶で サンタさんは 必死になってる大人たちだってことを すでに理解していたわたしは 心躍るわけもなく...
叔母さん
叔母さん
澪
澪
今の環境にこれと言って不満はない
だからと言って 満足しているわけでもないけど...
叔母さん
叔母さん
...そんな願い 誰も叶えられるわけないのに
物心ついた頃から わたしには『ナニカ』が欠けていた
それは感情なのか 思考なのか 欲望なのか
ま、それすら 興味もないけれど
叔母さんたちは優しかった
「優しかった」 この表現が正しいかはわからない
わたしは両親からの愛を知らなかった
そして...
これからも それを知ることはない
叔母さん
義姉にはあまり 良く思われてはいなかったと思う
両親からの愛を半分 奪われてしまったのだから 仕方がないのかも知れない
そういう意味では 少しだけ申し訳なくも思う
街は赤や緑、黄色の電飾に包まれ 人々もどこか楽しげで
澪
澪
澪
独り取り残されている気がした
誰かの喜ぶ顔を思いながら プレゼントを用意して 美味しいねって言ってもらえるような ご馳走を準備して
ゆらゆらと安らぐ空間を演出する キャンドルを眺めながら
サンタさんが来るのを待っている
澪
気がつけば ポツリポツリと 雪が降り出していた
昨日降り出した雪のせいだろうか
今日はいつも以上に冷え込んでいた
叔母さん
暖炉に火をくべながら 叔母さんが昔語りをはじめた
叔母さん
叔母さん
叔母さん
叔母さん
叔母さん
叔母さん
叔母さんは凄く嬉しそうに そんな話しをしてくれた
わたしには 理解することができないけど
今日見た叔母さんの笑顔は きっと忘れることはできない
そう思わずにはいられなかった
そう、必死になっている大人たちが 必死でサンタさんを 演じていたのだろう
叔母さんが話してくれた昔語りには 続きがあって その思い出話はわたしの父親にも 共有されていたものだった
それは黒い『ナニカ』に 変わってしまったけど
その時はじめて
わたしは両親からの愛を 受け取ることができた