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小林幸真
速水泰輝
速水の返答を待たずに、小林は速水のパーカーのフードを掴むとそのまま引きずって歩き出す。
速水泰輝
速水は店を見るなり、驚いた。それもその筈だ。何時も飲みに連れて行かれるのは、大衆居酒屋が、ほとんどだ。
今、連れて来られたのは、バーだ。速水もバーは利用したりするが、小林が連れてきたのは、会員制の高級バーラウンジだ。
速水泰輝
普段、利用しない速水でも、高級店では、ドレスコードに準じた装いをしなければならないことを知っている。
速水のパーカーなどの普段着は、アウト。小林に至っては、今日は珍しく、スーツ用のズボンを履いていたが、上服はいつもの服装だ。勿論、小林もアウトだ。下手すれば、入店お断りだろ。
小林幸真
速水泰輝
小林から、紙袋を渡される。
小林幸真
速水泰輝
それは、ほんの刹那の出来事だった。小林はスーツへの、早着替えを披露した。まるで、手品かのように。
小林幸真
速水泰輝
幾ら夜とはいえ、全く人通りがない訳ではない。そんな道の往来で着替えようもんなら、通報案件だ。
それもそうかと小林は納得した様子で、店の横の路地裏に速水を押し込み、小林は背を向けて路地裏の前に立つ。
小林幸真
速水泰輝
なんとか速水は着替え終えた。
小林幸真
速水のピンク色の髪色と、落ち着いた色味のワインレッドのスーツはよく馴染む。
速水泰輝
着替えを終えた二人は、店へと向かう。
小林が事前に予約してたのだろう。既にボーイが扉の前に立っており、小林たちを見るなり扉を開ける。
ボーイ
小林幸真
ボーイ
ボーイに連れられて、店内を歩く。高級店だけあって、内装もきらびやか。シャンデリアに、大理石の床、バカラのグラスに注がれたウィスキーを見るだけで、速水は眩暈を覚える。
ボーイ
小林幸真
ボーイ
通されたVIPルームに、速水は更に驚く事となる。
そこは部屋一帯が水槽になっており、熱帯魚が泳いでいた。水槽はガラスで出来ているため、ビルのネオンが透けてみえる。光の中をすいすいと泳ぐ魚たちによって、海の中にいるような錯覚を覚える。
速水泰輝
さっきまでの緊張は何処にいったのか、巨大な水槽を前に速水が騒ぎ出す
小林幸真
速水泰輝
小林幸真
メニュー表を開くと又もや、速水は絶句する羽目となる。メニュー表には金額が書かれてないのもそうだが、ロマネ・コンティ、ヘンリーⅣ・コニャック・グランデ・シャンパン、ダルモア50年代物など、値段が書かれてなくても一目で分かるほどの高級酒が記載されていた。
速水はメニュー表を持ったまま固まった。
小林幸真
速水泰輝
金額がかかかれてない物ほど怖いものはない。尻込みする速水を他所に、痺れを切らした小林がメニュー表を奪いとり、勝手に注文始めた。
程なくして、飲み物が運ばれてきた。
小林幸真
そう言って、小林は、モヒートのカクテルを速水の前に置いた。カクテルを見た瞬間、ほっと速水は安堵のため息をついた。
カクテル位いなら値段は知れてる。普通のバーで飲むよりも値段は高いだろうが、小林が飲んでる物に比べれば、はるかにリーズナブルだ。
モヒートは、ラムをベースにミントやライム、シロップを混ぜ、炭酸で割った爽快なカクテル。
小林幸真
速水泰輝
小林はボトルの酒を飲み、速水はモヒート固定でカクテルを飲まされている。そして、酒が進むほどに連れて、何故か、小林の表情が顕著に雲っていく。流石の速水も、その事には気づいてはいた。
小林幸真
速水泰輝
小林幸真
速水泰輝
小林幸真
速水泰輝
小林幸真
速水泰輝
速水は小林に促されるまま、スマホでモヒートの酒言葉を調べる。
直ぐにページは見つかり、モヒートの酒言葉を読んだ速水の頬が赤くなっていく。
速水泰輝
小林幸真
モヒートの酒ことば 心の渇きを癒して
小林幸真
小林は柔らかい笑みを浮かべながら、速水の鼻を摘まむ。
速水泰輝
小林幸真
速水泰輝
さて、この二人は上手くいったのか、ここから先は、二人だけの秘密だ。
おわり
酒ネタで一つ思いついたので、このイメージで書くなら、のじくがか、こばはや、が近いかなって思って書いたけど、この先、このCPは書かんな。
おまけ 黒速水。ここを読むと、はやこばに見える。
速水泰輝
自他共に認める程に、速水は鈍感である。別に鈍感だから、悪いという話ではない。人とは違う部分があるということは、それは自分の武器になるという事だ。
今回、速水は自分の武器を最大限に有効活用しただけに過ぎない。
速水泰輝
鈍感なふりを貫けば、相手をやきもきさせる事が出来る。そして、鈍感な相手を振り向かすには、自分から行動するしかない、と思わせる事が出来るのだ。
速水泰輝
恋とは駆け引き。 なら、自分の武器が何か、知っているか、いないかでは雲泥の差がある。
この駆け引き勝負は、どうやら速水の方に軍配があがったようだ。
おわり