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コメント
1件
王子様たち… 性格ガラッと変わってますね!!(( そこも好きです(?)
注意事項はあらすじにて
本編NEXT
第5章 1節「悪魔ノ行方」 2節「海辺ノ小瓶」
✤ Miku side ~イレギュラー王宮「音の間」にて~
イレギュラー王国の革命は成され、 『悪ノ王子』達はギロチンにかけられた。 それが世間の認識だった。しかし私は知っている。 処刑されたのは影武者達で、 本物の3人がどこかで生き延びていることを。
それでも、私は改めて3人探そうとしなかった。 3人は…特にないこは、あれほど憎み、 復讐を誓った相手だと言うのに。
それは私の恨みの情念が消えつつあるだけなのか、それとも自ら命を差し出した あの召使達の心意気に打たれたからなのか。
そもそも、歯車が狂い始めたのはいつからだろう? 井戸の底でルカの亡骸を見つけてから? それとも、ないことの婚約を破棄してから? …あるいはもっと前、ルカと初めて会った時から?
…ううん。それよりもさらに前、 キールさんに秘蔵のコレクションの一つを 特別に見せていただいた時からだっけ?
あれは不思議な剣だった。 『ヴェノム・ソード』って名前だけっけ…。 あの剣を初めて手にした時、 私は何かに心を鷲掴みにされるような、 恐ろしい、それでいて心地よい感覚に襲われた。
キールさんは欲しいのであれば譲る って言ってくれたけど、私はそれを断った。 もしそれを所持すれば私が私じゃなくなる。 そんな予感がしたからだ。
その頃から、私は自分の中にある 激しい情欲を抑えられなくなっていった。 ルカへの愛が止まらなくなり、 結果としてイレギュラー王国も、 そしてボルフェルト国も大きく乱すことになった。
今回の事態を引き起こした原因はほかでもない、 私だ。それなのに、 私はこうして革命の後の賽ノ国の統治者に納まり、そしてそれを誰も咎めようとしない。
恐ろしい。誰か、誰か私を止めてよ。
私は懐から一枚の手鏡を取り出す。 子供の頃に貰ったお母様からのプレゼントだった。 私はお母様に反感を持ち、 こんな女には絶対になりたくないと思っていたし、今でもそれは変わらない。 でも、これだけは捨てることができなかった。 この鏡は、私の迷いを振り払ってくれるのだ。 そして、鏡は私の脳裏にこう語りかける。
『委ねよ すべてを己の感情に委ねよ』
…ふふ、そうよ。私は何も間違っていない。 私は正義なの。私の選ぶ道こそが正義の道なのよ。 いつか私が思い描く正義の世界へと、 ちゃんと変えていかなきゃ行けない。
復讐はまだ終わっていない。 あの女にも制裁を加えてあげなければ。 ルカに手を下した、張本人に。
使い回しキャラ
Miku.
使い回しキャラ
…あぁ、元レジスタンスの連中ね。 力と行動力だけが取り柄の愚か者たち だと思っていたけど…意外と賢いのね。
Miku.
使い回しキャラ
Miku.
使い回しキャラ
Miku.
ないこ、いふ、ほとけの元使用人だという、 金髪の少年。三英雄マリアムの養子だといっていた その子は驚くべき情報を私に渡してくれた。 ルカを殺した真犯人の情報を。
こっちが動き出す前に逃げられたのは 惜しかった。だけど、必ず見つけ出してやる。
Miku.
✧ ?? side ~「とある場所」にて~
全ては、上手くいった。 全ては、あの方の思惑通りに、
ここに帰ってきたのは一体、 何年ぶりになるのだろうか。 …7年…いや、8年ぶりだろうか。 僕は祖国の空気を吸いながら、 役目を終えた充実感が広がるのを感じていた。
すると、目の前の淑女が、僕に優しく語りかける。
?
最後に彼女とあったのは、僕が6歳の頃だ。 だから、僕は成長した。 背も伸びたし…だけど、 まだ声変わりもしてないし、 女と間違えられることはよくあるから そこはまだ成長してないのだろうか
だけど、目の前で微笑む彼女は あの頃と変わらぬ美しさだ。
?
僕は彼女にそう報告する。
?
?
?
そう彼女に褒められるだけで、 僕の心は至福に包まれる。 このために、僕は何でもしてきた。 本当に大変だった。最初は嘘偽りない噂を 流すことから始めて…情報自体の信頼を稼ぎ、 最終的にはその信頼を使って、 根も葉もない噂を流していった。
彼にカイトが王子たちの暗殺を考えていると言う事 …他にも、なかなか彼がルカ…グミの弟子に 手を下さないで、一緒に逃げようとしたものだから 僕がルカに手を下したりした。 …お義母様、いやマリアムも僕がトドメをさした。 案外、マリアムの息子だというと、 あそこの王女も…メイコがルカを殺したと言えば 直ぐに信じてくれたものだ。
?
あの王女の…僕の姉の事なんかどうだっていい。 だって僕は…僕は、『お母様』の為だけに 存在してきたのだから。
?
?
?
Len.
僕は、お母様に微笑んでそう答えた。
❅ Rin side ~イレギュラー王国「港町」にて~
眼前に広がる海。寄せては返す波。 世界でここだけ、時間がゆっくり流れている。 そんな錯覚にとらわれそうになっていると、 教会の鐘の音が聞こえてきた。 …いけない。そろそろ帰らなきゃ。
私が言う、帰る場所というのは修道院の事だ。 元々、私はキール様の屋敷の使用人だった。 だけど、例のあの賽ノ国との戦争で 私は色々な物を失った。唯一の友人も。 だけど、彼女は形を変えて私の元にいる。
修道院へ向けて歩き出す。その最中、 私は両手で目の前の植木鉢に目をやる。 植木鉢に土が盛られており、 そこには小さな苗木が一本、 ぴょこんと顔を出している。
Rin.
修道院に置いておけば、海辺だから、 潮風に当たって枯れてしまうかもしれない。 やっぱ隙を見て、迷いの森…いや、 千年樹の森に植え直してくるのがいいのだろうか
この苗木を渡してくれた、 ネルという女の子の話によると… それはにわかに信じがたいことであったが… この苗木は、生まれ変わりだという。 私の大切な、大切な友人の。
Rin.
弱音ばかり吐いていた私の生き方を変えてくれた ルカ。私は彼女を失ってまたどう歩いていけば いいか分からなくなってしまった。
仇を討つにしても、 その相手はもういない。 革命は成功し、王子達は処刑されたと、 ネルが教えてくれた。
Rin.
私は『正義』にも『悪』にもなれない弱虫だ。 だけど、それでも生きていかなきゃいけない。
浜辺から修道院へ向かう途中にある坂道。 勾配が急なため、女性が登るのは ちょっとした重労働だ。 私は坂道を前に大きくため息を吐いた。 今日もここを登らなきゃいけないのか。
少し休憩してからにしよう。 そう私は考え、休む場所を探した。 いかんせん、抱えている植木鉢が結構重いのだ。
Rin.
そんな冗談を口にしてみたくなった。 すると、休むのにちょうどよさそうな 木陰を見つけた。あそこにしよう、 と近づくと、そこに…何だろうか、 布の塊があるのが見えた。
もう少し近づいてみると、その布の塊が、 かすかだけど…動いているのがわかった。 猫か何かが布にくるまっているのかな?
そして…目の前まで行くと、 布の塊の正体がはっきりとわかった。
猫なんかじゃない。人間だ。 ボロボロのフードを被った3人の人間が 行き倒れになっているのだ。
?
息苦しそうにしていので、 私はまずその人達のフードをはぎ取り、 襟元を緩めてあげた。
水色髪と、青髪と、ピンク髪の少年だった。 3人とも、大きな怪我なんかはしていないみたい… だけど、ろくに食べていないのか、 ずいぶん痩せこけた体をしていた。 何か食べさせてあげなきゃ。
修道院まで連れていければいいのだが、 さすがにあの坂道を同い年くらいの 男の子を3人抱えて登りきる自信はない。
…確かこの近くに、パン屋さんと仕立て屋さんが あったっけ?そこのおかみさんとかを呼んでこよう
Rin.
いったん、その場を去ろうとした私の右足を、 倒れていた水色の髪の少年が掴んだ。
?
うわごとのようにつぶやく少年。 右手は私の右足を掴んだまま。
…そして、彼の左手には小瓶が握られていた。