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梶井基次郎
僕とマーサとのことを話すとすれば……
梶井基次郎
なんでしょうね、一夏のボーイミーツガールみたいな？
尾崎紅葉
柄にもないことをぺらぺらと……良く口が回るのう
尾崎紅葉
して、私はあとどの位貴様の作り話に付き合えば良いのじゃ？
梶井基次郎
ちょちょちょ、作り話だなんて決めつけないでくださいよ！
梶井基次郎
今の僕からは想像もつかないでしょうけれど、本当にいたんですって！
梶井基次郎
ジュブナイル文学にしかいないような、ミステリアスで可愛い女の子が！
其れは15年程前の事
暑い暑い夏の日
街に隕石騒ぎがあった翌日のこと
彼女は何処からともなく現れた
???
むむぅ……かれこれ長く歩いてきたが…
???
下等生物ばかりで対話できる原住民などいないではないか！
???
全く、ある程度の文明はあると聞いていたのに……
見慣れない風貌の、 僕よりも幼そうな女の子
梶井基次郎
(……何あの子)
???
む？
梶井基次郎
(！……まずい、気づかれた！？)
???
そこな生命体よ！
梶井基次郎
(うわ……話しかけてきた……)
???
つかぬ事を尋ねるが、此処は何という天体かね？
梶井基次郎
え？えーと……
梶井基次郎
天の川銀河内の太陽系第三惑星、地球、だよ
梶井基次郎
……もし君が宇宙人なのなら、この呼び方で通じるかは知らないけど……
???
ほほう、地球！
???
よもやあの有名な辺境の保護区域にまで来るとはな！
梶井基次郎
(どういう設定のごっこ遊びなんだ……)
???
となると我らが銀河帝国首天体まで大凡8.614光年……期限は到着した天体での時間で60日程だから……
梶井基次郎
あのー……ちょっといいかな
???
む？なんだ？
梶井基次郎
……君、誰？
梶井基次郎
この辺じゃ見かけない顔だけど……一人で来たの？
???
む？私の顔も知らぬとは……
???
……ああ、そうか。此処は長らく低位文明保護区域に指定されていたからな。銀河帝国の事を知らずともやむを得まい
???
では教えてやろう！我が名はマーサ・N・ミライ！偉大なる銀河帝国宇宙軍元帥、そしていずれは宇宙大元帥となる者である！！！
梶井基次郎
(む……)
梶井基次郎
(無駄に壮大な設定だ……)
マーサ
私に恐れをなして言葉も出ないといった様子だな！
梶井基次郎
……態々解説しなくていいから
マーサ
では次は私が問おう
梶井基次郎
えっ！？
マーサ
原住民よ、名をなんと申す？
梶井基次郎
え、あー……僕は梶井。梶井基次郎。ただの学生だよ
マーサ
ほほう、学生！となれば私よりもいつくつか年下となるな
梶井基次郎
……君、いくつなの？
梶井基次郎
僕高1なんだけどさ、君せいぜい中1くらいの背丈じゃんか
マーサ
地球人から見ればそうなのだろう。だがな！
マーサ
私はこれでも13歳！地球歴換算でいえば……恐らく28、くらいだ！
梶井基次郎
ええぇ……
マーサ
ま、これまで意図的に接触を絶たれていた領域外生命体に触れれば多少なりともショックは受けるだろうな
マーサ
お前……基次郎、といったな？
梶井基次郎
あ、うん……
マーサ
これまで幾人かの原住民と接触するも非友好的でまともに対話も出来なかった……
マーサ
しかし！基次郎よ！お前は違った！
梶井基次郎
そ、そうなんだ……
梶井基次郎
(こんな変な子が一人でいたら大抵無視するか変質者に狙われるかだろうしなぁ……)
マーサ
そこで、だ！
梶井基次郎
(なんかヤな予感……)
マーサ
私は今現在、大元帥となる為の試練として母星へ自力で帰還せよという任務を受けている
マーサ
その補佐として梶井基次郎！お前を任命してやる！
梶井基次郎
なんで僕！？
梶井基次郎
僕まだ高校生なんだぞ！？
梶井基次郎
それに宇宙へ行きたいならもっとこう……あるんじゃないのかな！？
マーサ
地球では銀河帝国の肩書きなぞ無意味だし、お前の言うようにただの女児扱いされてばかりだからな
マーサ
話の通じる輩を手当たり次第部下にしてやるほかあるまいて
梶井基次郎
確かに……！？
マーサ
というわけで、先ずは住環境の確保だ！
マーサ
基次郎、家くらいはあるだろう？
マーサ
暫く居候させてもらうぞ！
梶井基次郎
ちょ、急すぎるって！
マーサ
……とまあ、私と基次郎は運命的な出会いを果たしてだな
マーサ
そしてその後私は驚愕の真実を目の当たりに……
江戸川乱歩
あー、ちょっといい？
マーサ
む、何だ？
江戸川乱歩
話が長い
マーサ
ぐぅ
江戸川乱歩
いちいち初めから全部再現してたら飽きちゃうよ！
江戸川乱歩
初めの二言目くらいで展開全部読めちゃったし
マーサ
……私は話が下手なのか……
マーサ
い、いやそんな筈はないとも！
マーサ
私は紛う事なき宇宙大元帥なのだぞ！？
与謝野晶子
……乱歩さんは極端に先読みが得意で飽きっぽい性分でね。妾らみたいな凡人には丁度いい具合だったよ
与謝野晶子
……それにしても、あの梶井がそんな大人しそうな餓鬼だったとはねェ
太宰治
私にだって無垢な幼少期があったもん！
太宰治
そして今も純真に運命の相手を求める無垢な存在……
国木田独歩
余計に話がややこしくなるから止めろ！
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