アラン
わたし、屋上で靴を脱ぎかけた時に
アラン
三つ編みの先客に、
アラン
声をかけてしまった。
「ねぇやめなよ」
アラン
口をついで出ただけ
アラン
本当はどうでもよかった。
アラン
先を越されるのが、
アラン
なんとなく癪(シャク)だった。
アラン
三つ編みの子は語る。
アラン
どっかで聞いたような事
三つ編みの子
「運命の人だった。どうしても愛されたかった」
アラン
ふざけんな!そんなことくらいで
アラン
わたしの先を越そうだなんて
アラン
欲しいものが手に入らないなんて
アラン
奪われたことすらないくせに!
三つ編みの子
「話したら楽になった」
アラン
って
アラン
三つ編みの子は、消えてった。
アラン
さぁ、今日こそはと靴を
アラン
脱ぎかけたらそこに
アラン
背の低い女の子
アラン
また声をかけてしまった。
アラン
背の低い子は語る。
アラン
クラスでの孤独を
背の低い女の子
「無視されて、奪われて、居場所がないんだ」
アラン
って
アラン
ふざけんな!
アラン
そんなことくらいで
アラン
わたしの先を越そうだなんて
アラン
それでも、うちでは愛されて
アラン
あたたかいごはんもあるんでしょ?
背の低い女の子
「おなかがすいた」
アラン
と泣いて
アラン
背の低い子は、消えてった。
アラン
そうやって、何人かに声をかけて
アラン
追い返して
アラン
わたし自信の痛みは
アラン
誰にも言えないまま
アラン
初めて見つけたんだ。
アラン
似たような悩みの子
アラン
何人目かにあったんだ
アラン
黄色いカーディガンの子
黄色いカーディガンの子
「うちに帰るたびに、増え続ける痣を消し去ってしまうためここに来たの」
アラン
と言った
アラン
口をついで出ただけ。
アラン
ホントはどうでもよかった。
アラン
思ってもいないこと
アラン
でも、声をかけてしまった。
アラン
「ねぇ、やめてよ」
アラン
ああ、どうしよう
アラン
この子は止められない
アラン
わたしに止める資格が無い。
アラン
それでも、ここからは消えてよ。
アラン
君を見ていると苦しいんだ。
黄色いカーディガンの子
「じゃあ今日はやめておくよ」
アラン
って
アラン
目を伏せたまま消えてった。
アラン
今日こそは、誰もいない。
アラン
わたしひとりだけ
アラン
誰にも邪魔せれない
アラン
邪魔してくれはしない。
アラン
カーディガンは脱いで
アラン
三つ編みをほどいて
アラン
背の低いわたしは
アラン
今から飛びます。
わたしのアール