初めは興味だけだったのかもしれない。
でも、それでも、これ程までに親しみを持って、話を聞いてくれたのは彼が初めてだったのだ。兎に角怖かった欧米列強の1人だった彼に同盟の話を持ち掛けられた時は、どうせ扱き使われたりするのだろうと思っていた。でも彼は違ったんだ。
彼はいつも甘い紅茶の香りがした。でも会う度に違う匂いで、茶葉を当てるのが日課になっていたりもした。 国民の間で流行っている赤いリボンを見る度に、彼の帽子についてる赤いリボンを思い出す。
幸せだったんだ、とにかく。彼と話せるなら、もはやどんな要件でも良かった。どんなこじつけた話でも良かった。俺が国になってから、唯一頼れる相手で、特に情をかけてしまう相手。
俺から相談したり…なんて事も少なくなかったんだ。同盟の頃は彼に兎に角頼りっきりで、そんな俺の事を彼はとても愛しそうな眼で見ていた。
…俺も、彼の事は特別に想っていたから、彼の好きな茶葉を知れる様にと紅茶の入れ方を学んだりした。必死に彼の言語も覚えたし、マナーだって、自分に叩き込んだ。
だから、彼が俺の事を救おうと知った時、俺は兎に角彼を引き離そうと必死になった。…彼に、あんなドス黒い感情を知られたくなかったんだ。出来るだけ、黒い所は見ないで、貴方がいつも見てきた俺を見て。そう思って、拒絶したんだ。 それでも彼は俺の手を離さなかった。そして、俺の欲しい言葉を沢山言ってくれた。「まだ待つから」とか「どんな事があっていたとしても、貴方は貴方だから。」とか「どんな貴方でも、愛します」とか。
他の奴から言われてもでも、どうせ、とか考えてしまうのに、彼に言われると本当にそうしてくれそうで、期待してしまった。 彼のあの真っ直ぐな眼で見られたら、そう期待せざるを得なかったんだ。
どうしようもなく、骨抜きにされてしまった感覚だった。だからこそ、彼にも暗い過去があると勘づき初めた時は"救わなくては"という使命感でいっぱいになった。あの時俺の事を認めてくれたように、期待させてくれたように。俺も、彼に向けて真っ直ぐに伝えなければならない。
イギリスさん、俺は貴方のことを、国としてではなくーーー
創
創
創
創
創
創
創
創
コメント
3件
無理しないでくださいね? 今回の二人も素敵でした。 この後敵になるだなんて… 幸せでいてくれ…
お久しぶりです!無理せず自分のできるペースで投稿してくれると嬉しいです。 忙しいのにこんな内容考えられるの凄すぎます🥲