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玄関に立ったまま動けない 鞄を下ろすことも, 鍵を閉めることもできず, ただ,さっきまで 隣を歩いていた人の声が, 頭の中に残っていた
「また、明日な」
──それだけだ
それだけなのに
蓮音はようやく靴を脱ぎ, 乱暴にドアを閉めた
蓮音
自分だけが何かを 踏み越えているみたいで、 それがひどくみっともなく思えた
ベッドに腰を下ろし, スマホを放り投げる 画面は暗いまま。 連絡が来るわけでもない。 来たとしても, どう返すつもりだったのか 分からない 蓮音は手のひらで顔を覆った
蓮音
距離を意識して 名前に引っかかって 一緒に帰っただけで, 意味を探して 全部,オレの問題だ 康平先輩は, ただ優しいだけ。 いつも通りで, 特別なことなんてしていない
──だからこそ
蓮音
触れられていないのに。 告白されたわけでもないのに。 なのに,こんなに,苦しい