”コツコツコツコツ”
真士
ちょっと待ってくれよ!
真士
今はそれどころじゃ……
"パァン"
銃声。
俺は初めてそれを耳にする。
「彼女」の銃口は、確かに俺の頭の位置に向けられていた。
しかし。
真士
なん……だ?
真士
焼き……芋?
真士
の匂いが……
俺の目は宙のある一点で浮いていた。
その理由は単純。
焼き芋が、浮いていたからだ。
いや、厳密には、浮かされていた。
真士
それ、は……?
自分がまだ死んでいないことを確認する様に、言葉を繋いでいく。
真白
焼き芋
真白
もちろん、仕込まれ済みだがな
真士
どういう、ことだ?
両者の目が明姫に向かう。
真士
これはいったい……
真白
一番近くにおって何も把握しとらんのか
真白
マヌケ
そういえば、と気づく。
銃声の方向と、背後の気配からして……
真士
まさか!
振り返る。
そして、知る。
「部下」の死を。
今さらながら、改めて気づく。
ここが、「ヤツら」の根城であることに。
しかし、わからなかった。
なぜ、ヤツらが彼女のことを狙うのか。
なぜ、「彼女」がこの事を知っているのか。
真士
……、真白
真士
お前は、一体、どこまで知っている?
真白
何?
真白
貴様、私の名前を知っているのか?
真白は少し怪訝そうな顔をした後、やや間があってから一人頷いた。
真白
まぁ、そうか
真白
コイツが私の夢を見て
真白
私がコイツの夢を見た
真白
そういうことか
真士
ん?
真士
今なん……
"パリン"
乾いた音が一つ。
彼女を目覚めさせるのには、それで十分だった。
明姫
……、まーし
明姫
これ、どういう状況?
真士
説明は後で
真士
今は一旦退避だ……!
早口で捲し立てた言葉が終わるか終わらないかのタイミングで。
"ドガガガガガガッッ"
一斉照射。
まるで、何かの打ち合わせがあったかのように。
明姫のことを庇って、窓から逃げるように、「出入り口」へと向かう。
真士
クソ
真士
これじゃあ逃げ切れな……
"ドン"
つー、と背中を何か冷たいものが走る。
真士
なんでお前は逃げないんだ⁈
真士
弾の嵐に当たって粉々になりたいのか?!
真白
ん?
真白
なんだ場違い
真白
ここがどこか分かってんのか?
ハッ、と。
ここは地上7階。
それに、ヤツらが発した弾はゴム弾だった。
真士
なんだ。そうか
真士
弾が窓を破るなんて事はないのか
ほっ、と一息つく。
しかし。
場面は着々と進行していく。
真白
やっぱり、お前は場違いだな
真白
私は「ここ」のことを言っている
"コツコツ"
真白が足を踏み、鳴らす。
「ここ」が何かの場所であるかのように。
真士
まさか、
真士
お前……
真白
そうさ
真白
私が……
"ガツン"






