No side
りうら
りうら
炎の様に赤く染められた髪を揺らし、 鼻歌混じりに軽い足取りで歩く 青年の影が一つ。
高校への登校途中のため、 白い半袖シャツに黒ズボンという 実に爽やかな格好で歩くのは、 賽子高校一年生、 『赤間りうら』である。
お気に入りのヒヨコの飾りがついた ヘアピンで纏めた前髪を揺らす彼は、 "人目など気にしていない" と言わんばかりの様子で スキップをする。
爽やかな格好と爽やかな通学路、 爽やかな選曲と 夏らしさを感じる現在、 りうらは汗を流しながら 登校までの道を歩いていた。
りうら
りうら
りうら
ふと、見上げていた青空から 視線を落とし 道路の先を見ていると、 仲良く横に並び話している三人組の 背中を見つけた。
三人組から聞こえていた笑い声が りうらが声を発すると同時に止み、 一番右側で歩いていた 水色髪の青年が勢いよく振り返る。
ほとけ
駆け足で近寄ったりうらを、 獲物を狙う目で抱きしめた 『水谷ほとけ』に続き、 白髪の『白畑初兎』と 黒髪の『黒俣悠佑』が おはようと挨拶を返した。
りうら
にこやかな笑顔で 挨拶をさらに返したりうらは、 自然と三人の間に入りこむ。
当たり前の様に それを受け入れたほとけ達は、 普段のりうらとは違う足取りな事に 気がついたのか、 顔を覗き込んで彼に尋ねた。
初兎
初兎
りうら
意味ありげに顎に手を当てたりうらに、彼のファンを自称するほとけは、 彼の言葉を遮り、横から手を上げて 答えを当てようとし始める。
ほとけ
りうら
自信満々に胸を張って そう答えたほとけに、 りうらは若干怒り気味で叫んだ。
突然の隣からの大声に 耳を塞いだほとけは、 その後驚いた様に目を開く。
ほとけ
悠佑
りうら
ほとけ
涙目でりうらに抱きつくほとけを、 初兎と悠佑が苦笑しながら 通学路を歩いていくと、 一つの家の前に見知った顔が立ち尽くすのを発見した。
柔らかな桃髪を揺らす、 『胡桃沢ないこ』である。
りうら
ないこを兄の様に慕っているりうらは すぐにほとけを剥がして、 ないこの元へ駆け寄った。
腕に付けた時計を見ながら、 少しばかり苛々した様子のないこは りうらの声に反応して、 すぐにこちらを振り向く。
ないこ
りうら
犬の様にないこへ尻尾を振るりうらの頭を優しく撫でたないこは、 りうらの後ろからやって来た三人とも軽く挨拶を交わす。
悠佑
小さく拗ねた様に頬を膨らませたないこが待っている相手は、 ないこの幼馴染の『青戸いふ』。
家が隣なのもあるため、 ないこといふは 二人で一緒に登校する事が多い。
どうやら今日も二人は待ち合わせ時間を設けていたらしいのだが...。
ないこ
初兎
いふはないこがいくら言っても、 寝る時間が遅くなってしまうらしい。
毎回その所為で、 ないこは登校時間でハラハラさせられなければならないのだ。
りうら
りうら
ほとけ
ないこ
りうらからの提案に、 少しばかり躊躇いを見せるないこ。
不思議そうに首を傾げた四人に、 ないこは大きなため息を吐いて 困った様に首を横に振った。
ないこ
ないこ
悠佑
恥ずかしそうに唇を噛んだないこへ、 悠佑は無表情の中そう返事をする。
ないこがいふの事を恋愛的に好きだと知っている四人は、 なんとも言えない返事を返した。
微妙な空気感が 五人を包み込んだところで、 ふと扉がガチャリと開く音がする。
ないこ
いふ
まだ眠気が残っているのか、 開ききっていない瞼を擦ったいふは ないこの言葉を軽く流した。
それからりうら達 四人がいるのを目視して、 "おはよ"とお決まりの挨拶をする。
悠佑
いふ
初兎
いふ
ほとけ
いふ
ないこ
思わず頭を抱えた ないこの隣にいふが立って、 六人で再び通学路を歩き始める。
ないこ
いふ
ないこ
ちょっとしたないこの説教が いふに対して行われた所で、 ほとけは何かを思い出した様に 口を開いた。
ほとけ
ないこ
話の内容を知らないないこといふは、 四人の前で首だけ後ろを振り返って 尋ねる。
そんな二人に対して、 悠佑は"いふの家に着く前にしてた話なんやけど"と説明した。
悠佑
いふ
りうら
"何もわかってない"と言わんばかりに 首を大きく横に振ったりうらは、 溜めに溜めた言葉を __ついに言い放った。
りうら
初兎
悠佑
ないこ
いふ
りうら
薄いリアクションしかない事に 不安を感じたのか、 りうらは不思議そうな顔で 五人の顔を覗き込む。
いふが小さく笑いを堪える中、 ほとけがこの場をなんとかしようと 立ち上がった。
ほとけ
ほとけ
りうら
拳を強く握りしめたりうらは、 近くにあった公園の花壇に足を置いて キラキラと瞳を輝かせた。
りうら
悠佑
初兎
ないこ
いふ
彼らが好き勝手に言っている間に、 りうらは"お前らの声など聞こえない" と無言で歩き始める。
ほとけ
りうら
りうら
一人でさっさと歩いて行ってしまう彼に、五人は早足で着いていく。
いふ
悠佑
__登校だけでもこの騒がしさ。
こんな青年達の日常、 覗いてみたくはなりませんか...?
新連載 『僕らの青春活動記録』
オマケ
初兎
初兎
ないこ
初兎
悠佑
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら
『赤間りうら』 高校一年生、ヒヨコとポテトが好き。 ないこの事は中学からの同級生で、 兄の様に慕っている。 いふとないこ以外のメンバーは 高校で出会った。 恋愛よりも友情派。
『水谷ほとけ』 高校一年生、トラブルメーカー1。 初兎とは高校での寮で同じ部屋だったのがキッカケで、仲良くなった。 "自称"りうらのファン。 恋愛よりも友情派。
『白畑初兎』 高校一年生、トラブルメーカー2。 らび丸と名付けたぬいぐるみの相棒を持ち歩いている。 ほとけと主犯になる事が多いが、 結構な頻度でツッコミに回る。 恋愛に興味もあるけど、今は友情派。
『胡桃沢ないこ』 高校二年生、生徒会長。 いふの幼馴染で、 小さい頃から彼が恋愛的に好き。 中学にバスケ部に入っていたのもあって、文武両道の擬人化みたいな人。 友情も恋愛も大事にしたい派。
『青戸いふ』 高校二年生、副会長。 ないこの幼馴染だが、彼からの好意に一切気がつかない鈍感男。 出会った頃から生意気なほとけに対しては当たりが強い、悠佑は好き。 恋愛がよくわからない派。
『黒俣悠佑』 高校二年生、部活の助っ人マン。 一番ツッコミしてるのは多分この人。 みんなと騒ぎながら、一歩後ろで彼らを優しく見守るお母さん。 恋愛よりも友情派。
うらら
うらら
うらら
うらら
うらら