一覧ページ

LINE1046

第1話 - あ

2023年08月23日

#恋愛

結城　真矢

ユキ

ねえチヨなんでお母さんの誕生日パーティに呼んでくれなかったの

ユキ

私に知らせないで勝手に開くなんてひどいよ

ユキ

連絡してくれてもよかったのに

チヨ

いやよ、ユキを呼んだら私の妹が芋臭いってバレちゃうじゃない

ユキ

何それひどい

ユキ

芋臭いっていつも酒飲んで芋焼酎臭いのはチヨの方でしょ

チヨ

うるさいわね

チヨ

私は普通に一流会社員として働いているけどユキは清掃員でしょ？ww

チヨ

我が家に釣り合ってないのよ

ユキ

何それ職業差別？いっとくけど私たちみたいな人がいなかったらどんな一流会社だってすぐ汚くなるんだから

ユキ

お仕事で忙しくてろくに掃除できてないみたいだからさ

チヨ

何よ

ユキ

一流企業になるにつれてトイレとか汚いものよ

ユキ

中にはゴムまで落ちてることがあるんだから

チヨ

やめなさいよ急にそんなこと

チヨ

とにかく

チヨ

今回のお母さんの誕生日パーティは60歳の節目だから豪華なとこを借りたの

チヨ

せっかくなら豪勢にやろうってことで色々な人を招いたのよ

ユキ

インスタのストーリーで見たよ

チヨ

だからユキみたいな人にはちょっと不相応な会だったの

チヨ

許してちょうだい

ユキ

母親の誕生日会に不相応ってどういうことなの

ユキ

清掃員ってそんなに卑下される職業なの？

チヨ

他人の掃除をするなんて一番下の職業じゃない？正直w

チヨ

私たちが床に投げ捨てたゴミをあなたはお金をもらって拾うのよ

ユキ

最低な言い方

ユキ

チヨちょっと自分の考え方改めて見た方がいいよ

ユキ

今の発言は流石にクソ野郎すぎたかな

チヨ

姉に向かってクソやろうとは何よ

チヨ

クソ野郎はユキの方でしょw実際クソを掃除して生活してるんだからw

ユキ

お前ごとカビキラーで駆除してやろうが

チヨ

こわっ

ユキ

てかお母さんも酷いよね、自分の誕生日パーティに娘を呼ばないなんて

チヨ

お母さんにはユキは予定があるから来れないって伝えといたわよ

ユキ

最低！

チヨ

まあ誕生日の日に家族で集まるんだからいいじゃないの

ユキ

私も高級ホテルでご飯食べたかった〜

チヨ

そうだユキはあんなところでご飯食べたことすらないんでしょw

チヨ

掃除でしか入ったことないんじゃない？w

ユキ

うるさいな〜

チヨ

私は大手と取引することが多いからあんなところには仕事でもよく行くのよ？

チヨ

先月なんて私ミシュランのローストビーフも食べさせてもらったの

チヨ

ローストビーフって知ってる？

ユキ

知ってるようるさいな！

チヨ

お金持ってる人たちはあんなものを毎日食べて生活するのが普通なんだって

チヨ

羨ましいなあ

ユキ

そうかなあ

ユキ

幸せの基準値が高くなることって不幸でもあるんじゃないの

チヨ

それはお金がない貧乏人の僻みよ

チヨ

清掃員なんかには手の届かないレベルの話だからね

ユキ

まるで自分は違うみたいな言い方

チヨ

そのとうりよ

チヨ

私は一流企業で働いてて見た目もいい。まだ若い。

チヨ

十分玉の輿を狙える立場にいるのよ

ユキ

ほーん

チヨ

いつか絶対にブルジョワになって見せるんだから

チヨ

そして庭にでかいプールがついた豪邸に住むの

ユキ

絵に描いたようなお金持ちの家だね

チヨ

あなたには見ることさえ許されない夢を私は掴もうとしてるのよ

チヨ

この世は金！

ユキ

急に悪役みたいなこと叫び出した

ユキ

はいはい清掃員には到底理解できない次元の話ですよ〜

チヨ

身分を撒きわ得ることは大切だわ

チヨ

まあもし豪邸を手に入れたらあなたを呼んであげるわ

チヨ

清掃員としてねwww

ユキ

クソ姉貴…

〜アクアのチャットルーム〜

ユキ

むかつきませんか？

アクア

随分と拗らせたお姉ちゃんね

アクア

なんか昔の誰かさんを見てる気分だわ

ユキ

昔の誰かさん？

アクア

そ、ブルジョワ気分に調子乗っちゃって家を燃やしちゃったお馬鹿さん

ユキ

そんなお馬鹿さんがいるんですかw

ユキ

そういえばアクアさんって社長の娘さんなんですよね

アクア

そうね〜考えてみれば

ユキ

ここで働き始めたのって結構最近ですよね

ユキ

以前は何してたんですか？

アクア

私も普通の会社員だったわよ

アクア

隣の空き家ごと家燃やしちゃったから仕事クビになったけど

ユキ

さっきのアクアさんのことだったんですか

ユキ

おバカさんとかいってすみませんでした

アクア

別にいいのよ本当のことだからね

アクア

金っていうのはがっつけばがっつくほど離れていくものなのよね〜

アクア

お姉ちゃんはなんでそんなにお金持ちに執着してるのかしら

ユキ

多分お姉ちゃんは昔から他の人より優れてないと気に入らない性格だったから

ユキ

自分よりいい生活をしている人がいると劣等感を感じてるんじゃないですかね

アクア

なるほどね、納得。

アクア

そういう人は割と多いわよ

アクア

他人と比べられる社会だもの。社会人なんてね

ユキ

でもそれで清掃員とかを馬鹿にするのはまた話が違うじゃないですか

ユキ

私たちの仕事だって立派な仕事ですよね？

アクア

もちろんそうだよ

アクア

私たちの仕事がなければ世界はもっと混沌としてるかもしれないね

ユキ

それは言い過ぎだと思いますけど…

アクア

そんなことないよ

アクア

実際過ごしている環境によって人の意識も変わってくるもんだ

アクア

汚れた町の治安は悪くなるし綺麗で整った街は常識人が多い

アクア

清潔感とメンタルっていうのは関わり合ってるんだ

ユキ

なるほど…

アクア

ただ人間っていうのは現在の状況に慣れてしまうんだよな

アクア

私たちが掃除しているのだって彼女たちからすれば当然のことなんだ

アクア

そこに人がいると思っていない

ユキ

ちょっと難しくなってきましたね…

アクア

まあエリートっていうのは下の人間を見下してるにすら気がつかないってことだよ

ユキ

なんかアクアさんって只者じゃないって感じがしますね

アクア

まあな

アクア

普通のやつは顔に落書きした状態で全財産ごと家燃やさないからな

ユキ

何があったんですか過去に…

アクア

それより最近書いてる小説の調子はどうよ

ユキ

そろそろ新人賞の結果が出ると思います

ユキ

今回の審査員、私の好きな作家がいるからちょっと期待してるんですよね

アクア

へー誰？

ユキ

ナミシキアスカさんですよ

アクア

あーあれだけ呼んだことあるわ、「雷鳴の鼓動。妹に勧められて」

ユキ

あれ最高ですよね！実際アスカさんのの体験談も含まれてるらしいですよ！

アクア

どこにも毒身内っていうのはいるもんなんだな

ユキ

そういえばアクアさんって妹さんいらっしゃるんですね

アクア

そうそう爆金持ちのね

ユキ

そうなんですか！？何してる人なんですか

アクア

ライターだよ

アクア

あ、そうだ

アクア

ちょっとユキのお姉ちゃんにギャフンと言わせてみるか？

ユキ

え？

〜三日後〜

チヨ

ちょっと！

チヨ

あんたのストーリー見たわよ！

チヨ

あの豪邸一体どうしたのよ！

ユキ

どうしたのって私の先輩の妹の家だけど

チヨ

あんなお金持ちの友達がいるの！？

チヨ

初めて聞いたわよ！

ユキ

まあ言ったことないからね

チヨ

なんで今まで教えてくれなかったの！是非紹介してよ！

チヨ

その豪邸はまさに私が理想に描いていた豪邸…

ユキ

紹介って私みたいな底辺職についてる人は関わりたくないってチヨ言ってたから

ユキ

私の友達なんて毛程の興味もないと思ってね

チヨ

こんな友達がいるなら話は別よ！

チヨ

私もぜひ仲良くなりたいわ

チヨ

どんなお友達なの？

ユキ

えっとね、今このパーティにいるのは

ユキ

狭瀬ベルでしょ、その義兄弟さん、それから小説家のアスカさんとカスミさん

ユキ

それに編集者のヒカリさんと会社の先輩とその妹さんかな

チヨ

へ？

チヨ

てか狭瀬ベル！？

チヨ

今超人気女優じゃない！なんであんたがそんなパーティの中に

ユキ

先輩の妹の家なんだけどね、その繋がりを辿っていったらって感じかな

ユキ

本当ラッキーだよね

チヨ

あなたばっかりずるいわ

チヨ

今すぐ私もいかせて！

ユキ

だめだよこれは知り合いだけのパーティなんだから

ユキ

チヨみたいな職業差別する人はこさせたくないよ

ユキ

私の姉がモラルのない傲慢女だってバレたくないからねww

チヨ

何よ！

チヨ

清掃員のくせにそんな待遇受けて調子乗らないでしょ！

チヨ

まぐれでしょまぐれ！

チヨ

あなたがそこにいるのは不相応よ！

ユキ

私小説趣味で書いてたの知ってるでしょ？

ユキ

ヒカリさんに読んでもらったの

ユキ

そしたらすごい面白いって褒めてくれてね、名刺渡されちゃった

チヨ

だから何！？

ユキ

小説家としてデビューできるかもしれないの

チヨ

は！？

チヨ

あんたみたいな低学歴が小説家デビュー！？

ユキ

学歴は別に関係ないでしょ

ユキ

高卒でも日本を代表とする作家はたくさんいるんだよ

チヨ

ユキが小説家デビュー…

ユキ

狭瀬ベルちゃんも応援してくれるって

ユキ

ラインモもらっちゃった！

チヨ

　なんであんたばっかりそんな美味しい思いをするのよ！

ユキ

別に全部が全部まぐれじゃないよ

ユキ

私が小説書いてなかったら読まれることはなかったし、

ユキ

この清掃会社で働いてなかったら先輩と知り合うことはなかった

ユキ

先輩と打ち解けてなかったらこうして豪邸でパーティをする機会もなかった

ユキ

全部含めて私の人生なんだよ

ユキ

私の選んできた道の先にあった結果なんだよ全部

ユキ

職業とか学歴とか

ユキ

そんな肩書きばっかにピント当てて生きてたら見えないものばかりだよ

ユキ

お姉ちゃん気づきなよ、自分がどれだけ狭い世界で生きてるかを

ユキ

お金があるから何？

ユキ

庭にプールがあるから何？

ユキ

妹が清掃員だから何？

ユキ

全部本当に

ユキ

くだらないw

チヨ

何よ急に生意気になって

チヨ

私認めないから

チヨ

あなたよりお金を稼いですごい豪邸に住んであなたをずっと見下し続けてあげるんだから

ユキ

はいはいがんばってね

ユキ

一回しかない人生をそんなものに燃やすなんてほんとつまんない人生だね

チヨ

何よ！

ユキ

勝手にがんばってろって

ユキ

家買ったらじゃ連絡してね〜

チヨ

ちょっと待ってよ！

チヨ

そのパーティにわたしも呼んでよ！

チヨ

狭瀬ベルと知り合いになったら他の人よりすごいわ！

チヨ

ラッキーだしみんな羨ましがると思わない！？

チヨ

お願い！

ユキ

んー

ユキ

清掃員としてだったら呼んであげてもいいよww

〜次の日〜

ユキ

アクアさん昨日はありがとうございました

ユキ

まさか妹さんがあんな豪邸を持ってたなんてびっくりしました

アクア

ほんといい家だよな

ユキ

ミラーボールだけちょっと趣味悪かったですけどねw

ユキ

妹さんとも仲良くなれてほんと嬉しかったです

アクア

ユキが掃除し始めた瞬間、喜んでお前に抱きついてたもんな

ユキ

綺麗好きなんですかね？

アクア

私が昔よくアクアの家を勝手に使ってたんだけどさ、

アクア

いつも掃除しないで帰ってたから

ユキ

ちゃんと掃除して帰ってあげてくださいよ…

アクア

あの時私も金持ちっていうのに憧れててさ、

アクア

よくアクアに迷惑をかけて困らせてたよ

アクア

その結果ちょっとした怠慢で自分の家を燃やしちゃったんだけどな

ユキ

そうなんですか…

アクア

でも今はお金とか他の人より優れてるとかどうでも良くなったよ

アクア

この仕事を続けてるとさ、いろんな人を横目で見ることになるだろ

アクア

いい企業の人間も、こじんまりした下請け会社もさ

アクア

対して変わんないってことに気がついたんだよ

アクア

外だけ着飾っててもそれは幸せには直結しないんだよな

ユキ

なんか深いですね…

アクア

結果こんな清掃会社で働いてたおかげで小説家デビューが決まったんだろ？

アクア

頑張れよ

ユキ

はい！

〜後日談〜

ユキ

その後姉のチヨは会社のお金に手をつけてクビに

ユキ

再就職先に困っていたので私たちの清掃会社で働くことになりました

ユキ

しかし、この会社でも業務に耐えることができずにすぐ退職

ユキ

現在は実家の子供部屋に弾き困ってニート生活をしています

ユキ

まさかあんなに見下していた清掃の仕事すらまともにできないとは…

ユキ

豪邸に住む夢が叶う日は来るんですかね

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城　真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE1046

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE1046

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧