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探求者の告白-序章-

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探求者の告白-序章-

1 - 探求者の告白-序章-

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2019年10月31日

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警察署

宮西

......。

警察

とうとうお前を捕まえることができた。宮西。しらばっくれてももう無理だからな。こっちはしっかりと...

宮西

しらばっくれるつもりはありません。私は嘘をつくつもりもないし、逃げるつもりもないですから。

警察

....。

宮西

流石に警察もここまでくれば私を見つけると思っていましたし。でもまぁ私の作品は全て完成しました。とても素晴らしい人生でした。もう後悔はありませんよ?私は死刑ですよね?

警察

....お前がやったことは許されることじゃない...お前の部屋に残してあったこの日記を見るたびに、俺はお前に怒りと共に狂気を感じた。どうしてこんなことをしたんだ?

宮西

どうしてって言われてもなぁ。人生に後悔したくないんですよ。それは警察官さんも同じでしょう?たった一度の人生ですよ?これじゃ答えに...

警察

いい加減にしろ!!お前のやったことは、たとえやりたかったとしてもやっちゃいけないことだろうが!それはお前もわかっているはずだ!お前に殺された被害者の方々や周りの人達はお前のせいで人生が狂わされたひとだっているんだ!わかっているのかよ!!

宮西

はい。勿論。本当に申し訳ないと思っていますよ。だって自分の子供や恋人、大切な人を殺されるのは辛いことじゃないですか。だから私も本当に可哀想だとおもいます。そういう人達のことを考えると涙が出そうになりますし。

宮西は本当に演技とは思えないほどの悲しくとても苦しそうな顔で喋り続ける。警察はそれを見ながらゾワっとした感覚と心臓の音が身体全身に伝わってくるのを感じた。

警察

この...サイコパスが....

宮西

はぁ....でた。サイコパスって言葉嫌いなんですよね。まるで自分たちは普通で少数派の意見や思考に対して否定しているようで。どっちがサイコパスなんだか...。
っと...まぁそれはいいです。
それより...その日記。全部見ていただけましたでしょうか?

警察

あぁ....胸糞悪くなったよ。おかげさまでな。

宮西

私の作品に胸糞悪くなったなんて言わないでくださいよ。とても美しいじゃないですか。私はね、全ての作品に対して愛を持っているんです。自分の命を削って神経を削って一つ一つの作品を作り上げていく。こんなに素晴らしいことはないですよ。

警察

うるせぇ....!こんな自分が殺した死体の事を書いたノートのどこが美しいんだよ!!!ふざけるな!!

警察は思わず宮西を殴りそうになる右手をなんとか鎮めようとその震える右手をテーブルに叩きつける。

宮西

...!

警察

はぁはぁ....これからお前がした事を全部話していってもらう....ノートのことをを一ページ目から終わりまでな....それでこの胸糞悪りぃ事情聴取は終了してテメェは刑務所行きだ...

その言葉を聞いた瞬間宮西はまるで子供がクリスマスプレゼントを目の前にしたかのような目になり、口を開いた

宮西

はい。私も是非誰かに私の作品の作り方やそれまでの過程を聞いて欲しかったんです!
だって...こんなに素晴らしいものが僕だけで終わってしまってはいけないと思うんです。

警察

....。

宮西

ほら、私にみたいな人がこれ以上でてきたらいけないじゃないですか?また被害者や悲しむ人達が増えちゃう....それは許せないですし...でも、ここであなたが私の話を全て聞いて、情報を世間に広めてくれれば、私みたいな興味のある人達は私の作品を見て満足してくれる!そしたらそれに満足して、作品作りなんてしないじゃないですか!

宮西

私だってしたくなかったですよ!でもしょうがないじゃないですか。だって一度きりの人生やりたいことをやりましょうってよく言うじゃないですか。だから私もと思って。決心しちゃいました。

警察

....。

宮西

でも確かに気持ちいいですね。後悔のしないようにやりたいことをやるって。私の人生は充実したものになりました!今すごく満たされてるんですよ...!だから...!

警察は興奮して話し続ける宮西を遮るように机を両手で大きく叩き宮西の目を突き刺すほどの目線で睨みつける

警察

!!!!!!!!!
うるせぇ!!!とにかくノートの話を始めろ!!!!テメェの考えなんてききたくねぇんだよ!!!!

宮西

......はいはい。失礼しました。
じゃあ最初になぜこんな事に興味を持ったかから....あれは....

3年前 冬

宮西

....。

毎日に退屈していた。 毎日同じ時間に起きて 毎日同じ内容の仕事をして 毎日同じ時間に寝る

宮西

何のために生きてるんだろうなぁ...

そんな事を考えながら冬の夜の道を家路へと歩いていた

宮西

そこで会ったんですよ。猫と

警察

猫?

宮西

えぇ。そうです。詳しくは、猫の死骸ですが。

警察

...。

宮西

私はその猫を見て感動したんですよ

その猫は冬の雪の中、一面真っ白に覆われた世界でまるで一つの染みのように雪で囲われた黒猫だった

宮西

私はそれを見たときに目が離せなくなってしまいました。黒猫を輝かせるように雪が猫を飾っていくんですよ....今でも覚えています...とても綺麗だった....
もう生命の宿っていない猫がとても美しかったんです。

宮西

その時に私は思いました。
もっと見たい...と。
この素晴らしい作品をもっともっと見てみたいと!
そこから私は、初めて生きてる事を実感したんです。

宮西

一匹の死んでしまった黒猫が私に生きる喜びを教えてくれたんです。
こんなに感動したことはありませんでしたよ。。。それからというもの私の趣味は散歩になったんですよ。

警察

....散歩?

宮西

ええ。色々なところを歩き回って感動するものをこの目で見たいと思ったんです。
色々なところに行ってみました。

宮西

公園や

宮西

森林や

宮西

海辺

宮西

それでもあの時の感動を見つけられずに美術館ならと思い行ってみました。でも...

警察

感動できなかったと。

宮西

はは...そうです...
勿論生き物の死骸はたくさん見ましたよ。それに名画と言われる絵もたくさん...なのにあの時の一匹の野良猫には到底及びませんでした...

宮西

だから。私は思ったんですよ。

そうか....見つからないなら

自分でつくればいいんだ

宮西

それ以来私は動物たちを殺して自分なりに飾ってみました。

宮西

あの時と同じように雪の中に飾ってみたりしたんです。そしたら...

美しい

警察

....。

宮西

この時に私は確信したんです。
あぁ....これだ...と。

警察

なるほど...わかりたくはねぇが、お前の考えはなんとなく理解した。
だが、、、お前のノートに書いてあるのは動物じゃねぇ。人だ。
なぜこうなったんだ?

宮西

人間は努力をする限り 過ちを犯すものだ

警察

...?

宮西

ゲーテの言葉です。私はいつのまにかこの感情をみんなにも共有して欲しかったんだと思うんです。ただ...誰も理解しようとはしてくれなかった。

宮西

だから

宮西

必死に考えたんです。どうしたらいいのか...必死に。でもそうしているうちに自分自身も少しずつ感動しなくなっていったんですよ。

宮西

慣れって嫌ですね。あんなに心震えていたものがすっかり何も感じなくなっちゃって。麻薬とかと一緒ですよね、どんどん強いものが欲しくなっていく。だから動物の次を考えたんです。

警察

だから...人間を...ということか...

宮西

まぁ。そうですね。
流石に私も最初は悩みました。やっちゃいけないことですからね。これ以上はダメだと自分に思い込ませてたんです。でもやっぱりあの時の感動を、いや、あの時以上の感動を味わってみたいと思っちゃったんです。

宮西

そしてとうとう、2年前に初めて...

宮西

人を殺しました。

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