この作品はいかがでしたか?
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バクンッ
心臓が大きく脈打つ。
沸騰したように激しく血液が全身を巡り、 熱が触れ合う手から手へ一気に伝導してしまいそうだ。
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黒木くんはパッと手を離す。
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……………騙された。
一瞬でも胸が高鳴ったのを取り消したい。
黒木くんが急に手を掴んで優しい声色で話すから、大いに動揺してしまった。
私ばかり調子狂わされてなんだか気に食わない。
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あえて、素っ気なく言う。
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※ごめんなさいシーンが無くて昼みたいになってます これは、夕方です(圧)
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黒木くんとくだらないやり取りをしているうちに、 いつの間にか駅に到着していた。
私たちは駅の構内に入り、改札口へと向かう。
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ある姿を目にして、思わず足を止めた。
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改札口の横にいたのは、なんとじゃっぴだった。
しかも、隣には小柄な女性がいる。
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淡いピンクがかかった柔らかい髪をした女性は 胸に小さな赤ちゃんを抱きかかえていた。
知らなかった
じゃっぴは、奥さんと子供がいたのか。
普段学校では結婚指輪をしていないから、 てっきり独身なのかと思ってしまっていた。
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教師のプライベートな場面に遭遇するのは黒木くんの言う通り気まずいが じゃっぴは微笑を浮かべながら赤ちゃんに接していて、 学校とは変わらない穏やかな姿を見せていてホッとした。
おそらく、じゃっぴは家庭でもいい父親なのだろう。
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じゃっぴが呼んだ名前が耳に反応する。
それがいつどこで聞いたものだったのか思い返していると 女性と手を振って別れたじゃっぴと目が合ってしまった。
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じゃっぴは悲しげな表情のまま、 隣にいた黒木くんにも視線を移した。
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そうだった。
“naさん”というのは図書室に居たじゃっぴをあだ名で呼んでしまった時に 振り向いたじゃっぴが私に言った名前だった。
今の二人の会話からすると、じゃっぴは naさんと夫婦ではないのか______。
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咄嗟に謝ると、じゃっぴは困ったような笑みを作って わざと明るい口調で言った。
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…じゃっぴの顔を見れば分かる。
きっとじゃっぴは今もnaさんが好きなのだ。
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じゃっぴは躊躇無く言う黒木くんに怒るでも焦るでもなく、 変わらぬ笑顔のまま言葉を濁した。
なぜだろう。
じゃっぴがとてもつらそうに映り、私まで心臓が痛み始める。
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黒木くんが隣にいるせいかもしれない。 私まで普段よりストレートになってしまう。
感情の変化には人一倍目敏くても、 わざわざそれを伝えることは無いのに。
違う。
私は知りたいのだ。
私のことを心配しておきながら、 自分は感情に蓋をしてしまう理由を。
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一度話しだしたら止まらなかった。
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私の言葉で、じゃっぴは唖然として自分の頬をさすった。 触れた指に涙の雫がついているのを見て、顔に困惑の色が広がった。
naさんと別れてから、じゃっぴの瞳はずっと潤んでいたのだ。
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笑顔を絶やさないでいるものの、かすかに震える声が じゃっぴの傷ついた心を投影していた。
今の話を聞くだけでも私の心はジリジリと痛い。
何年も一途に想い続けていた分、余計に。
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佐藤くんが私の行動の原動力になっているというのか。
思い返してみれば、佐藤mf先輩の鞄が隠されたときも 佐藤jp先生が苦しそうな今だって、以前だったら他人事だと思って干渉していなかった。
しかし最近、普段考えていることや、その時思ったことを心のなかで消化せず、 表に出すようになっていた。
それが意外と気持ちがいいのだ。
自分がスッキリするだけでなく、相手の心に響いて 通じ合えることがこんなにも幸せなことだと知らなかった。
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じゃっぴの言葉が心の奥底に突きささる。
佐藤くんとの出逢いは私の人生の中でかけがえのないものだ。
離れてからでは遅い。
そう思ったとき、私の心はずっと呪縛から解き放たれたような気分になった。
今、自分の中で佐藤くんの存在後大きくなっていること。
それと一緒に、yaくんへの気持ちが薄れていることに気付かされた。
もちろん、yaくんへの大切に想う気持ちは変わらない。
しかし、それは純粋な恋心とは違っていた。
過していた時の長さや距離の近さからいつしか、 執着に近い感情に変わってしまっていた。
rnへのコンプレックスが刺激されて、 悔しく虚しくなった気持ちを好きという理由をつけてカバーしたのかもしれない。
それに、yaくんに掛けた時間や気持ちや労力が無駄になってしまう恐怖から 諦めることのほうが難しくなっていたのかもしれない。
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私はもう、yaくんのことを純粋に好きだとは言えない。
そう認めたら、こころがすっと軽くなっていく。
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じゃっぴは取り出したスマホの画面を見ると、そう言って私たちに手を振る。
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じゃっぴは、………佐藤先生は、佐藤くんではなかった。
佐藤くんはスマホを持っていないと言っていた。 それに一人称が“僕”だったのも、今思えば前々から佐藤くんとは違うと判断できた。
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頭を軽く小突かれたが気にせず私は黒木くんに何気なく尋ねてみた。
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彼の横顔は大人びて見える一方、 消えてしまいそうな儚さも感じた。
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電車が来るまで、黒木くんと私は他愛のない会話をしたり 連絡先を交換したりした。
私は連絡することはないと断ったのだが、 黒木くんに「男心分からねぇ時どうすんだよ笑」と言いくるめられて無理矢理交換させられた。
こうして、「佐藤くん探し」はまた振り出しに戻ってしまった。
掴めそうな気がして手を伸ばすとすり抜けて手のひらには 何も残っていないような感覚がある。
追いつけない。届かない。
佐藤くんの正体がいつわかるのか先が見えないが 今やれることは焦らずに文通を続けて手がかりを探していくことくらいだ。
とりあえず返事を書こう。
私は佐藤くんが気になっている。
佐藤くんのことが知りたい。
もっと彼の近くに行きたい。
それは、どこの誰なのかわからないのだと、そう思っていた。
何も知らない私は本当に呑気だった。
この時までは______。
また新たな新事実が分かりましたね😏
さぁ佐藤くんは誰なのか…?
実のところこの話、今全体の半分進んだんですよ笑
あっという間ですね、びっくりです笑
さぁ、明日も投稿するぞっ!て思ってたるりさん。
しかしびっくり。 今日の夜からるりさんは帰省します。なので物語お休みになってしまいました。
ほんっとうにごめんなさい…🙇🙇🙇
ということで2024年、最後の投稿ですね!
今年1年、いや私5月くらいから始めたので1年ではないか、…
とにかくありがとうございました!
来年もよろしくお願いします!
それでは良いお年を~👋
コメント
2件
jpさん·····複雑すぎるよ😭そんな悲しすぎる過去を持ちながら生徒にそんないいことを言えるなんて!!urさんも大人すぎてかっこいいですっ! 私の考察なんですけど、手紙の「佐藤くん」は病気で入院とかしてるのでは!?前回ので"文字が震えているような"って言うところがあったのと、最後の書き方的に?それで学校にはあまり来れてないから会わない自信があるのかなって!続き楽しみにしています!