主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
お祭りでどこか浮き足立った空気のなか、どこか落ち着かない様子で人を待っている男がひとり。ワース・マドルである。
ワース
夏祭りに行こう。 そう恋人であるランスに誘われたのはつい1週間前のこと。
ふたつ返事で了承したはいいものの、ワースは夏祭りという言葉自体は知っていたが、今まで一度も行ったことがなかった。
いつか写真で見た夏祭りはみんな普通ではない服を着ていた気がする。
夏祭りは特別な服を着ていくものなのだろうか?
そう思って幼なじみであるシュエンにきくと、夏祭りは浴衣を着ていくものだと教えてくれた。
そして目をキラキラさせながら、僕にワースの夏祭りデート応援させてよ! なんて言われてしまい、なんやかんやありラブも混ざって浴衣を着せられたのはつい数時間前のこと。
ワース
ワースが着ている浴衣はどうにも女物の気がしてならない。 いや、間違いなく女物だろう。
すれ違う男が着ている浴衣とは少し違って、むしろ女性が着ているものにそっくりなのだから。
極めつけに浴衣はそういうものだよ、とシュエンに丸め込まれつけられたリボンは冷静になれば普通でないことは容易にわかる。
ワース
ワース
悶々としながら待ち合わせ場所をウロウロしていると
ランス
ワース
名前を呼ばれて振り向くとそこにいたのはランスだった。
ランスの浴衣を見るにワースの着ているものは女物だと認めざるを得ないだろう。
それにしてもこいつ何着ても似合うな。 顔がいいやつは羨ましい。
ランス
ワース
ワース
ランス
ワース
ランス
ランス
ワース
ワース
心做しかほっとしたような、そんな声でワースはいう。
ランス
ランス
食べたいもの。そう聞かれてもワースは夏祭りに何があるかなんて分からない。
そもそも屋台で何かを食べたことすらないのだから。
黙っているワースを不思議に思ったのかランスはもう一度尋ねた。
ランス
ワース
ランス
ワース
良く考えればわかることだろう。 あの両親が息子を夏祭りなんかに連れていくわけないなんてこと。
なんてことないようにワースは言うが、内心少し寂しいのだろうか。 前を通る家族連れを羨ましそうに見ている。
その姿に少し胸が痛む。
ランス
ランス
そう言ってランスはワースの腕を引き屋台の方へと向かった。
家族連れで来ている人、友達と来ている人、恋人と来ている人、いろんな人がいてみんな楽しそうにはしゃいでいる。
ランスは隣にいる恋人のワースを横目で見る。
どこかキラキラした目で屋台を見るワースは誰が見ても魅力的で惚れてしまうような、そんな顔をしていた。
近くにいる女たちがチラチラとワースを見ているのに正直嫉妬してしまう。
女どころか男でさえもワースのことを見ている。
ランス
ワース
ランス
珍しく楽しそうにしているワースを見て今こんなことを言うのも違うなと思い直す。
ランス
ワース
ランス
ワース
この男なんて欲がないのだろうか。 こうとなったら、そう思い、ランスはワースの手を引く。
ワース
ランス
ランス
ワース
ランス
ワース
ランス
ランスは屋台へ行き、硬貨を渡すと銃を手に取る。 真剣な表情で的を狙う姿は、あまりにも綺麗で危うく見惚れてしまうところだった。
屋台の男
やはり、この男はなんでもできてしまうのか。さすがだな。 ランスは景品を受け取るとワースの方を見る。
ランス
屋台の男
ワース
ワースも屋台の人に硬貨を渡すと銃を構える。 こういうのは得意な方だ。そういう魔法も使っているし。
ワースは狙いを定めて引き金を引く。 さすがワースと言ったところだろう。初めてにも関わらず一発で落とすことができた。
屋台の男
ワース
屋台の男
ワース
ワース
屋台の男
ワース
屋台の男
そう、少しだけ屋台の人と話をしていたらランスが不機嫌そうに名前を呼ぶ。
ランス
ワース
屋台の男
そう言って屋台を後にする。
ランス
ワース
ランス
ワース
冗談のつもりでワースはランスを煽る。
ランス
ワース
ランス
ワース
ランス
ワース
軽くあしらわれて少し不満げなランスだが、あるものを見つけ、パッと表情を変える。
ランス
ワース
ランス
ランス
ワース
2人で焼きそばの屋台へ行き、焼きそばを買う。 そして邪魔にならない所へ寄り、焼きそばを食べることにした。
ランス
ワース
ランス
ワース
ランス
ランス
ワース
あまりにも反応が鈍かったので、ここで家族の話をしたら、まずかったかと一瞬思ったが、ただ焼きそばを食べるのに夢中になっていたようで、安心した。
ワース
ワース
ランス
ランス
ワースが喜んでくれたのが嬉しかったのかランスは機嫌よさそうにそういった。
ワース
屋台を眺めているとふとある屋台が目に止まった。
何かキラキラした、赤いもの。
ランス
ワース
ランス
ランス
ワース
そう言ってランスは屋台へと向かう。
ワース
ランス
屋台のおばさん
ランスはりんご飴をふたつ買い、元の場所へ戻ると、ひとつをワースに渡す。
ランス
ワース
ワース
ワースは、手元のりんご飴に目を向ける。キラキラしていて、まるで
ワース
ランス
りんご飴を見るワースの目はすごく嬉しそうで、キラキラしていて、正直すごく可愛い。
ワース
ランス
ランス
ワースは少し迷ったあと、りんご飴に口をつける。 飴のパリッとした食感の後に少し酸味のあるりんごの甘さが広がる。
ワース
ランス
ランス
ワース
ランス
確かにぽつぽつと人はいるものの、そこまでたくさんはいない。
ランス
ワース
ランス
ワース
なんてことを話していたら、パッと急に視界が明るくなった。 空を見上げると、大きな花が空に咲いていた。 そして遅れてどんっ、と大きな音が聞こえてきた。
初めにあがった花火が消えるとまた次の花火、そんな具合で空に花火がどんどんあがっていく。
ワース
ランス
りんご飴を食べながらながら次々とあがっていく花火を眺める。 咲いては散っていく花のように花火は次々と夜空に打ち上がっては、消えていく。
ランス
ワース
名前を呼ばれランスの方を向くと、軽くキスされた。
ワース
ランス
ワース
なぜこの男サラリとこんなことが言えるのだろうか。 恥ずかしくて顔が熱くなる。
ランスはふっ、っと笑い、なにか愛おしいものを見るかのような表情でワースの頬に手を添える。
ランス
ワース
まさか返してくれるとは思わなかったのか、ランスは驚いたように目を見開く。
そして、後ろからぎゅっとワースを抱きしめる。
なんだよ、離れろ。 普段ならそう言っているところだが、雰囲気にもながされ、満更でもなかったので、ぎゅっとランスの手を握る。
花火が終わるまで、このまま。
コメント
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え、天さん最強?✨ めっちゃ好きなんですが⁉︎✨ プロフ事件?が夜だったのでイラストの方しか見れてなくて、めっちゃ面白かった‼︎