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忘れられない恋 第12話

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忘れられない恋 第12話

1 - 忘れられない恋 第12話

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2019年07月02日

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翔一は自分のショルダーバッグから2枚のチケットを取り出した。 それは前日、住一がくれたものだった。

引田翔一

牧屋さん、ここに行こう

牧屋ふみ

水族館?

引田翔一

嫌………かな?

牧屋ふみ

ぜんぜん、むしろ水族館好きだよ

引田翔一

ほんとに?

牧屋ふみ

うん!

引田翔一

良かったあ

引田翔一

てっきり牧屋さん、人混みとか苦手そうだと思ってたから

牧屋ふみ

うんん、平気だよ

牧屋ふみ

嬉しい、なかなか水族館とか行けないから

牧屋ふみ

引田君と行けるなんて嬉しすぎる

彼女のそんな言葉に翔一は思わずドキッとしてしまう。

牧屋ふみ

あっ

ふみもふみで、つい本音が言葉になり自分ではずかしくなる。

そんな姿に翔一は思わずクスッと笑ってしまった。

牧屋ふみ

なんっ、

牧屋ふみ

笑わないでよ~

引田翔一

ごめん

引田翔一

牧屋さんってかわいいよね

引田翔一

ほんとかわいい

牧屋ふみ

バカっ

小声でふみは呟いた。

引田翔一

ほら、すねないで

引田翔一

行こ行こ

引田翔一

電車来ちゃうよ

はじめて、学校以外で会うふたり。

普段とはやっぱり少し違う。

引田翔一

牧屋さん、私服だとまた違うね

引田翔一

制服もかわいいけど

牧屋ふみ

かわいいとか軽々しく言わないの!

牧屋ふみ

と言っても、そうやって言われると嬉しい

牧屋ふみ

引田君も私服だと雰囲気変わるよね

引田翔一

そうかな?

牧屋ふみ

うん

まだ掴めないこの距離感がもどかしすぎる。

緊張で会話が途切れて、ふたりの間にはしばらく沈黙が漂う。

駅のホームに電車が来ると翔一はふみの手をしっかりと握った。

引田翔一

はぐれ………ないように

引田翔一

ねっ?

ふみは少し驚いた顔してうなずいた。

彼に不意に握られた手が、

彼の温もりを感じている。

ふたりを乗せた電車は扉を閉めると、 ホームから離れていった。

少しずつ遠くなる駅のホームを見つめるふみ。

何を話せばいいかわからなくて考える翔一。

繋いだ手が互いの鼓動を伝え合う。

牧屋ふみ

なんか………

牧屋ふみ

恋人みたいだよね

その言葉にハッとなる翔一。

引田翔一

ごめん

引田翔一

思わず手、握っちゃった

牧屋ふみ

うんん、違うの

牧屋ふみ

こうして休みの日に
会えるって

牧屋ふみ

嬉しいなって

引田翔一

そうだね

学校以外の時間をふたりで共有している。

それを実感するとなかなかすごいことなのかもしれない。

「まもなく~……」

電車内にアナウンスが流れる。

駅のホームへと吸い込まれ、ゆっくりとスピードを落とし電車は止まる。

ふたりは扉が開いた瞬間ホームへと降りた。

引田翔一

けっこう電車の中、人いたね

牧屋ふみ

うん

牧屋ふみ

ビックリしちゃった

少しずつ慣れてきたふたりは歩きながら会話が途絶えなかった。

そして水族館へと着いた。

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