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先生

肘の具合は…

先生

まだ良くないね…

先生

あまり動かさないように
安静にして下さい

優一

あの

優一

野球は…

先生

当面の間…

先生

控えて下さい

優一

優一

はい

小さい頃から 野球ばかりの人生…

俺はいつだって エースで

中学の頃は MVPだって取った…

でも

高校二年生になった時

肘を負傷して

レギュラー落ち

今…

人生で初めて

挫折を味わっている

美麗

優一君…?

優一

え?

優一

優一

美麗か?

美麗

うん

美麗

久しぶり…

優一

本当に
久しぶりだな

優一

中学以来か?

美麗

そうだね

美麗

中学の頃は
仲良くしてたけど

美麗

高校で
違う学校になってから

美麗

連絡して無かったものね

優一

お前…
何してんの?

優一

もしかして
入院?

美麗

美麗

まぁ、そうね

優一

どこか悪いのか?

美麗

大した病気じゃないよ

優一

そっか…

美麗

あのさ…

美麗

折角、会えたんだし

美麗

ちょっと話さない?

優一

へぇ…

優一

この病院に
こんな中庭があるのか

美麗

私のお気に入りなんだ

優一

日当たり抜群だなっ

美麗

ねぇ

美麗

野球は続けてるの?

優一

優一

さあな

美麗

その肘…

美麗

サポーターだよね?

美麗

怪我したの?

優一

よくあるやつ…

優一

野球肘

美麗

野球肘?

優一

野球やりすぎて
肘が壊れたんだよ

美麗

美麗

そんな言い方…

優一

レギュラーも落ちたし

優一

リハビリも
キツいし…

優一

野球…やめるんだ

美麗

ダメ!!

優一

は?

美麗

優一君は

美麗

野球をやめたらダメ!!

優一

お前に関係ねーじゃん…

美麗

優一君…

優一

優一

なんだよ?

美麗

次のリハビリの日も

美麗

ここで話そう?

優一

え?

美麗

お願い…

美麗

一生の

美麗

お願いだから…

数週間後

周助

おい!優一!

げっ周助…

周助

なぁ
部活…来いよ

周助

周助

おい、無視すんなよ!

周助

明日は?
明日は来い!!

明日は水曜日…

リハビリの日だっての

周助

お、おい!!

周助

優一っ!!!

毎週水曜日

リハビリのために

学校を休んで

病院に行かされた

最初は億劫だったが

毎週水曜日は

美麗に会える

美麗は昔から

さっぱりした性格で

話しやすい女子だった

野球が できなくなってから

家でも学校でも

卑屈になっていた俺は

不思議な事に

美麗になら

何でも話せた…

だから 段々と…

水曜日が

待ち遠しく なっていたんだ…

優一

よっ

美麗

あら、
今日は早いのね

美麗

リハビリどうだった?

優一

まぁ、いつも通り…

美麗

キツかったんだ?

優一

いてーんだよなぁ

美麗

我慢すれば
また野球ができるよ

優一

だから
辞めるって

美麗

諦めないでよ…

優一

お前って
しつこいよな

美麗

悪い?

優一

…別に

周助

こんな所にいた!

優一

優一

は?周助?

周助

探したんだぜ

優一

お前…
病院にまで来なくても…

周助

お前が学校で
逃げるからだよ!

周助

部活…来いって!

優一

優一

行かねーよ

優一

退部届…出すから

周助

そんな事
させねーよ!

周助

リハビリ続けてれば

周助

いつかは投げれるから!

美麗

そうよ!!

美麗

希望はあるじゃない!

美麗

死ぬ訳じゃないし!!

周助

ですよね!

美麗

はいっ!

優一

お前ら
しつけーよ!!

優一

初対面で
意気投合すんな!

優一

もう帰る…

周助

優一っ!!

優一

お前に関係ねーだろ!!

周助

あるよ!!!

優一

っ!

周助

俺達…

周助

バッテリーだろ…?

美麗

美麗

部活…

美麗

見に行きなよ…

優一

は?

美麗

病院にまで
探しに来るなんて

美麗

優しい友達じゃん…

優一

優一

…それは

美麗

見るだけよ

美麗

ね?

美麗

見に行って…

美麗

それでも
辞めたいなら…

美麗

辞めたら良いよ…

優一

優一

周助

優一…

周助

一緒に来てくれ

周助

本当…見るだけで
良いからさ…

言われるがまま

部活を見に来たけど…

何してんだ俺…

こんなの本当は

見たくない…

周助

周助

ほら、見てくれよ…

優一

何を…

周助

中村のフォーム
前に比べて良いだろ?

優一

優一

確かに…

優一

変な癖が直ってる

周助

ほら、斎藤が投げる!

優一

えっ

周助

な?早いだろ?

優一

あいつ…

優一

あんなに…

周助

周助

皆…
必死で練習したんだ

周助

お前が…レギュラーから
外れた時…

周助

俺達…

周助

お前に全部
任せてたんだなって

周助

気付いたんだよ

優一

優一

なんだ…それ

周助

恥ずかしい話しだけど

周助

お前がいないだけで
俺達、弱小チームだぜ…

周助

だから

周助

お前に
笑われないように

周助

必死で練習してるんだ

優一

優一

そんなの

優一

俺に言われても…

チームメイト

優一!?

チームメイト

おーい!みんな!!
優一が来てるぞ!

優一

な、ちょっ

チームメイト

優一!!
待ってたぜ!!

チームメイト

見たか?
俺の魔球!!

周助

魔球という名の
ストレートな

チームメイト

言うなよ!

チームメイト

優一…

チームメイト

辛いだろうけど
俺達、待ってるから

優一

え?

チームメイト

お前は俺達の
エースだからな!!

チームメイト

そんでもって
チームだ!

チームメイト

たまには
悩みも聞くし…

チームメイト

また…見に来いよ

チームメイト

アドバイスも欲しいし…

優一

優一

皆…

周助

俺達は仲間だから…

周助

優一が嫌がっても

周助

俺達はお前を
頼ってるから…

周助

だから

周助

また…来いよな

優一

優一

うん…

優一

ありがとう…

優一

優一

…ごめん

皆…俺を心配していた

今まで 煩わしいと思っていた物事…

本当は

温かったんだ…

皆…ありがとう

これに気付けたのは

美麗のおかげ

来週の水曜日は

お礼を言おう…

1週間後

優一

あれ?

優一

美麗の奴…
まだ来てないのか?

看護師

あら?

看護師

あなたは…
いつも美麗ちゃんと

優一

あ、はい

優一

水曜はここで
待ち合わせしてます

看護師

そっかぁ

優一

あ、あの

優一

美麗は?

看護師

え?

看護師

聞いてないの?

優一

はい?

看護師

ちょっと…
容態が急変してね

看護師

絶対安静なのよ

優一

え?

優一

悪い病気…なんですか?

看護師

あっ

看護師

それも…知らないのね

看護師

看護師

本人に聞くべきだわ

看護師

少しなら面会できるし、
病室に案内してあげる

一週間振りの美麗は

ベッドの上で

ぐったりと寝ていて

真っ白な肌は

まるで血の気が無かった

分かっていたはずだ

細い腕や

か細い声…

長く入院している事実…

美麗が

難病なんだって

本当は

分かっていたのに

美麗

美麗

優一…君?

優一

お、おう

優一

大丈夫か?

美麗

うん

美麗

調子良いよ

優一

優一

そっか…

美麗

部活…どうするの?

優一

続けるよ

美麗

本当に?

美麗

良かったぁ

優一

なんで

優一

そんなに
心配してくれるの?

美麗

美麗

私…

美麗

皆には言わなかったけど

美麗

中学から激しい運動は
出来なくて…

美麗

優一君は

美麗

ボールを投げるのも…

美麗

ボールを打つのも
凄くて…

美麗

足も早いし…
高く飛べるし…

美麗

私の憧れだった

優一

優一

美麗…

美麗

野球をしている
優一君を見ていると

美麗

勇気が出たのよ…

美麗

美麗

ありがとう

優一

俺の方こそ

優一

ありがとうな…

俺がそう言うと

美麗は

ゆっくり微笑んだ

美麗の命は いつまでなのか…

俺には分からない

ただ もう一度

あの陽だまりで

君と話がしたい…

そう願った

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