テラーノベル
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これはウォーターチャレンジ様の 二次創作です
毒使いの男の子が いっぱい頑張るお話です 楽しんでいただけたら とても嬉しいです。
第一話
紫カラーの サイエンティスト
ここは深い深い森の中。 住宅地からさらに奥に奥に進んだ先。 一歩足を踏み入れれば2度と 帰れなくなりそうなほどの霧と、 三歩歩けばグリズリーに 遭遇しそうなほど鬱蒼と生えた木。 そのさらに奥。もっと、もっと。 倒木の橋を渡り、 神秘的なキノコが生えている ところを通り過ぎ、 精霊がいそうなほどの美しさの 泉を横目に何キロも歩いた先に。 そんな辺境の地に、一つ村がある。
ポーションの製造や 魔法の研究を主に得意とする “魔術師”がいる村が。
これはそんな村に住む 1人の少年のお話である。
ベネノ
彼が足を踏み出すたびに ふわりふわりと揺れる癖のある 紫色の髪。 極上の蜂蜜と満月を煮詰めたような 金色の瞳。 そんな美貌の持ち主は…否、ベネノは 軽やかに、無邪気な声で母を呼んだ。
ベネノ
ベネノの母
ベネノ
ううん、なんでだろ〜? と首をかすかに傾ける我が子を 母親はにこやかに見守る。
ベネノの母
ベネノ
ぴりぴりと紙をちぎる音が 西洋風の部屋に響く。
しばらく手紙を 見ていたベネノは、パッと 勢いよく顔を上げた。
ベネノ
ベネノの母
怪物…というのはゾンビや スケルトンなどの事である。 夜になったら出てきて、人間に 牙を向く存在。 砂漠にも、森の中にも どこでも出てくる。 …と言っても。 この村の周辺はランタンで 無自覚のうちに沸き潰しがされ、 村の近くに出てこようとも 近場にある毒キノコの胞子を食らって くたばるし、 そもそもこの村の人々は 絶望的に夜に外に出ない。 故に、ゾンビ達に対しての 知識がなかった。
ベネノの母
母様は貴方の意見を尊重するわ、 と母が微笑む。 数分考え込んで、ベネノは笑った。
ベネノ
ベネノの母
ベネノ
ベネノの母
ベネノ
母に慈愛の笑みを、愛を向けられた 彼の笑みはさらに深くなる。 「じゃあ行ってきまーす!」 とぱたぱたと音を立てて父の元に 駆けて行った我が子を見つめる 眼差しは、 相変わらず愛に満ち溢れていた。
ベネノの母
ベネノ
ベネノの父
自分の胸に飛び込んできたベネノを、 父はふらつく事なく受け止めた。
ふわふわの髪をぐりぐりと胸元に すりつけ甘え、 走ってきたから弾んだ声のまま、 無邪気にベネノは笑った。
ベネノ
ベネノの父
ベネノ
ベネノ
ベネノの父
ベネノ
自分の背に手を回し、 こちらを見つめてくる我が子の頭を 撫でながら、父は ベネノにそっくりな笑みを浮かべた。
ベネノの父
ベネノ
ベネノの父
ベネノ
ベネノの父
ベネノの父
ベネノ
ベネノの父
そういった父はそっと我が子の背に 手を回す。
ベネノの父
ベネノ
頼もしく胸を叩く我が子。 何年も、十何年も一緒にいる、 変えの効かない、自分の子。
海よりも深い愛を持った父は、 随分と大きくなった我が子を にこやかに見守っていた。
月日は流れて
冬の朝。 7時になってもまだ空の端は 橙色に染まっている時間。
人通りのない道を軽い足取りで 駆け抜ける少年の姿があった。
サイズが大きくて、 少しぼろい白衣は、大好きな父の お下がりに、紫色のワッペンが 付いていた。
ぴしりと張ったワイシャツは 薄ら紫がかったもの。
何よりも目立つのは 肩にかかるベルトについた フラスコの中に光る色とりどりの ポーション達。
額に付けられた保護メガネは 朝日でキラキラと煌めく。
住宅街を抜けて、ビル街を抜けて、 公園で欠伸をする猫を横目に 少年は走った。
数十分後。 やっと足を止めて、彼は 目の前の建物を見上げる。
真白に塗られた壁に、 青々と健やかに伸びる木。
これからの生活に胸を躍らせる反面、 口から出たのはか細い声だった。
ベネノ
金色の目をきらめかせ、 ベネノは敷地内に一歩を踏み出した。
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