ころん
さとみ
夕日で染まる
屋上で
僕は君に
自分の想いを
伝えた。
冷たい風が
僕の横を通り過ぎる。
本当はクリスマス当日に
告白する予定ではなかった。
だが、今まで
告白すると決めていても
中々勇気が出なかったのだ。
そんな事を続けていると
いつの間にか
クリスマスになっていたということだ。
ころん
ころん
ころん
震える声で
そう告げて
頭を下げる。
沈黙のまま
時間が過ぎる。
しばらく経つと
さとみくんが口を開ける。
さとみ
ころん
ころん
ころん
さとみ
ころん
作り笑いをして
逃げるように
その場を後にした。
しばらく走っていると
クリスマスに染まっている
街が見えてくる。
僕は呼吸を整え
ゆっくりと歩き始める。
カップルや
友達できた人達が
ワイワイ賑わっている。
僕は息をひとつ吐く。
白い息が
他の息と混ざり合い
静かに溶けていく。
12月真っ只中だから
寒いはずなのに
制服1枚だけだから
凍えるはずなのに
僕は不思議と寒くはなかった。
そのまま
イルミネーションを
見つめながら
前へ進んで行く。
ころん
そんな考えが
頭を埋め尽くす。
さとみくんのことを
考えると
涙が溢れてきそうだから
極力考えないようにしていた。
と、その瞬間
クリスマスソングが
町中に流れ始めた。
僕は小さく微笑み
瞳から流れる涙を
拭き取る。
僕の輪郭をなぞるように
流れる涙は
暖かくてしょっぱくて
それが余計に
僕を泣かせてくる。
ころん
自分にそう言い聞かせる。
だが、涙は
止まることを知らずに
流れ続ける。
その瞬間
後ろの方から
彼の声が聞こえてきた。
ころん
僕は急いで後ろを向く。
するとそこには
全身汗だくで
息も荒れている
さとみくんが
心配そうな顔で
僕を見つめていたのだ。
ころん
さとみ
さとみ
ころん
さとみ
その時
プップーと言う音と共に
ドンッという大きな音が
鳴り響いた。
ころん
ころん
さとみくんのところに
駆け寄ると
そこには
頭から血を流し
虚ろな目で僕を見ている
彼がいたのだ。
ころん
さとみ
涙でぼやける視界の中
僕は思いっきり
彼を揺さぶる。
だが、彼は
動く気配もなく
ただ僕のことを
じーっと見つめているだけだったのだ。
コメント
2件
:(´◉ᾥ◉`):ウグッ コレナイチマウ
うわぁ…っ😢 なんかほんとに…あの、泣けました ( ( 最高すぎます!!