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まぁーあ
自宅から10分ほど掛かる 所にある霊園に
私の大切なものが眠っている
私は左手に線香の入ったバケツを
右手に鮮やかな花と柄杓の入った桶を
墓の前に着くまで
強く
固く
握りしめていた。
花を備え付けの花瓶に生けて
水を柄杓で墓石に回しかける
線香をそっと墓石に供えて
あの子が生前好きだった物を供えた
私
あの子は私よりも後に家族になって
私よりも先に死んで行った
私
私を見つめる円な黒い瞳も
私の声に耳を傾ける仕草も
私にかけた甘えた様な声も
今でも鮮明に思い出せる
今ではもう姿は無いけど
まだある様に錯覚してしまう
この前までは
愛らしい姿のまま
庭で私が呼ぶ度に目を向けて
甘えた様に発声していたのだから
私
縋るように墓石へ語りかける私は
一見変人か基地外にでも見えるだろう
でも、 生前の彼女は私の話を嬉しそうに 聞いていたから
だから彼女への報告のために
毎日彼女の元へ通うのだ。
彼女との楽しい日々を思い出しながら
私