裕翔
学校だるいなぁ。
グスッ、グスッ
裕翔
君、どうしたの?
お兄ちゃん、私が見えるの?
裕翔
うん。見えるよ?
初めて話しかけられた!
裕翔
君は?
...名前ないの。
お兄ちゃん付けてくれない?
裕翔
ん〜、じゃあ、『彩寧』で!
彩寧
彩寧!彩寧!
彩寧
お兄ちゃんの名前は?
裕翔
俺は、裕翔。
彩寧
じゃあ、ひー兄って呼ぶ!
裕翔
彩寧ってさ、幽霊なの?
彩寧
分かんないの。
彩寧
でもね?他の人の前に行っても通り抜けられるし
彩寧
喋りかけてくれないんだ...
裕翔
あ〜、それは幽霊の確定事項だな。
彩寧
えっ?そうなの?
裕翔
俺んち来いよ。
彩寧
やった!
その後も、彩寧との時間はたくさん続いて行った。
ある日、彩寧が言ってくれた。
彩寧
ひー兄。
彩寧
私、そろそろ逝っちゃうんだよねw
裕翔
え?
思わず持っていた食器を落とす。
割れた食器の破片の上に俺の涙が零れ落ちる。
彩寧
って言っても幽霊だから成仏しちゃうだけなんだけどね。
俺は、大粒の雨を床の上に落とした。
彩寧との生活は、俺の生き甲斐とまでもなっていたからだ。
彩寧
私も...もっとひー兄と居たかったよw
裕翔
彩寧?
彩寧
でも、天国で見守ってるからね?
裕翔
そんなこと言うのやめろよw
裕翔
嘘だって言ってくれよw
彩寧
嘘じゃないんだ。
彩寧
でも、きっと迎えに来るから。
彩寧
何らかの形で迎えに来るから。
裕翔
...約束、だぞ?
彩寧
うん!
彩寧
じゃあね!ひー兄!
そう言うと、彩寧は消えてった。
最後に残ったのは
゙彩寧の涙゛だった。
産婦人科
おぎゃーおぎゃー!
看護師
おめでとうございます!
看護師
元気な女の子ですよ!
妻
良かった...
数日後
妻
ねぇあなた?
妻
名前はどうする?
裕翔
俺が決めておいた。
妻
なぁに?
裕翔
彩寧でいいか?
妻
いいんじゃない?
妻
由来は?
裕翔
由来なんかないよ。
裕翔
でも、俺の大切な名前だから。
10年後
彩寧
でね?碧斗くんがね?
裕翔
そうなのかw
彩寧
...............
裕翔
どうした?
彩寧
迎えに来たよ?ひー兄!
裕翔
待ってたよ。
裕翔
彩寧。
妻
ただいま〜!
彩寧
お母さん!おかえり!
今、彩寧は
俺たちの大切な家族だよ。
彩寧?待ってたよ。
生まれてきてくれて、迎えに来てくれてありがとう。