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放課後
よしひこ
大分暗くなったな…
よしひこ
そろそろ帰んなきゃ
図書室を出る
よしひこ
あ、忘れ物した
慌てて教室に向かうと…
よしひこ
っ！
よしひこ
赤谷、さん
意中の相手がいた
みなみ
あれ？
みなみ
やっほー黄田くん
よしひこ
…どうしたの？
みなみ
寝てたらこんな時間になってたの
よしひこ
そうなんだ
これはチャンスだ！
想いを伝えよう
でも、ストレートに言う勇気は無く…
よしひこ
赤谷さん
よしひこ
月が、綺麗だね
みなみ
（月が綺麗？）
みなみ
ちゃんと外見てみなよ！
みなみ
雨、降ってるし
みなみ
雨音が響いているの聞こえないの？
みなみは窓を見た
やっぱり月なんか見えない
むしろ、雨音がうるさいくらいだ
よしひこ
よしひこ
雨音が響いている…？
みなみ
うん
よしひこ
そんな…！
膝から崩れ落ちそうなのを慌てて持ち直す
よしひこ
（俺は振られたんだ…）
雨音が響いているとは
貴方を愛していました…
つまり、過去型という事だ
よしひこ
（いつ頃、俺を好きでいたの？）
よしひこ
いつの事？
みなみ
（いつから雨が降ったのか…？）
みなみ
確かね、昨日からかな
よしひこ
え！？
みなみ
え？
昨日、恋をされ
今日、振られた
俺は何かしてしまったのだろうか？
よしひこ
なら、どうして…振ったの？
みなみ
（なんで降ってるのか？）
みなみ
（天気予報氏じゃないし分かんないけど）
みなみ
そういう時期なんだと思う
よしひこ
そっか…
よしひこ
（思春期だもんな）
彼女を諦めよう
そう思ったときだった
よしひこ
よしひこ
ヘクシュ！
よしひこ
今日は寒いな…
みなみ
ね、ぬくもりが欲しくなるよ
よしひこ
…っ
何気ない言葉へのその返答に
まだチャンスはあったのだと確信する
よしひこ
赤谷さ…
よしひこ
いや、みなみ！
みなみ
キャッ！
彼女を思い切り抱き締めた
みなみ
みなみ
何すんのよ！？
みなみ
変態！
よしひこ
え…？
ビンタされた頬を抑えながら
去っていく彼女の後ろ姿を見つめた
よしひこ
なんで…こうなったんだ
寒いですね=抱きしめてもいいですか
ぬくもりが欲しいですね=OKの返事
のはずだったのに
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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