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注意事項はあらすじにて。 NEXT本編
❅ Rin side ~イレギュラー王国「港町の修道院」にて~
暖かい季節がやって来て、 修道院では自給自足が基本なため、 本格的に農作業が始まった頃。 修道院に、新しい仲間たちが加わった。
使い回しキャラ
農具小屋の裏から怒鳴り声が聞こえてくる。 慌てて様子を見に行くと、年配の修道女と、 水色髪の少年が言い争いをしているところだった
使い回しキャラ
Imu.
Rin.
私は少々うんざりしつつも、横に転がった鍬の いくつかを両手に抱えた。
Rin.
使い回しキャラ
腰に手を当てて、年配の修道女は すっかりと呆れている様子だ。
Rin.
使い回しキャラ
肥料が入った麻袋を2つ、 軽々と持ち上げて形に担ぐと、 早々に畑の方へと向かっていく。 その背中を見送ってから、 私は…いむに声を掛ける。
Rin.
Imu.
だが、彼は座り込んだまま、 その場でそっぽを向いている。
Rin.
Imu.
Rin.
Imu.
ついにいむはその場に大の字になって寝っ転がった こうなれば、この子はいくら怒っても、 なだめても、てこでも動かない。
Rin.
私は…2人の少年を呼んだ。
Rin.
Naito.
Maro.
ピンク髪の少年は、疑問符を浮かべながら来て、 青髪の少年は、少し疲れた様子を見せながらも こちらに来てくれた。
Rin.
Maro.
Naito.
ないとは直ぐに鍬を持って、 まろは明らかに不満そうだったけど しぶしぶ手伝ってくれた。 そして…私は横目でいむを見ながら わざと大きな声でこういった
Rin.
まろは「?」を浮かべてわかってなさそうだったが、 ないとは状況を察したのか、私に合わせて 大きな声でこう返してきた
Naito.
いむは寝ながらも、こちらをちらちらと見ていた。だいぶプライドが傷つけられているようだ。 ここまでくればあと一押し。とどめのダメ押しだ。
Rin.
Naito.
「本当に!?」ってないとが言いかけた瞬間、 いむは、ガバッと起き上がり、 ないと…ではなくまろの手から 鍬をひったくった。
Maro.
Imu.
そう言って畑の方に走り出すいむ。 急に鍬を取られて、まろもいむを追いかける。
Maro.
Imu.
Rin.
Naito.
Rin.
そういえば、私も何個か持ってはいるし… 今日の当番の修道女は怒らすと正直面倒な人と 思い出した私は全力で走り出した。
修道院の前には急な坂道がある。 その傍らで倒れていた、いむと、まろ、ないとを パン屋のおかみさんと、仕立て屋のおかみさんと 主人で修道院まで運んだ。 3人は兄弟らしく、"スカビオサ"という姓を名乗った
行く場所がない、と語る3人を修道院で 預かることに反対する人間はいなかった。 彼らは決して自分たちの素性を話すことは 無かったのだが、そういった人は他にもいるので、 問いただす者も居ない。ただ、立ち振る舞いや、 文字の読み書きが出来るなど、教養の高さから 高貴な家の出なのではと院長は推測している。
最初こそ、みんな3人に優しく接した。 だが…ないとは本当に最初だけだったが、 いむとまろは、その言動は傍若無人そのもので、 食事が不味いと文句を言うわ、 働くのは嫌だと駄々をこねるわで、 次第に修道女たちからは厄介者扱いされていった。
私もその我が侭に辟易していた1人だが、 それでも彼らには優しく接してあげよう、 そう決心していた。
私も、かつての出身の村では邪魔者扱いされていた。 ずっとひとりぼっちだった。 別に好きでそうしてた訳では無い。 ただ、どうやって人と馴染んでいけばいいのか それが分からなかったから。
いつも強気な、いむやまろも、そしてないとも、 時折寂しそうな表情を見せることがある。 彼らも決して一人でいたいわけじゃない。 3人を助けた時、いむは「置いていかないで」 そううわ言のように言っていた。 きっと好きな人と別れなきゃいけない 事情があったのだろう。
それは私の独りよがりな 思い込みにすぎないかもしれない。 だけど私だけでも彼らに優しくしてくれれば、 いつかきっと彼らは心を開いてくれる。 かつて、ルカが私にそうしてくれたように。
Rin.
結局、畑仕事も手伝わされる羽目になって くたくたな、まろといむはそれでも、 ナイフとフォークで上品に野菜を切り分け、 口運んでいた。 ないとは、この修道院に併設された学校の手伝いを しているため、今この場にはいない。
Maro.
Imu.
2人とも、前ほど食事に文句は言わなくなった。 酷い時は甘いものしか口にしない時もあったけど、 実際に農作業に加わって、食べ物のありがたみを 理解したのかもしれない。もちろん、2人が それを口に出すことは無かったけど。
そんな2人の様子を見ながら、 私は植木鉢に水を注ぐ。 この食堂は修道院の中でも1番日当たりがよく、 植物を育てるには最適な場所だった。 すると、まろがパンをちぎる手を止めて、 私に尋ねてきた。
Maro.
Rin.
Imu.
Rin.
Maro.
Rin.
呆れたようにため息を吐いてから、 まろはふと真顔になり、そのあとこう続けた。
Maro.
Maro.
急に難しいことを話し始めた彼に少し驚きながらも 私はそれを表情に出さ内容にして答える。
Rin.
Maro.
Imu.
Rin.
Imu.
2人とも食事が終わったのか、 食器をテーブルの上に置いた。
Rin.
Imu.
Rin.
2人は食器を片付けながら、 不安そうな顔で尋ねてきた。
Maro.
2人の目は、いつになく真剣だった。 そして私は微笑んでこう答えた。
Rin.
海と畑と、祈りに囲まれた毎日。 人によってはそれを退屈な生活。 そう呼ぶかもしれない。
けれども、退屈は時に小さな変化を 大きな喜びに感じさせる。 あの3人も変わってきた。
仕事にも、真面目に取り組むようになり、 年上の人間に敬語を使えるようにもなってきた。 彼らのそんな変化には、私にとっても とても大きな喜びだった。 なんだか、私にも兄弟が出来たみたいで、 嬉しかった。いつしか、私がルカのことを 考える時間は少しずつ、短くなっていった。
❅ Rin side ~とある日、イレギュラー王国「孤児院」にて~
この修道院は、孤児院と、学校が併設されている。 基本的に、その孤児たちのお世話は修道院の 修道女などが行うことになっている。
そして、今はその孤児院でも食事の時間であり、 笑い声や、はしゃぐ声が絶え間なく響いている。 …そして、その中で小さな喧嘩の声も聞こえてきた
使い回しキャラ
使い回しキャラ
Rin.
その言い争いをしていたのは 水色の髪と、赤色の髪の2人の少女。 2人は姉妹なのだが、喧嘩が絶えなく、 些細なことでよく喧嘩をしている。
今回は、1つのパンを取り合って、 喧嘩をしているようだった。 私が仲裁に入ろうと立ち上がりかけた。 でも、その横をすっと通り抜ける 1人の少年の背中を見て足を止めた。
彼は姉妹のそばに腰を落とし、 けして怒鳴らず、でもきちんと届く声で言った。
Naito.
少しぎこちなさの残る笑顔だったけれど、 どこか、安心させるものがあった。 姉妹は喧嘩の声を止め…ないとの声に 耳を傾けていた。
Naito.
姉妹はしばらく黙っていたが、 ないとにお礼を言った後、 2人は仲直りとして「ごめん」と謝りあった。
Rin.
そんな彼を見つつ、私は胸の奥が 暖かくなっていくのを感じていた。
Naito.
そう微笑む彼は姉妹の頭を撫でていた。 そして、姉妹2人は少し照れくさそうに笑っていた。
そんな3人を見て、 遠くから修道女たちは噂をしていた。
使い回しキャラ
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修道女たちのやり取りを聞いて正直私も思った。 彼らは一体どういう人生を送って来たのだろうか? 明るくなった今でも時々寂しい顔をする。 私は彼らがどんな人なのか、 もっと良く知りたいと思うようになっていた。
そして…その日の晩、思いがけない形で 私は、彼らの正体を知ることになった。