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短編__貴方にその気は無いみたい。 StaRt.
大森元貴side.
Mtk.
Hrt.
朝
スタジオに入って一番に目についたのは
若井の弾けるような笑顔だった
その笑顔に、何度も何度も励まされて
何度も何度も救われて
何度も何度も癒されて
何度も何度も恋してる
活動を休止した時も再開した後も
ずっと若井に励まされて支えられてきた
不安定な時期…独りがすごく寂しくなった時、いつも頭に思い浮かべるのは
若井の優しい声と明るい笑顔だった
そして、安心できる、若井の匂い
柔軟剤とかの匂いみたいな、人工的な匂いじゃなくて
若井自身から漂う、優しくて暖かい「生」の匂い
Hrt.
Mtk.
若井は慌てたように「そっか、!」とはにかむ。
その顔に滲み出るのは、他の何でも無い「恋」の表情
僕が若井に恋してるのと同じように
若井は涼ちゃんに恋をしている
なんとなく、わかってた
涼ちゃんに向けられてる視線とか
涼ちゃんと喋ってる時のテンションとか
若井は、本気で涼ちゃんが好きなんだろうなって
そして、休日若井から教えられた、涼ちゃんへの想い
…それが僕に向けられたものだったら。
どれだけよかったんだろう
Ryok.
Mtk.
Hrt.
Mtk.
Ryok.
若井が笑って、涼ちゃんも若井にしゃべりかける
その二人の間に入る勇気も気力も無い
涼ちゃんがどう思ってるかわかんないけど、きっと涼ちゃんも若井が好きだよね
若井と涼ちゃん、両想いだよ
お似合いだよ、二人共。
心の中で呟くと、何かが軋む音がした
ーーー
夜、
独りお風呂の中で今日の出来事を思い出す
レコーディングが思ったより早く終わったこと
若井にギター教えて、と言われたこと ちょっと嬉しかったな、
涼ちゃんが顔面から転けたこと
若井が急に駄洒落を言い出したこと
それで僕が水を机に吹いたこと
そして
若井と涼ちゃんが一緒に帰るのを見ちゃったこと
二人楽しそうに並んで、触れそうで触れない、ぎりぎりの距離感で
それを見るだけで胸が締め付けられた
もう、どうしようもないほど若井に沼ってる
どうして、若井じゃないといけないんだろう
若井よりかっこいい人なんて、良い人なんて沢山いるのに
僕はどうしても、若井じゃないといけない
吊り目だけど、笑うと優しい目も
優しくて暖かい眼差しも
強くて逞しい体躯も
漂う若井の「生」の匂いも
優しい言葉遣いも
努力家なところも
案外涙脆いところも
人の気持ちに敏感で、さりげなく気遣いが出来るところも
場を盛り上げようとしてくれるところも
いざって時に頼れるところも
全部全部、愛してるんだ
でも、この気持ちは若井には届かない
涼ちゃんのことがあんなに好きな若井に、気持ちを伝える勇気が、
僕には無いから
オフの日、若井が家にきた時がある
その時若井は言った
微笑んで、恥ずかしそうに
「涼ちゃんのことが、好きなんだ」
僕はその時言ったんだ、
「応援するよ」って。
あんなこと言って、若井に「好き」だなんて。
言える勇気は僕に兼ね備えてない
一緒にいたい
抱きしめてほしい
寂しい時に、黙ってそばにいてほしい
それだけ。
涼ちゃんと若井の二人の帰り道をまた思い出す
触れそうで触れなかった二人は、今頃どうしているだろう
二人で影を重ねて、幸せに満ちてるのかな
嗚呼、僕と若井の影はいつまで経っても重ならない
付き合いたいってどれだけ僕が思っても
大好きだってどれだけ若井に想っても
貴方にその気は無いみたい。
fin.
こんにちは
いつか短編集書きたいって思ってたんです 夢が叶って嬉しいです
♡&💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
7件
もう題名から一目惚れでした🥹 こういう切ない恋愛物語めちゃくちゃ好きでさ…もう枕びしょびしょになってたよ😭😭 後戻りのできない一方通行の恋…大森さん、応援するしかないっていうのがこれまた悲しい🥺若井…大森さんも少し見ようよ、! 短編集きちゃーーー!!!!!短いお話でこんなにも泣かされたのは初めてだよ‼️これからも楽しみにしてるね🥰🥰🥰
はわわ、、、、 実らない悲しい恋愛だよ、、、 久しぶりに切ない中心のお話見た気がする! 三角にすらなれない関係 きついよな、、ただ勝手に片思いをしているだけで 伝わらないし、伝わることのない、切ないなぁ、、 やっぱみのりちゃんのこういう作品すきだぁぁーーーー!
めっちゃ好きです😭気が付けば目から汗が出そうになっていました…大森さん…複雑だったんだろうな…こんなに切ない話なのに繊細に描けるのマジでみのりさん神です🥺