俺は
スラムの人間だった。
不潔で不健康なのが 当たり前で、 道行く人から スリをして 生きながらえていた。
誰か
おい待て!泥棒!
幼少期のニーゴ
っ…
幼少期のニーゴ
(いつも通り撒けば…)
油断していたのが 運の尽きだった。
誰か
おい、待てって
言ってるんだよ。
言ってるんだよ。
幼少期のニーゴ
……。
そいつは足も速ければ 力も強かった。
誰か
ゴッ
幼少期のニーゴ
あ゛っ…
幼少期のニーゴ
ちょ、やめ…
誰か
うるさい!
俺の子供のために
買ったものだ!
俺の子供のために
買ったものだ!
誰か
知らないガキに
使われて
良いもんじゃねぇ!
使われて
良いもんじゃねぇ!
幼少期のニーゴ
いやいや、
俺にも事情が…っ!
俺にも事情が…っ!
誰か
ゴッッ
幼少期のニーゴ
ゔっ…
今考えてみれば 怒った理由は 火を見るより明らかだが、 怒った男の力は凄まじく 俺は血を吐くまで 殴られた。
歯が折れなかったのと 目が潰れなかったのは 相手のほんの多少の 気遣いか、それとも 単なる偶然か、 とにかく 助かったは助かったが…
それでも顔に包帯を 巻く羽目になった。