誰かの声
…さん。

誰かの声
…みやびさん、

雅
…ん、うう

誰かの声
雅さん。…大丈夫ですか

雅
え

まだ部屋は薄暗い。常夜灯の灯りで、家具の輪郭だけが浮かび上がっている。
虫湖
雅さん。

虫湖
何か…うなされていたので…。

雅
…?!…?…、???

雅
(虫湖ったら。勝手に部屋に入って来ちゃったのね。)

虫湖
…大丈夫ですか?…その、心配で…

雅
だいじょぶですわ

雅
(近くの電灯のスイッチを押す)

雅
ひゃ!

雅
…ってこれ、虫湖の?

虫湖
………。

雅は、勝手に掛けられていた虫湖の上着を剥いで、虫湖の前に差し出す。
雅
…こんな時間よ。虫湖、自分の部屋に戻ってくれる?

虫湖
…くすくす

雅
(え、なに?)

雅
ひゃ!

雅
な、なにこれ…ッ

雅の手の甲には、何やらサインペンでイラストが描かれている。
虫湖
…お守りです、雅さん…。…それ、雅さんが好きな、黒猫の絵です。

雅
はあっ?!

虫湖
何か物音がしてここまで来たら、その……また雅さんがうなされてるようだったので、つい…。

虫湖
…くすくす。

雅
(も〜〜〜!!💢)

雅は立ち上がり、すたすたと歩くとドアの方へと向かう。
雅
虫湖。ほら。

雅
早く出ていきなさい。

虫湖
…ふん

雅
…そうだ。虫湖

虫湖
はい?

雅
あのね。他人の部屋には、相手が良いって言うまで勝手に入っちゃダメなのよ。

虫湖
…。

虫湖
でも、雅さん、いつも夜中にうなされてますよ…

雅
…それから。
私は女よ。れっきとした女。あなたの恋愛対象にはならないんだからね。わかった?

虫湖
笑笑

じろじろと雅を見据えたあとで、鼻歌を歌いながら去っていく虫湖だった。
虫湖
〜🎵🎵

雅
ばたん!(ドアを閉める)

雅
……。

だが虫湖は、多分雅の本当の事を知っている…何故かそう思った。
大人以上は必ず騙される雅の演技を、潜り抜けるような虫湖特有の目線、欲求、興味。
ある意味、誰とでも恋愛できるというような知能の虫湖の目線。
雅
うう。きもちわるいです……

雅
でも、五夏からわたしが虫湖の教育も任されてるんだから、ちゃんとしないと。

雅
舐められちゃダメ、なんだから…
です…

暫く後。ドアを開け、廊下に顔を出すと辺りを見回す雅。
雅
ふー。

廊下をキョロキョロと見回しながら雅は部屋へ戻ると、ドアを閉める。
雅
んしょんしょ。(ベッドに乗っかる)

雅
なんだか眠れなくなってきたわ。…

雅
寿さん……。

雅
(この間のデートを思い出している)

雅
ん。黒猫か

雅
(そう言えば、前の家で飼っていたんだったわ。黒猫のチビちゃん)

雅
(うう。嫌な事思い出しちゃったわ。)

雅はかつて二条家の邸宅で暮らしていたが、両親は不仲で、雅は放ったらかしにされて育てられた。
雅は実は、祖父からは性的な虐待も受けていた過去がある。
雅
はあはあ。(汗)

雅
あたまがいたい。うう。おなかが、きもちわるい

雅
気持ちわるい!気持ち悪いッ……

雅
この、手…!この手を虫湖に触られた……!寝てる間に、、!

雅は立ち上がり、机の上に置いてあるハンカチで手の甲を拭き始める。
雅
……そだ。

雅
寿さん、…もしかしたら起きてるかも

雅
(電話番号を入れる)ぴっぽっぱっ

雅
…。

雅
ピッ

雅
(寝てるわよね。)

雅
(何してんだろ……。)

雅
…。

雅
ぴっぱっぽっ

雅
…。

雅
…。

健太郎
……雅さん?

雅
あ!(繋がっちゃった)

雅
健太郎くん。ごめんね。寝てた?

健太郎
…え。今の時間、寝てない人って居ます?

雅
たしかにそうね

雅
ふふっ

健太郎
どうかしたんですか?

健太郎
五夏…いや虫湖とか?

雅
…う、うん

雅
(健太郎くんすごい。よく分かったわね)

雅
あのね…

雅
…と思ったけど、さっき解決したのよね。ゴメンね。こんな時間に

健太郎
…………

健太郎
雅さん、早く寝ないと背がその…縮んじゃいますよ

雅
…(ダメね。眠いときの健太郎くん、面白くないわ。)

雅
うん。ありがとう健太郎くん

健太郎
ばいばい

雅
(……。)

雅
何か、10歳くらいに戻ったような気分…。

雅
ふう。

雅
もう、寝なきゃ。

雅
(目を閉じる。)

雅
(寿とのデートを思い出している)

雅
昨日の寿さん素敵だったなあ。服もかっこよかったし…

雅
/////

雅
それに、やさしいし。寿さんは、野球選手より…アイドルとか、俳優より…ううん、宇宙一…

雅
輝いてる……キャーッ!

雅
ふう。

雅
でもまだ、わたし達キスしかしてないのよね。あまり一緒に出掛けた事だってないし…

雅
(私の事知ったら、寿さんなんて言うかなあ。…)

寿にはカムアウト済みだったが、まだそれがどういうことなのか、きっと寿自身はわかって居ないと雅は思っている。
寿
雅ちゃん…(妄想)

雅
ふう…

雅
そ、そうだ。ちょっとだけ

雅
さわさわ

寿
雅ちゃん(妄想)

寿
かわいいね(妄想)

雅
……//::////

雅
ちょっと立ってきちゃった

雅
この間のキス…

雅
ちょっとだけ舌入れてきてくれた

寿
ごめんね。雅ちゃん。ちょっと我慢できなくてやりすぎちゃった(回想)

寿
ゴメン…

寿
こんな事したら嫌いになるよね(回想)

雅
……/////

雅
ならないっなるわけないのに

雅
だいたいこれくらい、立っちゃってた

雅
ふう。………。

雅
…寿さん私がこんな事してるって知ったら、引くかな

雅
寿さん、気持ちいいよ…

健太郎
ぐーぐー。

五夏
くかーくかー
