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道は4人で並んで歩けるくらい広かった。
一本道ではあるけど短い間隔で何度も曲がり角があり、もう10回以上は曲がったと思うので、方向感覚はメチャクチャになっていた。
アルク
300~400人くらい集まっていたと思うけど、誰にも会わないし、話し声や足音なども聞こえない。聞こえる音といえば、アルクの不満の声くらいだ。
シシロウ
アルク
シシロウ
アルク
シシロウ
シシロウとアルクの言い合いのせいで、かえってうるさくなった。
薄暗く静かな道を歩くよりは気が紛れるけど、あの矛先がいつこっちに来るかもと思うと気が気じゃない。
振り返ると、ユトリが少し遅れていた。
少し疲れているようで、壁に手をおいて、速足で歩いている。
前を行く2人が言い合いながら歩いているせいで、知らず知らずのうちに歩くペースが速くなっていたみたいだ。
ユウゴ
アルクとシシロウの背中に呼びかける。
ユトリ
後ろを歩いていたはずのユトリが、すーっと壁の中に吸い込まれていった。
ユウゴ
アルク
シシロウ
アルクとシシロウは走って戻ってきてくれた。
ユウゴ
目の前で起こったことを、2人に説明しながら壁に手を触れると、妙な感触がかえってきた。
石レンガの硬いゴツゴツとした感触ではなく、泥の中に手を突っ込んだようなグニョリとした感触だ。
ユウゴ
と思って、手を離そうとしたけど、動かなかった。
もう片方の手で手首をつかんで引っ張り出そうとするけど、ガッチリと固定されているみたいだ。
ユウゴ
シシロウ
ユウゴ
シシロウ
シシロウがぼくの背中に手をかけて力いっぱいに押してきた。
その勢いでぼくの体は石壁に激突……しなかった。
ユトリ
その代わりに、なぜかユトリと正面からぶつかった。
アルク
シシロウ
後ろからやってきたアルクとシシロウに指摘されて気づいた。
ぼくとユトリが、ハグするような体勢になっていた。
ユウゴ
ユトリ
お互いに謝り合って、すぐに離れた。
ぼく達に起こったことを簡単に説明する。
通路の石壁の一部が魔法の隠し通路になっていて、壁に手をついて歩いていたユトリがうっかり中に入ってしまった。 元の道に戻ろうと頑張っていたユトリだったが、隠し通路は一方通行だったために壁に向かって立ち往生していたところに、ぼくが飛び込んできて正面からぶつかった。
アルク
ユウゴ
ユトリ
ユトリがうつむいて肩を落とす。
アルク
ユウゴ
シシロウ
ユトリ
ユトリの背中がさらに丸くなった。
アルク
ユウゴ
ユトリ
ユトリは前髪を両手で押さえると、シシロウの方に行ってしまった。
アルク
アルクもぼくを軽く小突いた後、ユトリについて行った。
なんて言えば良いんだよ。
隠し通路の先は、小部屋になっていた。
部屋の中央の木の台には、3つの大きさが違うガラス容器が置いてある。
ぼく達が入ってきた壁の対面には扉があり、扉の上部にはガイド妖精の形のレリーフがあった。
ガイド妖精のレリーフから、音声が発せられた。
ガイド妖精
アルク
アルクが扉のノブを引っ張って、ガチャガチャと回す。
そのせいでガイド妖精の音声がかき消された。
シシロウ
アルク
シシロウに突っ込まれて、アルクが肩をすくめる。
ガイド妖精
ユトリ
意外と親切だ。
今度は聞き逃さないように、みんな声をひそめて耳を澄ませる。
ガイド妖精
問題を聞いた後、振り返り木の台の上の3つの容器を見る。
それぞれの容器には、10L、7L、3Lと刻印がある。
1番大きい10Lの容器には波々と水が入っていて、他の2つは空っぽだ。
ユウゴ
アルク
ユウゴ
ユトリ
ユウゴ
シシロウ
ぼくとアルクとユトリで話し合っている横で、シシロウが10Lの容器に手をかけた。
シシロウ
自信満々の表情で、10L容器の水をにらみつける。
シシロウは魔法使いとしては有名な家の子供だと言っていた。
問題そのものは知らなくても、試験対策として、いろいろな勉強をしてきたのだろう。
ぼく達は問題の解答をシシロウにまかせて、一歩下がった。
シシロウ
シシロウが思っていたのとは違った行動に出た。
両手から炎が立ち上がり、容器全体を包み込む。
中の水が熱せられて沸騰し、ボコボコと大きい気泡を弾けさせながら、大量の湯気が発生した。
ユウゴ
止めようにも、炎と湯気の熱気がものすごくて近づけない。
ぼく達が手をこまねいてみている間にも、水は沸騰して減り続ける。
ほんの数分で10L容器の中の水は半分くらいまで減り、シシロウはそこで炎をおさめて手をはなした。
シシロウ
汗だくのシシロウが満足げな表情で振り返る。
おれサマ系の感じなのに、まさかの脳筋キャラなのか。
アルク
アルクが突っ込む。
ぼくも駄目だと思うけど。
ガイド妖精
ガイド妖精の判定は、意外にもクリアだった。
扉からガチャリと鍵が開く音が聞こえた。
シシロウ
シシロウ
ユウゴ
ユトリ
開いた扉を前にして、ユトリが首をかしげる。
ユウゴ
ユトリ
ユウゴ
第2試験の問題は、いくつも抜け道がありそうだ。